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先駆者の導き  作者: 腹ぺっこ
第二章 生徒会活動
30/217

2_08_実技授業 前半

おはようございます!



「集合っっ!!!」


もう集合してます。



「本日より諸君の実技授業が始まるわけだが、知っていたか!?」


知ってるから集まってます。



「生半可な気構えでは生き残ることなど出来ないと思えっ!!」


授業で死ぬんすか。



「ではっ……やれ!!!」


なにをやるんだよ!!




ーーーーー



シャロンが目覚めたのは午後の実技授業まで

あと10分といったところだった。


たっぷり、とは言えないが1時間ほど寝たわけだ。

机に突っ伏しての睡眠だったから余計疲れたかもしれないが、少しは元気になっただろう。


その証拠に、憔悴しきっていた顔にも少し血の気が通って……いや、これ違うな。



「とんでもない失態よ……人前で寝るなんて……」

「もう忘れろって」

「恥ずかしくて顔から火が出そうだわ」


今なら火系統も発現しそうだ、と豪語するのはシャロンである。


「大丈夫よ、寝顔可愛かったし寝相も良かったもん」

「そういう問題じゃないの」


そしてマリのフォローは役に立たない。


だが、ここで俺が言い募っても余計に恥ずかしいだけだと思い至ったので放置しとこう。



少し前、昼休憩中に熟睡してしまったシャロンは、”壁”により寝顔が白日の下へ晒される事態を回避できた。


だが、その壁は原材料が野郎どもである。


いくらイケメン成分40%配合の高級品であったとしても、シャロンが恥辱に感じるのを避けられなかった。


というより一言で表現すれば異様、だった。

食堂の奥で男子生徒が5人も並んで直立不動なんて、その奥で何が行われているのかと興味を持った生徒も多いはずだ。


だが、チャールスが今にも飛びかかりそうな顔で睨みを利かせていたので近付いてくる者は皆無だった。


後ほど、噂になってしまってクリストフ先輩から叱られたのだが、あの時は俺達もどうかしていたと思うので甘んじて反省した次第である。


ともあれ、そんな未来を予想も出来ずに立っていると、ヒャッ、と小さく悲鳴が聞こえた。


振り返ってみれば、シャロンが泣きそうな顔で睨んできたのだ。

頬を押し付けて寝ていたので、その部分だけ赤くなってもいる。


なので全く怖くないし、むしろ眼福でしたと言わざるを得ない。


けど煽っている時間も無かったので、急いで実技授業の場所である多目的場まで移動したというわけだ。


ハイク達は別の場所らしいので、食堂で一旦解散した。



ーーーーー



……で、先生が相当うるさい。

いきなり”やれ! ”とか言われても分からんっつの。


先生は鋼の肉体とでも呼ぶべき筋肉量に加え、背も高くて2m近い。


俺達としては親しみ易さから程遠い先生に対して、正面から向かい合うのは度胸が必要である。



そんな戸惑う生徒達の中で、臆する事無くなんのかんのと言い合う女子二人から目を逸らし周囲を見渡すと、先日の交渉試合で使った訓練場に似ていると感じた。


だが、少し様相が違う。


というのも、今俺達は多目的場の中央に佇んでいるのだが、離れたところに魔具らしき物体が配置されているのだ。


反対方向には的が乱立しており、魔法で狙うのだろうとは予想できるが魔具らしき物体の用途は分からない。


「静かに!! これより授業を始めるっ!!!」


この人が一番うるさい。

ずっと笑顔だし、そういう雰囲気は好きなんだけどな。


てか、先生は自己紹介とかしないのだろうか。



「まず始めに諸君へ魔法道具……通称、魔具を配布する!!」


そう言って全員に配られたのは指輪だった。

あ、これって……


「励起制限の指輪?」

「その通り!! よく知っているな!!」


ハイクが試合で使ってたからな。


「これは魔力の励起を一定量に抑える魔具であり、初級魔法に設定してある!!」


よって、どれだけ魔力を込めようとしても

初級魔法の行使が可能な程度しか魔力が励起しない。


「これから初級魔法を行使して、的を狙ってもらう! 魔力が枯渇してきて辛くなった場合は申し出るように!!」



何か質問はあるか!! と見回してきたので手を上げる。


「君は……ルイスだったな!」

「はい。質問なん」

「先日の放送は中々に良かったぞ!!」

「え? あ……はい。それで質も」

「今後も活動に励んでくれ!!」

「ども」

「……」

「……」

「……」

「…………質も」

「ところでルイスの系統を教えてくれないか!!」

「質問させろよ!!」


あんたが質問してどうすんだよ!

間を空けたのに被せてくるし!!



「ダーーハハハハ!!! ……すまない」

「お?」


先生が、さっきまでと打って変わって無表情になった。

声の大きさも5段ほど落ちてしまい、まるで別人のような印象を受ける。


「どうにも高揚しやすいものでな」

「あの……」

「おお、質問だったか」



質問が増えたんですけど……



「何でも聞きなさい」

「さっきと雰囲気違うんですけど、どうしたんですか?」

「魔具を使った。気分の低迷を招く効果がある」

「は?」

「俺は熱くなりがちなのでな。こうやって気分を落ち込ませる効果を自身に付与しないと、話が進まない場合が多い」


つまり、テンション下げる魔具って事か?

そんなのもあるんだな。



「平常時に使用すると危険だがな。鬱状態にまで落ち込む可能性がある」


怖っ!


タチアナ先輩に使ったら、消えてしまいたいとか言い出しそうだ。


まあ、それは置いておこう。


「それで……どこから撃ったらいいんですか?」

「おっと、そうだな。線を引かないと……あ、道具忘れたな……」


頭を掻き、やがて先生が足で線をガリガリと引いていく。

だが、見えにくいな。すぐ消えそうだし。


先生も同じように思ったようで、う〜ん……と唸りながら悩んでいる。


「ちょっと待っててくれ。線引ける道具持ってくるから」


そう言って走り去り、生徒達は互いに顔を見合わせている。


「もう始めていいのかな……」

「待ってろって言われたよ」

「でも、時間が勿体無いよね」


そう口々に喋るが、誰も行動には移さないようだ。


結局、すぐに先生は戻ってきたが……


「待たせたな」

「理由も言わずに連れてこられては困ります」



持ってきたのは道具じゃなくて人だった。




「紹介しよう、ナイール先生だ」

「初めまして、新入生の皆さん。ナイールです」

「……あ」


なんか見た事あると思ったら……試験官の人だ。

俺の漏らした声に気付いてナイール先生がこっちを見る。


「おや、君は……ルイス君じゃないですか」

「名前覚えてたんですか……」


凄い記憶力だな。

と思ったが、違うようだ。


「いいえ。覚え直した、が正しいです」

「?」

「君の話は職員の間でも出ていますよ。先日の放送でね」


そういえば隣の……まだ名前聞いてなかったな。


声のデカかった先生も俺の放送がどうたらって言ってた。

よく分からなかったから流したけど。


「放送って何の話ですか?」

「おや、ご存知ないのですか」

「はい」


すると声のデカかった先生が教えてくれた。


「先日の交渉試合でスピーチしただろう?」

「まあ……はい」

「あれは学校内の全域に放送されてたんだ」

「うそぉ!?」


マジかよ!

いや、たしかにケートス先輩まで届け! ってぐらい大声出したけどもさ!



「まあ、今は授業なので放送については後にしましょう。ゴルマック先生、私を連れてきた理由を教えてください」


あ、名前はゴルマック先生か。

他の生徒も口々に、ゴルマック……と呟いている。


みんな気になってたんだな。



「いやあ、魔法で的を狙うんですが、線を引く道具を忘れてきまして」

「なるほど。それで、なぜ私を?」

「あの魔法でズバッとやってくださいよ」

「……本気ですか?」

「生徒達も度肝抜きますから」

「度肝を抜く必要がありません」

「まあまあ、授業のためです」


ナイール先生は渋っていたが、やがて観念したようで

溜息を吐きながら俺たちに動かないよう指示した。


何が始まるのか分からないまま従うと、ナイール先生は的の方へ歩き出し、やがて線を引く位置を見定め詠唱を始める。



「”我が身に纏え鋭利な刃風、暇も与えず痕だけ残し、振るい散らすは風神の爪・・・ゲイルリッパー”」


詠唱の完了と同時に、ナイール先生の腕に風が集まっていく。


肉眼で見えるため魔法で精製されている風だと分かるが、見えるからこそ凄まじい威圧を感じてしまう。


そして、何が起こるのかと息を潜めていた俺達の目の前で、ナイール先生が地面に向けて腕を大きく振るった。




ザギャッ!!




……そんな音が聞こえた気がする。

ただ、そう感じた時には終わっていた。



地面に、深く鋭い斬撃のような痕だけが残っていたのだ。


振った腕よりも遥か遠く……多目的場の端まで届いている。


それでも多目的場を囲む壁を傷付けていないのは、ギリギリまで範囲を制御したからだろうか。



「これでよろしいですか?」

「さすがナイール先生。ありがとうございました」

「今度は道具を忘れないようにしてくださいね」

「だはは……気を付けます」



ナイール先生が仕事は済んだとばかりに立ち去っていく。

その背中を呆然と見送っていると、ゴルマック先生が聞いてきた。



「どうだ? この線なら大丈夫だろ?」



なにが大丈夫なのだろうか。


これなら消えないしハッキリ見える、という意味だろうか。


だとすれば見えるし、消えないだろう。


けれど、どうだ? と聞かれたならば答えは決まっている。





「「「「「やりすぎです!!」」」」」



・・

・・・



「”燃やし焦がす火神の戯れ・・・バーンボール”!!」


ぼひゅっ、と火球が掌付近から飛び出し、真っ直ぐ飛んでいく。


それは約30mほど離れた位置にある的へと当たり、

ボンッと小規模な爆発を発生させた。


「ん~……当たりはするんだけどな」


どうにも遅く感じる。

時速60kmくらいだから……2秒弱で着弾か。


余裕で避けられるよな。

まあ実戦だと、あれだけ離れた相手に撃たないけどさ。



冒険者を目指すからには魔物との戦いが付きまとう。

やつらは素早い種類も多いし、この程度なら難なく避けるだろう。

当たるのなんてゼライムくらいしか思いつかない。あとゴブリンか。


そして他の人の魔法を見てみると、俺が撃ったのと同じバーンボールでも速かったり大きかったり…… 一味違う。


けど、その分威力が低かったり

当たらなかったりもする。


この前にエグラフがやっていた緻密な魔法制御……あの技術を意識しているわけじゃないだろうから、

個人の認識力が表れているのだろうと思う。


俺は平均的なのかな?


あいつは……速いけど命中率悪い。

詠唱による認識補完があったとしても、万能ではないから自身の認識力も影響するし。


「”弾き浄化する光神の戯れ・・・フォトン”」


ギュワッ、と耳近くを光弾が通り過ぎ、俺が狙っていた的へ直撃する。


案外威力あるんだな。的が揺れてら……って、あぶねえな。



振り返るとシャロンが表情もなく俺に掌を向けていた。

やっぱりお前か。


シャロンは紆余曲折した結果の誤射だと取り繕うでもなく、むしろ俺を非難してきた。



「呆けてたら邪魔よ」

「なんで俺の後ろから撃ってんの?」


線があるだろ。

ちゃんと並んで撃てよ。


「忌々しい記憶を飛ばせたら、と思っただけよ」

「次撃ったら言いふらすからな」

「なっ……! 卑怯者!」

「背後から撃ってくる奴に言われたくねえよ!」

「ちっ……」



女子らしからぬ舌打ちを置き土産にして、シャロンは本来の立ち位置に戻っていった。


まだ根に持っているようだが、そんなに恥ずかしいか?


マリよりは100倍マシだと思うぞ?



まあ、きっと退屈なんだろう。

かれこれ30分ほど、魔法を撃っては休んでの繰り返しだ。


ゴルマック先生は頷きながら、何も考えて無さそうな顔で俺達の様子を眺めている。


たぶんだけどテンション戻ってるよな……あれは。


それからまた10分ほど魔法の練習を繰り返したところで

ゴルマック先生が生徒達を集合させた。


「諸君! お疲れ!! これで本日の魔法訓練は終了だ!!」

「へ?」


これで終わり?

初級魔法撃ってただけなのに。


「それでは練武室に向かう!! ついてこい!!」


その号令で、全員が次の場へと向かう。


10分ほど歩いて辿り着いたのは練武室だ。


中に入ると、様々な武器や防具が壁に掛けられている。

物々しいが、室内は明るくて広いため圧迫されるほどでもないな。


「では、他の新入生が到着するまで休憩!!」


どうやら皆が揃うようだ。


座ってマリやシャロンと雑談しつつ待っていると、一人の少年が近付いてきた。


着ている服は実技授業に合わせたのか、動きやすそうである。

だが、赤を基調とした燃えるような色彩で、正直に言うと目が痛い。


「シャロン様」

「……なにかしら」


柔和な顔に微笑をたたえて話しかけてきた少年は、優雅に礼をしてシャロンへと進言した。


「小耳に挟んだ情報があります」

「そう、どんな情報?」

「この場では……」


ちらり、と俺達を見やるので、シャロンは小さく息を吐くと立ち上がる。


「少し外すわ」

「うい」

「またね」


引き止めるわけにもいかないので送り出すと、貴族連中が固まっているグループに紛れていった。



「ああやって見ると、シャロンって旗頭なんだよな」

「そうね……忘れてた」



忘れちゃ駄目だろ。

俺もあんまし意識してなかったけどさ。


それからは俺達のところへ戻る事なく、色んな人に話しかけられている。



「ご意見箱……どうなるのかな」


ふと、マリが小さい声で独り言のように呟いた。


「分からんけど、クリストフ先輩が言ってたじゃん」


この3日間はご意見箱の設置箇所や、どんな内容が届くのかという想定を広げたりしていた。


他にも対応の手順だったり、対処結果の告知有無など色々と検討を繰り返していたのだ。



その中で名門両家への協力要請についても話は挙がり、どうなるのやらと考えていたらクリストフ先輩が説明してくれた。


「ゼグノート家に関しては評価を受けている立場だと心得ればいい。ローレライ家に関しては、ゼグノート家との軋轢を緩和していこう。ご意見箱も設置自体は可能だろうから、結果を見せて両家の腰を上げればいい」


と、こんな言葉だった。


ハイクに要約してもらうと、乗り遅れて狼狽したところを拾ってやればいい、って話らしい。



「ねえ、シャロンが生徒会に入るって話はどうなったの?」

「返事待ちだな。3日待てって言われただろ」

「んと……今日で何日目?」

「4日目」


つまり3日は過ぎたので、今日に返事をもらえるのが理想だ。

ただ、午前授業での様子を見ている限り……聞きづらい。


色々と悩んでるのか忙しいのか分からないが、寝不足になるほどってのは見て取れる。


だからこそ、シャロンを生徒会に入れるという提案に対して前向きに検討してもらう事自体が心苦しくなっていた。



だってさ、名門貴族の旗頭だぜ?


血筋の中でも最重要人物だろうにさ、学校の在り方とか初の一般生徒会長とか、頭を悩ませる状況が連続している。


その上で生徒会に入らないか? という提案は挑発行為にしかならないし、穿った見方をすれば一般から舐められていると捉える事も出来るだろう。


簡潔に言えば、一般の下につけという意味と同義だからだ。


生徒会という組織に入るのであれば生徒会長が組織の顔となる。

つまりクリストフ先輩がトップであり、会員は下につくって事だ。



普段なら突っぱねるだけの話なわけで、実際に一度は拒否された。


けどチャールスの暴走で再考する羽目になったし、エグラフの伝言で名門貴族としての振舞いに圧力をかけられた。


前例すらない状況の上、なんとか近似するものを倣おうとしたら、どうしても生徒会長という座に執心する羽目になりかねない。


そうなるとエグラフ陣営からは伝言の意味を理解してないと判断されて、小馬鹿にされるか呆れられるか……どう転んでも両者の溝が深まる。


「……ってソマリが言ってた」

「そういうものなの?」

「俺に聞かれてもな……」



ともあれシャロン陣営、ひいてはローレライ家勢力は動き方を慎重に検討するよう誘導されているらしい。


エグラフの伝言一つで昨年までの生徒会長四連覇にケチが付き、今後の動きは前例に頼る行為自体にケチが付いた。


お先真っ暗というわけだ。



「まあ、難しいのは俺達に向いてないな」

「そうね。楽しいこと考えよっか」

「たとえば?」

「明後日は学校お休みでしょ? どうするの?」



そういや休みだったか……


こんな状況じゃなければ都を観光する、って即答しただろうけどな。


でも、いくら難しいこと苦手だからって、好き勝手遊び回るのはなぁ……


と、悩んでいると練武室の入り口から新入生達が入ってきた。


他の教室の生徒達だな。

先頭を歩くのはチャールスだ。



「シャロン様っ!!」


相変わらず大声を出しながらシャロンの元へと走っていく。


それを見ていると、ラグ達が合流してきた。


「お前らも初級魔法ばっか撃ってた?」

「おう。ただ、勉強にはなったぜ」



ラグ達は得るものがあったようだ。

俺も少しは上達したり考えたりしてたけど……



「そんな学ぶものあったか?」

「ええ。ためになる話でしたよ」

「話……?」


なんの話だ?


「ルイス……先生は誰でしたか?」


訝しげにソマリが聞いてくる。


「ゴルマック先生だけど?」

「それなら納得です。おそらく大事な部分が抜けていたんでしょうね」


聞けば、初級魔法ばかり撃たせていたのは先生達の情報収集と、俺達へのアドバイスを目的としていたからだそうだ。


誰がどの系統を使うのか、などの前情報はあるものの、全部覚えきるまでの時間は足りなかったらしい。


一般入学者の増加や、二次募集での試験内容に対する苦情対応、学生の身分比率変化に伴う授業内容の調整などなど……


覚えたくても落ち着いた時間すら無かったそうだ。



よって、実際に魔法を行使させて技量や傾向を見る。


長時間続ける際は、どのタイミングで休息を取るか。

制御や認識の得手不得手や、他者の魔法を見る余裕を持てているか。

そういった情報を収集していたのだ。


「それで、あとは個人に適したアドバイスを出してくれたんです」

「だから遅かったのか」


ゴルマック先生……不安になってきましたよ。



ともあれ皆揃ったわけで、やがて先生達が練武室の奥にある壇上から生徒達へ呼びかけ始めた。


「皆さん、魔法訓練お疲れ様です」


そのような言葉から始まり、各々が課題発見や方針の見定めを継続していくようにと告げられた。


ゴルマック組の生徒達は疑問符の浮かびそうな顔をしていたので少し気の毒になったが、俺も被害者である。


そして当のゴルマック先生はバツの悪そうな顔をしているので、後で皆へアドバイスを授けてくれる事を願いたい。



「では、これより武術の訓練について説明します」


武術にも様々な種類があり、同じ武器を用いても流派が違ったりする。

そのため可能な限りの師範役を揃えているようだ。


そして同じ流派でグループを分けられた後は、我流の生徒達に指示が飛んでくる。


「この機会に既存の流派へ師事したい生徒もグループに入ってください」



その言葉で、俺達を含む我流の生徒達はざわめきながら悩み始めた。


ちなみに我流なのは全て一般生徒である。

貴族は早いうちから流派が決まっていて、鍛錬を積んでいるのだ。



「なあ、どうする?」


そのように聞いてくるのはラグだ。


「我流でよくね? もう癖とか取れねえだろ」

「そんな事ないですし、しっかりした型を会得するのはメリットがあります」

「ん〜……ここは各自で好きに判断すっか」


というわけで、一旦解散して各々が流派を選ぶ運びとなった。



「ソマリはもう決まってたりすんの?」

「当然ですよ」



当然らしいので、ソマリが何を選ぶのかな? って見ていると、シャロンのいる流派に近付いていく。


まあ名門が選ぶ流派なら間違いはないか。


そう思っていると、おそらくローレライ家勢力だけで構成されているだろう集団からの視線を浴びて……進路を変えた。



睨むような視線がソマリの背を刺しつつ、結局辿り着いたのは……飛天突蜂流とかいう、よく分からない流派だった。



「あいつ……逃げたな」

「だね。やっぱ誰か一緒じゃないと厳しかったかな」

「っははははは!! ソマリ一人だけじゃん!!」



ラグが爆笑しているように、師範役と思しき人とソマリだけだった。


後に聞くと、一人だけの方が濃密な鍛錬が可能なんです! と言い訳していた。



で、マリは何を気にすることも無くシャロンのいる流派へ合流し、一緒に行けばよかった……と言わんばかりの顔でソマリが見届けていた。


出会った日にマリが言っていた”貴族が怖いの”発言は一体なんだったのか……



ともあれ流派を選びたいと判断した生徒達は、ようやく師事する先を定めたようである。


ちなみに、俺とラグとハイクは我流のままで留まっていた。

それを見届けて、壇上に立つ先生が説明を再開する。


「では、我流に留まる生徒達は、まとめてゴルマック先生が師範役を務めます」



なん……だと……



「やっぱ俺もりゅ」

「よろしくな諸君!! だーーははははっはっはっは!!!」


俺も流派を選びます! と手を上げようとしたところを、いつの間にか背後に立っていたゴルマック先生に遮られた。



くそぉ……



次は後半でなく中盤です・・・長くてすいません。

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