2_33_演習を控えて
こんばんわ。
早速ですが、重大な事実があります。
なんということでしょう! 第二章が終わってしまいました。
いや……あれ? 年超えると思ってたのですが……
クリスマス終わった後で第二章終了なんて、今からSSを書いても何か違うというか……
遊びのような特訓の翌日。
新入生の生徒会メンバーは職員室に呼び出されていた。
「演習の参加受付が終了した。これから班分けを行う予定だ」
ロー状態のゴルマック先生から班分けについての詳細を教わる。
人数は新入生76名、上級生17名の計93名だ。
これらを11組の班に分け、新入生6~7人と上級生1~2人で1組となる。
学校職員は各班に2人ずつ配置されるし、騎士団も5人ほどが護衛として付いてくる。
そうすれば安全に演習を行える編成となるらしい。
「そしてシャロンとマリは同じ班と決定しているが、他は2日以内に決める予定だ」
「編成がギリギリになりますね」
「急ぎで企画した演習だからな。仕方ない」
ちなみにハイクは参加を見送っていた。
そのため生徒会新入生の演習組は俺とラグとマリと、そしてモーティになる。
上級生の中ではケートス先輩が参加するようだった。
「これが参加者のリストだ。班分けが終わったら新しいのを渡す」
そう言って手渡されたのは参加者の名簿だ。
ほとんど名前を知らないから渡されても意味無いような……まあ、いっか。
連絡はこれだけのようなので、退出して生徒会寮へと戻る。
「ちょっと疲れたから部屋に戻る」
そのラグの言葉を皮切りに、他のメンバーも部屋へと戻っていった。
今日から午後の授業で魔法回避訓練がグレードアップしたため、疲労が大きいのである。
回避するだけでなく反撃も織り交ぜていくよう指示されたんだが、
一朝一夕で上手く出来るものでもない。
半分ぐらいの生徒は詠唱に気を取られて被弾したり、詠唱をする余裕すら確保できなかったりだ。
とまあ、魔力も体力も使った後で武術訓練に突入すれば余力など残っているはずもなし。
特にラグは昨日の特訓で人一倍動いていたから疲労が蓄積してるんだろう。
そういうわけで今日はゆっくり休む事になった。
ただ、俺とマリとモーティは元気だったので授業の復習がてら雑談してたな。
・・
・・・
翌日。
授業を済ませてから、ご意見箱の回収を行う。
最初は3日置き(設置日を含めば4日だけど)に回収するなんて遅いんじゃないかと思ったが、
授業や他の生徒会作業などと並行していれば、むしろ早いとすら思える。
「もう少し生徒会の人数を増やした方がいいのか?」
そのモーティの言葉にハイクが答えた。
「たしかに人数は必要だね。人手が増えれば俺は指示するだけで済むし」
お前が楽したいだけだろ、とか思ったけど……考えてみれば違うか。
今はクリストフ先輩が全員に指示を出しているが、他にも頭を使えるメンバーは居る。
ギッさん、ハイク、ソマリ、タチアナ先輩とかだな。
人数が増えれば、それこそ班分けみたいに編成して各班で動ければ効率的かもしれん。
「ただ、そうすると指示を受けるだけのメンバーが出来上がっちゃうからね」
「へ?」
それ、俺だけど?
「ルイスは違うでしょ。しっかり状況説明を受けてるじゃん」
「あ~……そういうもんか?」
「人数が増えれば色々と難しいからさ」
生徒会としての方針だったり、情報の扱い方だったり。
そういうのが未熟なままで指示をしても失敗するだけだ。
下手すると生徒会はメンバーによって対処が全然違う、って結果になる。
かといってクリストフ先輩だけが指示をしようにも、指示の前には検討が必要。
1件毎に検討を重ねて指示を出して、ってのは時間が足りなくなるだけだ。
「今は指示側のメンバーを育てているって考えたらいいよ」
クリストフ先輩の指示を受けたり、全員で状況の把握をしたり……
生徒会としての経験を積んでいけば、ゆくゆくは大人数でも統一的な活動が出来るようになるそうだ。
「それこそクリストフ先輩だって、手探りで進めているはずだよ」
「まあ、今年から指名されたんだもんな」
昨年までは一般が生徒会長になるなんて有り得ない話だったわけだし、
いきなり指名されたら混乱するだろう。
メンバーを集めるのも一苦労だったはずだ。
俺達が入学した時は正規メンバーがクリストフ先輩とケートス先輩とタチアナ先輩のみ。
怪我率No.1のケートス先輩に、人見知りNo.1のタチアナ先輩か……お先真っ暗とまでは言いすぎだろうけど、けっこう厳しいよな。
臨時会員は居たけど、どこまでの働きだったかも知らないし。
「今はメンバーも増えたし、色々と考えられる人も多いからマシだよね」
「これからに期待、って状況なんだな」
「希望が見えた、とも言えるね」
なんて話しながら生徒会室に到着した。
中に入ると、前回と面子が揃っている。
そして、ご意見箱の開封前にシャロンから伝達があった。
「食堂の席に関して、無理矢理に奪おうとする現場をチャールスが押さえたわ」
「ふむ。注意だけで無事に運んだかい?」
「ええ。貴族同士での喧嘩みたいなものだったそうよ」
詳細は伏せられたものの、穏便に済んだようだった。
一応は防げたようだし、今後も同じ方針を継続で問題ないと合意された。
ついでに、俺もドルアーザさんの話を職員室で披露したと報告する。
だがそこは他勢力にとっては関心の欠片もない。
あっそ、で終わった。
以上の2件に関しては結果の告知を張り出すようだ。
食堂の席に関しては解決じゃなくて、再発防止に努めるって文面だけどな。
「では、開封しようか」
てことで第二回ご意見箱開封だ。
今回は5通。
大部屋寮からは花壇を設置してほしい、生き物を飼いたい、という2件の要望だった。
どちらも職員との相談が必要として、交渉はローレライ家が名乗り上げる。
特に反対は無いが、ゼグノート家は要望自体に否定的だったため少しの論争が行われた。
「学校の景観を変えるような真似を易々と許すのか?」
「花壇ぐらいで崩れるような景観ではないわ」
「しかし、これを機に要望が続けば無秩序になるでしょう」
「自身で世話をする、そして予め設置可能な範囲を限定、などの条件があれば構わないと思うが?」
「……その範囲内で別の何かを設置できるかもしれんだろう。椅子を設置したいなどの要望が出たらどうする」
「まだ要望として出ていないのだから心配する必要などないわ。それこそ早い者勝ちではなくて?」
「だとしても、もう少し慎重に検討すべきかと」
「だから職員と相談するのよ。必要であれば意見元も連れて行くわ」
「それは匿名の意味が無いでしょう!」
「もし自身で世話をするなら、いずれは分かる話よ。匿名である理由なんて本人は持っていないでしょうね」
こんな言い合いを繰り広げていた。
やがて、まずは職員と相談して問題ないのであれば設置し、何か条件だったり懸念があるなら解決できるように対処となった。
その段階で、ご意見元との接触が必要なら、その旨を記載して結果告知。
などの手順でローレライ家が担当する事になった。
生き物を飼いたい、って要望も同じように両家の言い合いが始まり、
種類が不明では判断できないので一旦は職員と相談しつつ進めていくようだ。
それからも開封と検討、そして担当を割り振っていきながら時間が経過していく。
で、とうとう5通目となりクリストフ先輩が開封すると……
「ふむ。生徒会長の解任要望だね」
さらり、と読み上げてしまったが、場の空気が固まる。
こういうのが届くって心構えはしてたけど、いざ届くと切ないな。
が、すぐにクリストフ先輩は対処を提案した。
「王家の指名でもあるからね。解任するなら理由が欲しいところだ」
解任時期、解任理由をご意見元から提示してもらい、王家と唯一接触できる学校長に伝えてもらう。
それで王家が納得すれば解任の知らせがくるだろうし、無ければ却下された形となる。
もちろん提示は匿名で構わない。
という内容で結果告知するのはどうか、というクリストフ先輩の提案に両家は即決で同意した。
「王家の指名ですからね。こうするしかないんですよ」
というソマリの補足も受けつつ、ご意見箱開封は終了する。
続いての議題は都歩きについてだ。
こちらは生徒会の主催で進めていたものの、貴族側の意見なども盛り込んでいるので
通達しておくべきだとクリストフ先輩が判断したのだ。
”事前に通達すると反対意見が出て面倒だから、事後だけどね”
なんて笑っていたクリストフ先輩に皆が頷いていた。
そんなわけで通達だけした後、ゼグノート家からは学生による魔具研究室の予算について議題が上がり、
ローレライ家からは寮の門限制度導入について議題が上がる。
どちらも結果的には提案が却下となってしまったが、
小難しい話し合いを両家のみならず生徒会側も参加して繰り広げていた。
俺とマリは聞いていただけだったが、色々と考えてるんだなぁ……って顔を見合わせていたな。
そうして本日の議題は全てが消化し終わり、解散となる。
全員でクリストフ先輩の部屋で認識合わせを済ませ、
新入生組が俺の部屋に集まって授業の復習を行っていた。
「だからさあ、地系統は防御魔法が安定してんだから使えばいいじゃん」
「なんでも使えばいいわけじゃないです。雨で地面が濡れた場合を習いましたよね?」
「あ~……なんだったっけ?」
「脆いんですよ。そのまま地面を使った場合だと」
そういえば、そんな事をババロン先生が教えてくれてたっけ。
水系統の魔法で予め湿らせておく、ってのも一つの手だったな。
脆くなっているのに気付かず地系統の防御魔法を過信していると、
アッサリ貫通してしまうそうだ。
「だから、雨以外でも地面に仕掛けが無いか気を配る必要があるんですよ」
「じゃあ精製すればいいんじゃね? 仕掛けとか関係なくなるし」
「魔力消費を抑えるには環境利用が適切ですよ。無駄なコストは抑えるべきです」
「つってもなぁ……」
「ハイクもそう思いません?」
あ、なんかタチアナ先輩っぽい。
「っははは……」
「何を笑っているんですか」
「タチアナ先輩の口調に似てたからな」
「あ、ラグも気付いた?」
「おう」
「偶然ですよ! 真面目にしてください!」
「怒らなくてもいいと思いません?」
「だははははは!! 似てる似てる!」
「ラグ!」
とまあ、賑やかに復習をしていた。
1時間後、なんやかんやで無事に終了し、皆が部屋へと戻る。
忙しい毎日だけど授業にも付いていけているし、もうすぐ冒険も出来る。
俺はワクワクしながら日々を過ごし……そして3日後、演習の日を迎えたのだった。
第三章はストックが無いため、開始まで時間を置く事になります。
その間は筆休めとしての番外編を投稿する予定ですけど、誰の視点で書こうかなぁ……
ともあれ、ここまで呼んでくださった方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
この場を借りて、来年もよろしくお願い申し上げます。




