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「アリシア今度家に泊めて!」
「いきなりどうしたの?」
今までシスと一緒に住めて羨ましいとは言われたことはあるけど泊めて欲しいは初めて言われた。
「あのね、うちの母さんとノアんちのおばさんが今度旅行に行くの」
ノアのお母さんはレアだった。
どれくらいとレアが泊まりに行くのは分かったけど、お父さんは放っておいていいの?
「あたしがアリシアの家に泊まりたいって言ったらノア連れて釣りに行くって言い出したからいいんじゃない?」
ノアのお父さんとカノンのお父さんは仲がいいんだとか。
ノアは釣りが趣味って訳でもないが、男の子だからと連れて行かれるらしい。
なのであたしが断ると楽しみにしているお父さんたちの邪魔をしちゃうらしい。
「ね、いいでしょ」
「シスに聞かないと」
あたしは居候の身だから。
「じゃあ、聞きに行こ! シス先生は?」
「アトリエに居るはずだよ」
今日は雨が降ってるから絵画教室はお休みなんだって。
シスのいるアトリエは静かだった。
キャンパスに向かって静かに筆を走らせるシスはいつもの柔和な感じと違って真剣な瞳でキャンパスを睨んでいる。
その姿にちょっとどきっとしたからカノンがシスに憧れるのがちょっとだけ分かった。
「シス今いい?」
「……ん? アリシア、とカノンいらっしゃい。どうかしたの?」
よかった。普通だ。
怒られて以来シスと話をするのがちょっと苦手になっててあまり顔を見合せないようにしてたから自分から声を掛けるのは久しぶりのような気がする。
声とか震えてたりしてないよね?
ドキドキしてきた。
「あのさ、カノンが今度泊まりたいって」
「先生お願い!」
そう言うとカノンが早口に説明した。
「なるほどね。ご両親は何て言ってるの?」
「あたしがそれでいいならって。はい、一応うちの親からの手紙」
手紙を差し出すカノンに用意がいいとシスが苦笑して手紙を開いた。
何て書いてあるのか分からないがシスはそれを読んでから「なるほど」と呟いた。
「確かに。いつ?」
「来週の頭から3日程」
「アリシアはそれでいい?」
「え? うん」
あたしに話を振って来るとは思ってなかったのでびっくりして聞き直すところだったけど、2人があたしの顔を見つめてるからすぐにカノンのお泊まりのことだったと気付き頷いた。
「アリシアがいいなら僕から言うことはないよ」
「やった!」
「でも、アリシアもう1人友達いるよね。その子は呼ばなくていいの?」
そう言われてカノンと顔を見合せる。
シスが言ってるのはイビーのことだ。
イビーも誘っていいの?
「アリシア行こ!」
「うん!」
シスからのお許しが出たってことでいいってことにしてカノンと一緒に雨の中イビーを誘いに行く。
イビーの家はあたしの家から離れているらしい。
カノンとノアの家はシスの家とイビーの家のちょうど中間ぐらいにあるらしい。
そんな遠くからイビーは絵画教室に来てたの?! ちょっとびっくりしつつイビーの家に向かったけど、走ったからなのか思ったより早く着いた。
「こんにちはー! イビーナ居ますか?!」
イビーの家は庭に大きめの花壇があって季節の花が咲いている。
玄関の色はチョコレート色。壁の色はクリーム色で屋根の色は深緑色をしている。花壇の奥には大きめの木が何本か植わってて日射しがキツい日は涼しそうだ。
ここで絵を描いても中々よさげな絵が描けそう。今度頼んでみようかな?
そんなことを考えていると中からドアが開いた。
「こんにちは。イビーのお友達?」
「そうです。あたしはカノン。こっちはアリシアよ」
「こんにちは」
「カノンにアリシアね。あたしはイビーの母親のジェイよ」
イビーのお母さんはイビーと同じ色の髪の毛と瞳だ。
トレイトたちよりちょっと年上?
「今イビー呼んでくるからちょっと待っててくれる?」
「分かりました」
ジェイはそう言うとドアを閉めてしまったのでなんとなく庭を見て待っているとすぐにドアが開いてイビーが顔を出した。
「アリシア、カノンどうしたの?」
「あのね、今度カノンが泊まりに来るんだけど、イビーもどうかと思って誘いにきたの」
「アリシアの家に? 行きたい! お母さんに聞いてくる!」
そういうとイビーはバタバタと奥に走って行ってしまった。




