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戦闘開始だぞ

「しかし、こいつはどれだけの大きさがあるんだろうね。下から見ているだけじゃ見当もつかないよ」


 ザグが呆れたような顔をしているが、俺も同感。


 改めて見ると、足は外からは見えないが、まあそういうものはついてるんだろう。


「なあ、あいつの弱点ってわかるのか?」

「こんなに大きいんじゃ、僕だって探りだすのはかなり時間がかかるよ」

「どれくらいなんだよ」

「はっきり言うと、何日かはかかりそうだね」


 そんなにかよ。


「こいつの足が遅くてよかったな」

「そうだね。それから早速わかったことがあるんだけど、あいつは後ろのほうから魔獣を生み出してるみたいだよ」

「魔獣を生み出すって、どういうことだよ」

「くわしくはわからないけどね。そうらしいっていうのは見えたんだよ」


 それを聞いた俺は息を吸い込んだ。


「オーラさん! そいつの後ろに魔獣を生み出す何かがあるらしいですよ!」


 俺の大声にオーラさんはこちらに振り向いてうなずいて見せた。


 それから俺はザグのほうを見た。


「さて、俺達はどうする?」

「魔獣は他のみんなに任せよう。ヨウイチ君はできれば本体に攻撃してみてほしいね」

「ああ、わかったよ」


 俺は手をかかげた。


「次元の鉄槌よ! その姿を現し我が手におさまれ!」


 鉄槌を握った俺はとりあえず山に向かって走り、それに鉄槌を振り下ろした。


 くっそー、手が痺れる。でもこの山はびくともしない。がむしゃらに攻撃しても全然駄目みたいだ。


 これなら、とりあえずは俺も魔獣を相手にしたほうがよさそうだ。


 と思ったけど、そっちのほうはまもるさんとオーラさんが中心になって順調に片付けている。


 それなら俺は魔獣を生み出す何かっていうのをなんとかしにいくか。


「フォーム! アーマーアンドシールド!」


 俺は盾を前面に押し出して全力で走り出した。魔獣達は無視だ。


 何体か魔獣を弾き飛ばして一気に走り抜けたが、山の後ろにはまだ遠い。俺はとにかく走った。


 それでも今の俺の脚力でも後ろにまわるのは数分はかかった。


 到着してみると、穴でも開いてるのかと思っていたらそういうことではなく、山肌の一部が空間ごと歪んでいるように見えた。


 そして、今まさにそこからあの芋虫みたいなのが這い出してくるところだった。すごく妙な光景だな。


 まあここはとりあえず。


「フォーム! 次元の鉄槌!」


 俺は鉄槌をかついで、その芋虫が這い出してこようとしているところに走った。


「おらああああ!」


 芋虫を押し返すイメージで、鉄槌を横殴りに振ってその頭に叩きつけた。


 だが、押し返すということはできず、鉄槌は芋虫の体を潰していき、山肌に激突、しなかった。


 なんというか、歪んだ場所に触れる直前で、どれだけ力を入れても鉄槌が前に進まなくなった。


 直接殴った時の堅いとか重いとかいう感じとは全然違うぞ、これは。俺はとにかく一度下がった。


 しばらく観察していると、今度はトカゲっぽい頭がゆっくりと顔を出してきた。どうなってるのかはわからないけど、これっていくらでも湧き出してくるのか? それに、どうも一箇所ってわけじゃないらしい。


 今はとにかく戻って相談だな。いったん鉄槌を消して俺は走り始めた。


 みんなの場所に戻ってみると、すでに最初にいた魔獣はほとんど倒されていた。


「どうでした?」


 オーラさんがいつの間にか俺の横に来ていた。


「後ろのほうにいくつも魔獣が出てくる穴というか、歪みがありましたよ。鉄槌で攻撃してみましたけど、駄目でした」

「そういうことならすぐに無理をする必要はありませんね。本体の動きも遅いようですし、しばらくはここで食い止めながら、様子を見て対策を考えることにします」


 それからは後ろからまわってきた魔獣を片付けながら時間が経っていった。


「おいザグ、まだ何もわからないのか?」

「言ったじゃないか、何日かかかるって」

「でも、このままだとあいつが町に着くまでに間に合うかわからないぞ」

「そういうことなら、あれの進路を変える方法をなんとか見つけないといけないね。ヨウイチ君の力でなんとかならないのかい?」

「無理だって」

「だろうね」


 あんまり切迫感がない奴だよな。


 しかし、今のままじゃ俺にできることはほとんどない。そう思って上を見上げると、そういえば山頂は見えないな。


「ちょっと登ってくる」

「え? あれにかい? ジローを連れてきたほうがいいと思うけどね」

「あいつは町の守りに必要だろ。それに登ってみればなにか発見があるかもしれないし」

「なるほどね。それじゃ気をつけて頼むよ」


 俺は山に近づいていってそれを見上げた。まあ、登るのが無理っていうほどの斜面じゃない。


 じゃ、張り切って行ってみようか。

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