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 大人たちがあれこれとあたしのことを考えてくれるのはありがたいんだろうけど、こちらとしてはこんな場所であたしに言うのではなくこっそりとお膳立てしてくれた方がありがたいよ。


 というか、かなり恥ずかしいよ。


「シス!」

「あれ? アリシアあっちで食べてなかった?」

「食べてたけど!」


 シスの所に駆け込むとのんびりと食べていたシスは不思議そうな顔をして聞いてきた。


 シスに八つ当たりしても仕方ないと分かっていても語気が荒くなってしまうのは仕方ない。


 シスの横に陣取り目の前のご馳走に手を伸ばす。


「シスは何してたのかなって」

「ご馳走食べてるよ。アリシアも作ったんだろ? 美味しいよ」

「お手伝いしただけよ」


 野菜を洗ったり材料を量ったり、洗い物を洗ったりあちこち料理を運んだり、料理の味付けやら盛り付けなんかのメインは大人たちがやっていた。


 今回は殆ど出来なかったけど、今度から料理を教えてもらえることになっているから次同じような機会があれば次はメインじゃなくてもスープやサラダなんかを作らせてもらえるように頑張ろう。


「シスはどれが一番美味しかった?」

「あの魚揚げた奴美味しかったよ。アリシアも食べる?」

「そうね」


 味見は沢山したけどあれはしてないかもだし。


 正直何を食べたのかあんまり覚えてない。


 シスが勧めてくれた魚のフライとキノコのキッシュに野菜ごろごろのスープを少し盛り付ける。


 他にも食べたいのはあるけど今はこれだけでいいや。


「アリシア」

「何?」


 さっきは味気なく感じていた料理もシスの隣で食べる料理の方が何倍も美味しく感じられてあっという間に食べ終わってお代わりをどうしようかと悩んでいたらシスに名前を呼ばれた。


「ここに来てから顔色が前よりはよくなったけどアリシア的にはどう?」


 何だ? いきなり面談?


「……どういう意味?」


 これであたしが帰りたいとか言い出すって思っているとか?


 それとも実はあたしが邪魔だった? でも、邪魔ならばここにいろって言わないはずだし、歓迎会とかも開いてくれる訳がないよね??


 シスがなんでこんなこと聞いてきたのか意図がさっぱり掴めなくて問い直す。


「アリシアはお父さんと暮らしてた時がどんなのかは知らないけど、それは今とは違うし、僕はお世辞にも稼ぎがいいっていう方ではないからアリシアがこんなところ嫌になっちゃうんじゃないかって思うと不安になるんだ」

「そんなことないよ!」


 そりゃ父さんたちと暮らしていた時は使用人が何から何までしてくれてたけど、ここに来てからはそれを自分でするようになって使用人たちのありがたみが分かったけど、何から何まで人にしてもらっていた分どこかで人間というよりは誰かの人形のようだと思っていた節があるので今の生活は楽しいしかない。


 不満に思うことも何もないのにどうしてこんなことを聞くんだろ?


「あたし父さんと居た時は父さんは仕事ばっかであんまり家に居なかったし、居てもシスみたいにあたしのこと気にもしてなさそうで、父さんが死んでも実はそんなに悲しくなかったの。父さんのお葬式の時に母さんが生きてるかもって聞いて母さんに会いたいってここまで来て死んでたんだけど、シスはそんなあたしのこと嫌い?」

「そんな訳ないよ! 僕の方がアリシアにいらないって言われるんじゃないかってびくびくしてるぐらいだよ」

「何それ」


 思わずくすくす笑いながら言えばシスは少しふてくされてる? 照れてるの? どっちか分からないけど微妙な顔をしていてそれが何故だか面白くてさらに笑ってしまった。


 そうやって2人でゆっくりご飯を食べたり会場に居る人たちの特徴や関係なんかを教えてもらっているとライアがやってきた。


「2人共今いい?」

「いいよ」

「ありがとう。さっきアリシアちゃんにお礼を言ったんだけど改めてお礼を言いたくて」

「別にそんなのいいよ。みんなライアに感謝したくて集まったんだし」 

「それでもみんなを集めたり会場を押さえたり大変だったでしょ」

「それが半分以上みんなでやってくれたから僕がしたことはそんなにないんだよね。あ、あの横断幕はアリシアが作ったんだよ」

「あら、どうりで可愛いと思ったわ」


 シスったら余計なこと言わなくてもよかったのに……。


 目の前で褒められるとか何の辱しめよ。


「アリシアは今日は料理も手伝ったんだよ」

「あら、そうなの? こんなに美味しい料理作れるならあたしが教えなくても平気かしら?」

「あたしは材料を切ったり食器を洗ったりした程度で味付けなんかはしてないの! だから料理は全く分からないから!」

「あら、じゃあ、教えていいのね」

「もちろんよ! あたしライアに教えてもらうの楽しみにしてたんだから今さら無しなんて言わないでね!」

「ふふ、嬉しいわ」


 よかった。ライアに誤解されてあやうくキャンセルされそうになるところだった。


 その後もライアと喋っていたが、ライアのところに沢山の人が代わる代わるやって来て話をするものだから途中であたしたちは抜けさせてもらった。


 外に出るとすっかり夜になっていたのにはびっくりしたけど、2人で喋りながら歩いたのであっという間に家に着いてしまってがっかりしたけど、シスとは明日からも話せるしこれからもシスのことを沢山教えてもらったりあたしのことを知ってもらったり、自分でも知らなかった自分のことを知っていけたらいいなぁと思った。

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