作戦開始だって
アルケラさんを加えた俺達四人は何事もなく町に戻ってきていた。
それからエニスをのぞいた俺達三人はすぐにギルドに向かった。
「思ったよりも早かったですね」
中ではオーラさんが待ち構えていた。
俺達はとりあえず座って、オーラさんに注目した。
「アルケラ、早速ですが偵察をお願いしますよ」
オーラさんがそう言うと、アルケラさんは真面目な顔でうなずいた。
「自由にやらせてもらいます」
「ええ、もちろん。一日に二回は報告をお願いします」
アルケラさんはもう一度軽くうなずいてからギルドから出て行った。
オーラさんはそれを見送ってから俺とケインを見た。
「さて、我々も敵の正体がわかるまでのんびりしているわけにもいきません。また襲撃があるかもしれませんからね」
「そういえば、セローアがいないみたいですけど」
「今はマモルさんと一緒に見回りに行っていますよ。そろそろ戻る頃だと思いますが」
言ってるそばから、セローアがドアを開けてギルドに入ってきた。
「あれ、帰ってきてたのね」
「ではヨウイチさん、お疲れでなければ出てもらえますか?」
まあ、そんなにお疲れでもないけどな。
「わかりました。行ってきます」
「タローを連れて行ってください」
そういうわけで、俺はタローを連れてパトロールに出発した。人使いが荒いよな。
それから俺とタローはいつもの巡回ルートをぶらぶらした。
運良く何も起こらずに済んだので、俺はギルドに戻ってタローをつないだ。
ギルドの中に入るとケインだけがいた。
「戻ったよ」
「おつかれさまです」
そう言ってケインは立ち上がると、近くのギルド員に目で合図をした。
「ヨウイチさんは今日はもう休んでください」
いいやつだよケインは。
さすがにちょっと疲れたので、俺はギルドを出てエニスの店に向かった。
店に入ると、ちょうどエニスが店番をしていた。
「おかえりなさい、ヨーイチさん」
笑顔で迎えてくれた。
「ただいま。エニス一人なのか?」
「ポクーラさんが来てますよ、奥でお母さんの手伝いをしてくれてます」
「そうなんだ。じゃ、俺はちょっと休ませてもらうから。エニスも早めに休んだほうがいいんじゃないのか?」
「あたしは大丈夫ですよ」
タフだな。
俺が店の奥に行くと、エニスの言った通り、ポクーラがエリンさんの手伝いをしていた。
「おかえり」
「おかえりなさい」
二人は同時にそう言って顔を上げた。
「悪いですけど、ちょっと休ませてもらいますから」
「そう、じゃあゆっくり休んでね」
俺は二階に上がって部屋に入ると、ベッドに仰向けになった。
そのまま目を閉じるとあっという間に眠気がきた。
「ヨーイチさん、ヨーイチさん」
肩をゆすられて俺が目を開けると、エニスが俺の顔をのぞきこんでいた。
「もう食事の用意ができましたよ」
確かに外はもう暗い。ちょっとだけ寝るつもりだったんだけどな。
「後で行くから、先に行っててくれよ」
「すぐ来てくださいね」
エニスはそう言って下に降りていった。
俺もそうしようとしたけど、いきなり後ろから肩に手を置かれた。
振り返ってみると、そこにはアルケラさんが立っていた。
この人いつの間に、いつからいたんだよ?
「ヨウイチ君」
俺が声を出そうとするのを、手で制して、小さな声で続けた。
「今日の夜、君に見てもらいたいものがあるのだ」
それから突然アルケラさんが横に動くと姿が消えた。
「時間になったらまた来る。このことは誰にも言ってはいけないよ」
あとは声だけがした。
なるほど、これがこの人の能力なのか。でもなんで俺のところに来たんだ?
まあ考えてもしょうがないし、今は飯にしようか。下に降りると、タスさん以外の三人がすでにそろっていた。
「タスさんは?」
「明日まで仕事なんです」
そうなのか。
「そう言えば、まもるさんは今日は何をしてたんですか? 見かけなかったですけど」
まもるさんは少し呆れたような表情になった。
「あなたが寝てたから気づかなかったんでしょうが」
「いや、その前の話ですよ」
「ああ、それならパトロールの後は適当に散歩をしてただけ。色々見るべきところはまだまだ多いから」
「何を見てるんですか?」
「それは町並みとか風景に決まってるでしょ。ここは作り物なんかじゃなくて、正真正銘の本物なんだから、しっかり目に焼き付けておかないと」
そういうもんなのかな。俺は受験勉強があるからそれどころじゃないけど。
「ヨウイチ君もちゃんとみておかないと後で後悔すると思うけどね」
俺の内心を見透かしたような一言だ。
「そうだねえ、マモルさんの言う通り、ヨウイチさんはもう少し出歩いてもいいんじゃない?」
エリンさんにまで言われた。でも俺は後がないから、勉強をおろそかにするわけにはいかないんだよな。
残念だけど。




