カルトの正体は?
その夜、俺はベッドに横になっていたけど、寝ないで待っていた。
町そのものが寝静まったような時間になると、いきなり部屋に誰かの気配が生じた。
「迎えにきた」
アルケラさんか。
俺はベッドから起き上がった。
「どこに行くんですか?」
俺が小声でたずねると、アルケラさんはそれには答えずにドアを静かにあけて、足音もなく歩いていった。
俺もできるだけ足音を殺しながらそれに続いた。
で、外に出ると、そのまま町外れに向かい、人気が全然ない森の近くまで来た。
そこまで来るとアルケラさんは俺のほうに振り返った。
「ここまで来たのは、ある提案があるからだ」
提案ね。非常に悪い予感しかしないぞ。
「カルトと呼ばれるものに協力する気はないかね?」
ほらね。
「あの、それは注意深く検討するということで、今日は帰ってもいいですか?」
あっさり首を横に振られた。洒落もわかってくれないか。
「今ここで答えをだしてもらいたい」
これは参ったね。
「いや、俺の目的もあるし、それを引き受けるわけにはね」
「そうか、残念だが力ずくだ」
アルケラさんがごついナイフを抜いて、その姿が消えた。これはやばそうだ。
「次元の鉄槌よ! その姿を現し我が手におさまれ! それから、フォーム! アーマーアンドシールド!」
これで守りは万全だ。と思ったら、後ろから衝撃がきた。
俺は急いで振り返ってみたが、そこには誰の姿も見えなかった。
「いくら守りが堅くても、いつまでも耐えられるかな」
もう一度振り返ってみても、その姿はとらえられない。いくらなんでもこれはまずいよな。
でもどうすればいいかもわからない。
「そこまでですよ」
そこに突然オーラさんの声が響いた。
俺がそっちのほうを見てみると、剣をかついだオーラさんのシルエットがゆっくりと近づいてきていた。
「こんな馬鹿なことはやめておいたほうが身のためですよ」
オーラさんがそう言うと、俺からまあ十メートルくらい離れた場所にアルケラさんが姿を現した。
「これはオーラさん。一体何の用ですか?」
「言わなくてもわかるでしょう。それとも、それがわからないほど頭が腐ってるんですか?」
「いえ、わかっていますよ。そして、あなたと今ここでことをかまえるのが得策でないこともね」
そう言ってアルケラさんは姿を消した。オーラさんはあたりを見回してからため息をついた。
「やれやれ、困ったことですね。ヨウイチさん、帰りますよ」
言葉とは裏腹に、オーラさんはあまり困った顔はしていなかった。なんで?
俺がそう思って突っ立っていると、歩き出したオーラさんは振り返った。
「どうしました。これ以上ここにいても何もありませんよ」
「は、はい」
そういうわけで俺はオーラさんについて町に戻った。
「話は明日しますから、今日はゆっくり寝ておいてください」
エニスの家の前に到着すると、それだけ言ってオーラさんは去っていった。
仕方ないので、俺は部屋に戻って眠ることにした。
で、翌日。俺は朝食を済ませてすぐにギルドに向かった。
オーラさんはギルドの前に剣をかついだ状態で立っていた。ケインも横にいる。
「さて、これから例のカルトを片付けに行きますよ」
「片付けにって、どうやって?」
「昨晩、ちょっとした仕掛けをしておいたんですよ。まあついてくればわかります」
そういうことで、俺達三人は出発した。ちなみに、セローアとまもるさんは町を守る戦力として残っている。
そして、俺達は町から遠く離れた森の中に到着した。
「いるんでしょう、姿を現したらどうです?」
オーラさんの声にこたえて、アルケラさんの声が俺たちの背後から聞こえた。
俺達が振り返ると、アルケラさんが一人で立っていた。まずオーラさんが口を開いた。
「アルケラ、あなたの相手はここのケインとヨウイチさんがやりますよ」
え? 俺? とまどう俺とは反対にケインは黙って剣を抜いた。仕方がないな。
「次元の鉄槌よ! その姿を現し我が手におさまれ!」
それでもって。
「フォーム! アーマーアンドシールド!」
俺はケインと並んで立った。
「防御は俺がやるから、後は頼むよ」
「ええ、わかりました」
そこでアルケラさんが姿を消した。
俺はどこに現われるのか、意識を集中して感じとろうとした。
だが、それでも感じるなんてことはできずに、アルケラさんはケインの後ろに現われた。
ケインはそれをなんとかかわしたが、このままじゃジリ貧なのは明白だな。
「ケイン! なんとかできないのか!」
「これは厳しいですね、今はかわすので精一杯です」
今は、っていうことは、なにか考えがあるっていうことなのか? そういうことなら、なんとか耐えないといけないな。
オーラさんにも何か考えがあるんだろうし。




