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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第二章 生徒会活動
56/217

2_34_番外編 運命ゲーム

明けましておめでとうございます!


いやあ、やっと投稿出来ました。

新年と全く関係ないエピソードとなりますが、パッと思いついて書いちゃいました。

筆休め&ストック待ちの繫ぎとして、お読みくだされば幸いです。



「どうしたんですか?」


強化演習を前日に控えた授業後、生徒会メンバーはクリストフ先輩の部屋へと呼ばれた。

特に要件は伝えられていないため、皆は何の用事か分かっていない。


「最近は忙しい中で色々と手伝ってもらったからね」


その言葉から始まり、クリストフ先輩が取り出したのは9つの袋だった。


全て大きさが違うし、リボンなどの装飾も違う。

ただ、その多寡から察せられるのは中身の内容に差があるという事である。


「皆に労いとして渡したい……だが、中身は全部違う」

「功績の多い人から順に、ですか?」


ソマリの質問に、クリストフ先輩は苦笑しつつ首を振った。


「そんな事はしないよ。皆がよく動いてくれたのだからね」

「では、どのように?」

「これで決めようと思う」



そう言って取り出されたのは、大きめの箱であった。

正体が分からず皆が首を傾げる中、クリストフ先輩が箱を開ける。


カパッ、と開いた箱の中には地図のような盤面と、様々な……道具?


「この前の都歩きで購入した品だ。運命ゲーム、という」


この国の端をスタート位置として王都まで旅をする、という設定のゲームらしい。


ダイヤルのような道具を回して、出た目の数だけ盤面に置いた自身の駒を進める。

そして止まった場所でイベントが発生するそうだ。


本来のルールは参加者全員が王都に辿り着いた時点で、最も名声が多かった者を勝者とするが……


「景品は人数分あるからね。名声の順で手に入れる景品が変わると思ってほしい」


つまり名声の順が景品の内容に直結するという事だ。

ちなみに名声はゲーム中のイベントなどで手に入り、そして失う事もある。



「全てを説明するのも時間が掛かるから、まずは始めてみようか」


という事で、皆がゲーム盤を囲って準備する。

馬車を模した駒に旗を立て、支度金として100000メル(紙の玩具だけど)が配布された。

名声の初期値は100であり、ルール上は地元の村で知られている程度だそうだ。


「これは旅の準備として用いるが、何に使うかは君達次第だ」


既にゲームは始まっている、という事か。

食料や水などの他、武器や護衛……つまりは自衛手段だな。


ともあれ各々が悩みながらも購入を済ませて、ゲームが始まる。



「ダイヤルの順番は誰が先にしたいかな?」

「はい! やりたいです!」


俺が名乗りを上げ、少し遅れてラグとマリも立候補する。

しかし、その様子を見やりながら溜息を吐いている者も居た。


「まずは様子見でしょうに」

「旅の前に情報収集するのは常識だと思いません?」


慎重すぎだろ! とも思うが、まあ人それぞれだろう。

とりあえずダイヤルを回して出た目により、俺が最初となった。

その後の順番は俺から右回りである。



「よっしゃ! いくぜ!」


ただプレゼントを渡すだけでなく、こうやって遊び心を含めるのは楽しいな。

俺はワクワクしながらダイヤルを回した。


ーーーカラカラカラ……ピタッ



「1……って、少なっ!」

「しょっぼい!」

「そこは大胆に進めよな」

「慎重すぎますね」


外野が好き放題に言ってくるけども、こんなの運だろ!


「ひとまず駒を進めたまえ」

「はい。で、どうするんですか?」

「止まったマスをひっくり返してごらん」


お、これって裏返るのか。

しかも数枚重なってるから、誰かが同じ場所に止まっても違うイベントが発生するようだ。


「え~っと……馬車の車軸が壊れた。修理に5000メル払って一回休み……?」

「ダハハハハ!!!」

「最初っから躓いてる!」


なんだよこれ! 散々じゃねえか!


「ってか5000メルも残ってないんですけど!?」

「使い過ぎだろ」

「そこは借金だね。持ち物を担保に借りられるけど、3巡毎に担保を失っていくよ」


うおぉぉ……最初から借金生活が始まるとは……もう少し金を残しておけばよかったか。


「さて、次はハイクだね。回したまえ」

「よっし、いくよ」


ーーーカラカラカラ


「6か。進めて、ひっくり返すと……あ」

「盗賊に遭遇!?」


ハイクも災難に遭ったか。


「これって、どうなるんですか?」

「戦闘するか逃げるかだね」

「強い護衛を雇ってるんで、戦います」

「武器もあるね。ハイクは護身重視か」

「戦闘力は……盗賊が12、ハイク陣営が62だね。ダイヤルの出目で結果を決めるんだが……」


あまりにも戦闘力が離れていたため、自動的に勝利となった。これもルールらしい。


「ハイクはゲームでも強いのかよ」

「その代わりに水と食料が少ないけどね」


ともあれ盗賊を撃退したので、名声が200上昇したのであった。

しかも盗賊を倒した報奨金として10000メル入手している。


「次はラグか」

「おう。いくぜ」


ーーーカラカラカラ


「3か。まあ、ルイスよりはマシだろ」

「うっせー!」

「ん~と……馬の調子が良い。更に2マス進める、だって」

「おぉ、幸先良いな」

「マスの効果で進んだ場合はイベントの追加発生は無しだよ」


てことで、次はソマリである。


ーーーカラカラカラ


「10ですか。一気に進みますね」

「旅を楽しめよな」

「そんなに何を生き急いでんの?」

「知りませんよ!!」



ともあれ10マス進んだ先には……


「ふむ。近くの村に滞在するか否か、だね」

「泊まった場合は何があるんですか?」

「基本的に村や都ではランダムで滞在イベントが発生するし、備品の補充も可能だよ」

「けど、その分だけ旅が遅れる……と」

「まあ食糧なんかは補充しないといけないだろうから、いつかは滞在しないとね」


というわけで、ソマリは滞在するようだった。


1巡毎に補充・出発のどちらかを選べるそうだ。

つまり、補充すれば必然的にイベントが発生する。


「この巡では到着しただけで、補充も出発も無し。全員の番が終わればイベントに進むよ」

「分かりました」


ソマリの滞在イベントは後らしいので、次はケートス先輩である。


「よっし、せいっ!」


ガラガラガラ……


ケートス先輩が勢い良くダイヤルを回し、やがて一点に止まる。


「4か」

「普通っすね」


4進んだ先は……


「旅の途中で落とし物を見付けた。”高価なアクセサリー”を入手したよ」

「おぉ!」

「んでもさ、落とし物って事は持ち主がいるんですよね?」

「こういうのは持ち主が見付からなければ、所有権は発見者に帰属するけど……」

「領地毎に期間や条件が異なるよな?」

「このゲームでは所持品として扱い、どうするかは本人次第だよ」


ともあれ今は売る事も、持ち主を捜す事も出来ない。


「次は私ね! えいっ!」


カラカラカラ……


「8か。けっこう進んだね」

「え~っと……お腹を空かせた旅人を見付けた。だって」

「見捨てるか、食料を施すかを選択出来るよ」

「あげます! 食料は沢山買ったもん!」


いかにもマリらしい備品内容だった。

で、渡した結果は名声を100手に入れたのみ。



とまあ、こんな感じでどんどんゲームを進行していく。


ギッさん……魔物に遭遇するも、難なく撃破。素材を入手した。


タチアナ先輩……6マス進んだが大事な荷物を落としてしまい、探すために2マス後退。


モーティ……旅は順調、以上。イベント無しって寂しいな。



そして、ソマリの村滞在イベントが発生した。


「今回のイベントは……これだ」


クリストフ先輩が布の袋から1枚の札を取り出す。


「村娘と恋に落ちた。仲睦まじく滞在生活を送る、だね」

「おぉぉ!?」

「こんなイベントもあるんだ!?」

「え、これどうなるんですか?」

「次にソマリの番になってからのお楽しみだよ」


かなり気になるが、ひとまず2巡目に移るのであった。


「よっし、俺の番!」

「ルイスは1回休みだよ」

「あ……」



そうだった。くそぅ……


「じゃ、俺からだね」


カラカラカラ……


「4進んで……また盗賊か」

「襲われ過ぎだろ」


で、撃退。

更に名声と報奨金を積み上げて、ラグの番。



カラカラカラ……


「強そうな男と遭遇した。護衛を頼むかどうか選べるよ」

「ん~……戦力が少し心許ないし、雇います」



ハイクの盗賊イベントを見た後だと、戦力の補充をしたくなるよな。


が……



「ラグは発展イベント発生だ」

「へ?」

「その日の夜、荷物を男に持ち逃げされた。所持金と食料が2割減だね」

「なにぃ!?」


簡単に人を信用すると、こうなる。

中々に世知辛いゲームだった。


「ぐおぉぉ……追って捕まえるとか出来ないんすか!?」

「出来ないね。残念だが」

「くそお!」

「次は僕の番ですね」



悔しがるラグは置いておいて、ソマリの番である。


「補充するかい?」

「いえ、充分に食料はあるので出発します」

「では、恋に落ちた村娘についてだ」

「はい?」

「伴侶として連れて行くか、村に置いていくかを選択してほしい」


皆の目がソマリに集まる。

ソマリは途端に慌て出した。


「そんな事を選ぶんですか!?」

「ああ。これも運命だよ」

「どうすんのソマリ?」

「もういっそ結婚して村で暮らす?」

「旅が終わるじゃないですか!!」


色々と悩んだが、連れて行く事にしたようだ。

別に悩む必要は無いと思うんだが……


「この伴侶が後々にイベントで何かあるかもしれませんから」

「警戒してんのか」

「ええ。それこそ子どもが出来て旅が終了、なんて可能性もありますし」

「それは無いから安心して良いよ」


だそうだ。

となれば伴侶が旅に何の影響あるのか謎だな。



ともあれゲームは進行していく。


ケートス先輩……近くの街に滞在するのを拒否。色々と警戒しているようだ。


マリ……5進んで、快調イベントにより更に4進む。平和な旅だな。


ギッさん……商人と出会って備品を売買。利益と高品質の武器を入手。戦力アップか。


タチアナ先輩……騎士と遭遇し、方向が一緒なので3巡の間は無償で強力な護衛を入手。羨ましい。


俺……6進んで近くの森を探検し、宝石を入手。やったぜ!


ハイク……怪我をした小汚い旅人を救出し、旅の道連れに。すげえ怪しいな。


ラグ……3進んだけどイベントで2後退。さっきから散々だな。


ソマリ……イベント無し。けど伴侶が居る分だけ食料の消費が多くなるそうだ。


ケートス先輩……吟遊詩人と遭遇し、交流を重ねて名声を200入手。


マリ……盗賊の隠れ家を発見し、襲撃して宝を入手。どっちが賊か分かんねえ!


ギッさん……傲慢貴族に遭遇し、半ば強引に備品を献上する羽目に。ギッさんは名門なのにな……


タチアナ先輩……街に滞在を選択し、強制的に騎士とは別行動となった。唖然としてたな。



・・

・・・



「着いたあああぁぁぁ!!」


王都に到着! やったぜ一番乗り!


あれからゲームを続け、1時間ほども経過した頃で俺が真っ先に王都へ到着した。

少し後ろにはマリが居て、度重なる施しイベントにより俺より名声が上だ。



「これって、もう俺はダイヤル回せないんですか?」

「そうなるよ。ただ、他のメンバーが到着するまでは王都滞在イベントが毎巡発生する」

「へー」

「王都のイベントは他の拠点より豪華な内容らしいからね。名声なども得やすいよ」

「よっしゃ!」


名声が少なくてヒヤヒヤしたけど、こういう救済措置もあるんだな。

てことで、他の連中を待つ間は王都でイベントを消化する事になった。


ちなみに、ソマリはゲームの途中で伴侶が子どもを産み、3人での旅となっている。

周囲から野次が飛んできたものの、ゲームだから仕方ない。

それよりも伴侶が色々と助けてくれて多く進めたり、名声を得ている。

こういったメリットがあるんだな。


一方、ハイクは盗賊狩りの異名を得ても不思議じゃ無いくらいに戦闘に明け暮れている。

小汚い旅人は途中の戦闘で死んでしまったが、遺品として古びたペンダントを入手していた。


そしてラグは滞在した街で護衛を雇い、順調な旅をしている。

このままなら三番手で王都に到着だな。


で、タチアナ先輩は伴侶を得たものの、貧弱な伴侶だったので戦闘の足手まといになっている。

盗賊に遭遇しないか怯えながら旅を続けている。


ギッさんは旅の半ばで呪術師に呪われてしまい、しばらくはイベントが発生しなかった。

ひたすらダイヤルを回すだけの退屈な時間を過ごしていたのである。

けど、呪いが解けてからは実力を買われて騎士団の指南役を務めるなど、名声を多く入手していた。


ケートス先輩は恋に落ちた貴族を置いて旅を続け、周囲からブーイングの嵐だった。

けれど、貴族の伴侶は消耗も大きく戦闘の足手まといになるから仕方の無い選択かもな。

後で聞くと伴侶とすれば名声の上昇量が最も大きかったそうだが、足止めなどのデメリットも多いらしい。


そして、モーティは……



「くっ……これで5連続失敗か……」

「中々逃げられないね」


盗賊との戦闘に負けて捕まっていた。

毎巡ダイヤルを回して、出た目により脱出の成功か失敗かを決めるんだけど、ずっと失敗していた。


ペナルティで名声も少しずつ下がっていくし、最下位は免れそうにない状況である。



・・

・・・



「やっと着いた……」

「おつかれ」

「散々だったな」

「もう王都イベント飽きてきたとこだったぜ」



それから1時間後、やっとモーティが王都に到着したためゲーム終了である。

この時点での名声により順位が決まった。


「一位はギリク殿だね」

「ふん、当然だ」


呪われた旅をしていたものの、途中から巻き返したし王都イベントも良い内容を引き続けたので逆転大勝利のギッさんであった。


そこから順に、タチアナ先輩、マリ、ケートス先輩、ソマリ、俺、ラグ、モーティだな。



つまり……



「ハイクが最下位とはな」

「ある意味すげえよ」

「あははは」

「笑い事じゃねえからな!?」


なんとハイクが最下位だった。

盗賊を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返したハイクであり、その名声は終盤まで一番高かった。


しかしながら王都に到着した瞬間、バッドイベントが発生したのである。


原因は途中で死んでしまった小汚い旅人であり、その人こそ継承権争いで都から逃げ出した王族だったのだ。


もし生きていたなら、その王族を擁立した継承権争いという一大イベントを経て、大量の名声を得るはずだったのだが、当の王族が死んでしまったので不発……


しかも遺品を売り捌いてしまったため、王族を害した賊と勘違いされて捕縛された。

ダイヤルの出目により早々と脱獄したものの、そのまま盗賊へ身を落として悪行三昧。


悪名は高まったけど、ゲームにおいては名声がどんどん下がっていき、モーティの王都到着を待つ間に最下位まで落ちたのである。


何度も足を洗う選択は出来たのに、面白がって盗賊稼業を続けたハイクの自業自得だった。




ちなみに俺とマリは先に王都へ到着したものの、イベントの内容が良くなかった。

豪華な内容が多いといっても、バッドイベントだって存在する。


1回休みだったり、名声を落とすようなイベントを引いてしまったのだ。

それでもマリは聖人かってくらい旅の道中に施しを繰り返したために上位へ踏み留まる名声を持っていたけど、俺は名声が少なかったために下位のままゲーム終了となった。



「では、景品を順番に渡していこう」


1位のギッさんは景品として高級珈琲セットだった。素直に嬉しそうだな。


タチアナ先輩……大きなぬいぐるみ。大事そうに抱きしめていた。

マリ……万年筆。よかったな。

ケートス先輩……食堂の高級ランチ食券。羨ましい。

ソマリ……よく分からない置物。うん、ノーコメントで。

俺……方位磁石。冒険に必要だもんな! けっこう嬉しい。

ラグ……魔法関係の本。後でソマリと景品を交換していたけど、置物が欲しかったのか?

モーティ……香を貰った。良い匂いだな。



「そしてハイクの景品は……」

「貰えるだけでも儲けものだよね」

「ところがどっこい罰ゲームとか?」

「そんな事はないよ。これだ」


そう言ってクリストフ先輩がハイクへ渡したのは、運命ゲームだった。


「これからも皆で遊ぶといい」

「なるほど」



というわけで、全員にプレゼントが行き渡った。


「それでは、今後も生徒会を盛り上げていこう!」

「「「「「おう!」」」」」


クリストフ先輩の一言で解散となり、皆で雑談しながら各自の部屋へと戻る。

けっこう時間が掛かったけど、楽しかったな。


また集まってゲームをしたいものだ。




まぁ、人生ゲームのパクリですね。

最初から最後まで細かく書こうとも考えたんですが……さすがに長過ぎるので95%カットです。


よく昔の漫画であった、話の狭間にあるミニゲーム頁的なものと思ってください。



それでは、今年もよろしくお願いします!

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