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4/4

悲劇でもある。

更新遅くてすみません。





アヴェリアがユリシスと出会ったのは、彼女が8歳の時であった。


彼女は後に思う。

この出会いは人生のターニングポイントであったと。




"物語"は、もう、既に始まっていたのだと。








************






前世の記憶、経験があるせいか、アヴェリアは周りからとても聡い子供として見られていた。


彼女は子供らしく振る舞っていたつもりだが、必ず何処からかボロが出る。それでもアヴェリアの両親は、変わらず彼女を溺愛していた。


していた、が。



「父様、母様。どんな御用でしょうか」


「……よく来てくれたな、アヴェリア。今日はお前に紹介したい人がいる」



父は微笑んでいるが、その眼差しは何処か陰り、突き刺さるようにアヴェリアを注がれる。


何か気に障ることでもしてしまったのだろうかと、彼女は戸惑い、母へと目を向けるが、母は脱力したように床へと視線を落としていた。

何があったのだろうか。



「紹介したい人、ですか?」


「あぁ、此方へおいでユリシス」



何処か甘さを含んだ声音で、父は後ろを向き話掛ける。初めて聞いた声のような気がした。

母にもこのように話し掛けたのを見た記憶さえない。本当に優しい声音だった。


「……ぁ」


「ユリシス? どうしたんだ、さぁおいで」



戸惑ったような声だった。

若干の怯えを纏ったその声は、子供特有の高い声で、声だけでの男女の区別は無理そうだ。


アヴェリアからは、父の背中が遮り子供の姿は見えない。子供がアヴェリアから隠れているのではなく、父が意図的に隠しているように見えた。

明らかにいつもの父ではない。まるで、



(私の事を舐めるように見てくる、小児性愛者みたいだ)



そこまで考えて、彼女は気分が悪くなった。自分の父に限って、そんな。



「ほぉら、挨拶しなさい。君の姉になる人だ」


「…ぁ、……あ」



父が無理矢理、子供の細い腕を掴んでアヴェリアの前につきだす。

子供は恐ろしい程に、美しかった。



「ほら、ユリシス」


「う……ぁ…」



年齢は、4、5歳くらいだろうか? 柔らかそうな黒髪に、青がかった紫の瞳、桜色の唇。

どれも綺麗なのに、瞳はギョロギョロと忙しなく動き、カチカチと歯と歯があたり鳴る音に、不健康なほどに青白いその肌が台無しにしていた。が、それでも美しい。


アヴェリアは子供を見て、何処か既視感を抱いたが、直ぐに浮かんで消えた。



「……初めまして」


「………ぅ!?」


「私はアヴェリアと言います。貴方は?」



もちろん、子供の名前は父が先程言っていたので、彼女は知っているが、どうしても子供の口から聞きたかった。


怯えている子供の目線に合わせるように、しゃがむ。行儀が悪いと言われるが、それでも子供を真っ直ぐに見たかった。



何故、と思うことは沢山ある。


急に、子供を連れてきて弟と紹介してくる父。

心此処に在らずと空虚に視線をさ迷わせる母。

何かに怯えてビクリと体を震わせている子供。


だが理由を聞いても、誰も教えてくれないだろう。



「貴方の名前を教えて欲しいの」


「……あ…」



アヴェリアは静かに微笑む。

大丈夫という意味を込めて。



「……ユ…シ」


「うん」


「…ユリ、シス……」


「うん、ユリシスと言うのね。宜しくお願いしますね」


「……ぅ」








この日を境に、この屋敷は何処か可笑しくなっていった。


加速していくそれは、止まることを知らない。










カチ、と時計の針の音が聴こえたが、直ぐ遠くなり残らなかった。








リアルが忙し過ぎるorz

あと花粉なんて嫌いだ。鼻つまってまともに寝れない。だからといって口で息しても、ホコリアレルギーで咳が止まらなくなる。

なにこの悪循環。

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