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第25話【一歩手前へ】

「うぉっ!?」


 また爆発かよ!?


「やった!?」

「一部が吹き飛んで他の部位はその衝撃で倒れただけだ。 油断するな」


 だけど動かないし冒険者たちは突っ込んでるぞ。


「やはりと言うべきか、油断してしまっているな」

「閣下、止めますか?」


 騎士の一人が公爵に聞いた。 さっき合流した騎士団の人達は各々何かあるまで待ってる、普通に座ってたりもしてるが。


「既に遅い。 今から行っても間に合わないだろう」

「しかしそれでは──」

「結果は見えている。 だがスライムの行動から見て彼らは死なないだろう。 武器を作り、配備することもできたはずだ。 だが実際にここにいたのは鎧はあっても武器はない、あるとしても少し加工されただけの石だ。 殺傷力はほぼないと言っていい」


 公爵の言ってることは正しいだろう。 全てのスライムに鎧を纏わせることができるなら武器がないのはおかしい。 多分、殺すことは考えていないんだろう。


「でも壁のは人が死ぬ威力でしたよ」

「直撃はしたがそれは偶然のはずだ。 あそこまで正確に投擲することはできない。 せいぜい周りのどこかに当たればいいと思って投げたのだろう。 当たればオリヴィアの描いた陣は機能しなくなる。 何より防御魔法込みで死なない程度の威力だ。 やろうと思えば奴はより威力の高い反撃をしただろう、自分の体で巨大な投石器を作ってな」

「時間がなかっただけじゃ?」

「スライムの体が透けているとはいえ予め作ることもできたはずだ。 巨大な肉壁を使えば大した損傷もせずに使えた。 だが奴はただ岩を投げただけだ。 あの威力のほとんどは岩自体の重さだろう、速度は乗っていない」


 それでもただの人間ならひとたまりもない攻撃なんだが、防御魔法があればなんとかなるってわけか。


「とはいえこれは仮説に過ぎない。 奴が本当にそう考えているかはわからん。 本当に殺さないとも限らない。 だがもう彼らを止めることはできない」

「俺ならやれると思うが」

「いや、いい。 奴らが殺さないのであればそれを利用させてもらう。 彼らをそのままにしておくはずはない、必ず無力化はするだろう。 おそらくは拘束、少なくとも足を取る程度はする。 捕まる数が多ければその分労力が必要だ」


 なるほど、捕まる人数が多ければインペラトルのサイズも小さくなるというわけか。


「では我々は待機ですな?」

「副長もリアも戻ってきていないだろう。 二人が戻ってくるまでは待機だ」

「そういえば遅いな、負傷者の救助でもしてるんだろうか」


 確かに結構時間は経ってると思うが戻ってきてないな。


『あれだけ派手に撒き散らしてましたから、負傷者がいてもおかしくありませんね』


 当たらなくて、というより当てる気がなくて助かった。 かすり傷なら別にいいんだが岩の破片はかすり傷ですまなそうだったからな。


「エイジ、冒険者たちの少し後ろで待機して欲しい」

「了解、理由は?」

「我々は奴に直接何かをしているわけではない。 私も大したことはしていない。 だが敵意がないとは考えないはずだ。 奴が復活すれば必ず何かが護衛するだろう。 キングか、小さなゴーレムか。 何が来るにせよ最も素早く動けるのは君だ。 我々よりも先に相手して欲しい。 騎士たちはあまり速く動けず何かあっても逃げることが難しいだろう」

「つまり、インペラトルが完全に復活する前、何をしてくるかわからない状態で護衛に来る何かを叩いて欲しいってことか?」

「その通りだ」


 まあ、確かに何をしてくるにしろアクションはあるはずだ。 かなり平坦、とは言ってもさっきのあれで岩やらなんやらが散らばってるが見つけられないということはない。 緑の上に水色だ、かなり目立つ。


「レナ、君も付いていくんだろう。 スライムは遠距離魔法では簡単は死なない。 援護に徹するんだ」

「はい、そのつもりです」


 レナも付いて来るなら時間を止めたりする必要はないな。


「冒険者達が捕まったのを見てから回り込んで護衛しに来た何かを叩いてくれ」

「了解、行くぞ」

「はい」


 目の前で捕まってるのを無視しろってのはなかなかだが、冒険者達が攻撃するより冒険者達を拘束させた方がダメージを与えられるならするべきだ。 火力が減るのは不安だがあまりにも多すぎて近付けなさそうな状態だったから、彼らには悪いが捕まっててもらおう。


『近付けなかったからあんな風に突撃してる感じありますね』


 見てることしかできないのはなかなか辛いものがあるからな。 近接主体のはチャンスと見ればああなるのも無理はない、俺もなりそうだった。


「あ、そこの二人! 近付くのは危ないと思うよ!」


 冷静な冒険者の一人が止めてきた。 十分近付いたと思うしここで待つか。


「大丈夫だ! これ以上は近付かない!」

「よかった、何してくるかわかったもんじゃないからね」


 四人パーティってやつか、この世界でもこのぐらいが多いんだろうか。


「オレは行きたいんだがなあ」

「黙ってゲルト。 次はかすり傷じゃすまないと思うわよ」

「へいへい、わかってるよ」


 軽装の男と多分魔法使いの女、僧侶枠の金髪、屈強な男。 すごいオーソドックスな感じのあるメンバーだ。


「……もしかして、外側の人(エウスランダー)ですか?」

「やっぱりバレるものなんだな」

「いえ、噂と付き人のも含めて似ていたので」


 俺単体ならわからないかもしれないわけか。 まあ、銀髪連れてたらそりゃ目立つしバレるか。


「ウソ!? 生きてるうちに見れると思ってなかったんだけど!」

「ツイてるみたいだな。 これは上手くいくかもな。 よろしく頼むぜ、えーと……」

「エイジだ」

「エイジか、期待してるぜ」


 大したことはできないと思うんだがな。


「外側の人(エウスランダー)みたいな重要人物が来たってことは、公爵から何か頼まれたんでしょ? 」

「来るであろう護衛を潰せって指示だ」

「その仕事、手伝わせて。 突っ込んでるバカたちを助けるよりは面白そうだから」

「そりゃ助かるな」


 仲間はいて困るものじゃないからな。


「いいよねみんな」

「俺は賛成だ」

「こちらも」

「当たり前だ!」

「じゃ、決まりね」

この後(4人組とレナ含めて)めちゃくちゃ自己紹介した

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