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「「「「「ライアいつもありがとう!」」」」」
「え? あ、あの?」
そこに居たのはライアの旦那さんのブラウンさんだった。
「何であそこに居たんだよ」
「ドアを開けて中に促そうとしただけなんだよ。そしたら開いた瞬間に声を掛けてくるからさぁ……俺だってやり直したかったよ」
何か間違ってしまったかと焦ってしまったとブラウンさんは苦笑していた。
ブラウンさんの後ろにはライアが居てバッチリあたしたちの声は届いていたのでやり直す必要はなかったけど、何かこれじゃなかったというようなグダグダ感で始まった会は通りの人たち全員集まったと言われても信じられるぐらいの賑わいで楽しい。
楽しいけど、ライアに一番にお礼を言いたかったからブラウンさんが入って来てこれじゃない感が強い。
「アリシアちゃん」
「ライア!」
せっかくの料理もさっき味見した時より味気なく感じると会場の隅っこでちびちびと食べているとライアがやって来た。
「この会考えてくれたのアリシアちゃんだって聞いて来ちゃったけど迷惑だった?」
「全然平気よ。寧ろ暇してたぐらいだわ」
暇は言い過ぎだったかもと後から後悔した。
だってライアのための会だったのにそんなこと考えるべきじゃなかった。
「アリシアちゃんと同い年ぐらいの子は今日居ないからね」
失礼だったかもと焦ったけどライアはさらっと流してくれてホッとする。
そして、ライアが言ったことは事実だ。
エペンス通りの人たちは集まっているが、あたしと同年代は居ない。
この場には成人した人たちが殆どでスザンヌの子どもたちの5歳の子どもたちが最年少であたしと同い年の子どもが居たらびっくりするぐらい居ない。
もしかしたらこっちで友達が出来るかもという淡い期待はここに来てすぐに消えてしまった。
この辺りに学校がないため、あたしと同い年ぐらいの子はみんな寄宿学校に居るから仕方がないってシスが言っていた。
あたしは家庭教師にずっと教わっていて同年代がやってるところは既に修学済みでシスに学校はどうするの? って聞かれた時にそう答えたし、嘘ついてると思われるのが嫌で後で本を買ってやってあるのを見せたら黙ってしまい、それ以降学校についてはとやかく言われてない。
だから、同年代の友達出来そうにないのはあたしも気にしてないし、ライアも思っただけのことを言っただけだけど周りの反応は違った。
「アリシアちゃんの友達が居ないって?! そりゃ大変だ! 誰かいい奴居たか!?」
「トムじいさんのところの孫は?!」
「あそこの孫は男だろ! 女の子でた!」
「えっ、えぇ……」
いきなり始まったあたしの友達を作ろうという雰囲気にどう反応していいのか分からない。
「ちょっとあんたたちアリシアちゃんがびっくりしてるじゃない!」
ちょっとだけ顔がひきつりそうなだけでそんなにはびっくりしてないよ。
だからいきなり変わった雰囲気に本人そっちのけであれこれ決めようとして欲しくないと遠回しにお願いしたけど、中々折れてくれなくてかなり疲れてしまった。
お酒は用意されてなかったはずなのにどうしてこうも話が通じなくなってしまうのか? もしかしてどこかで隠れて飲んでるとか?
軽く会場を見回してみてもそれらしき瓶はないし、顔が赤くなっている人も居ない。じゃあ、ただの親切で言ってくれているだけなんだろうな。
適当に話を合わせて早々に切り上げた方がいい。
そこでシスはどこに逃げたんだろうとシスの存在を思い出した。
あたしだけこんな風に絡まれてる意味が分かんないし、一応ここじゃシスが保護者のようなものだからシスも聞く必要があると辺りをキョロキョロしているとだいぶ遠い距離でひっそりと食事をしていた。
「あたしシスとご飯食べる!」
ライアにそう宣言してからシスの方に走って逃げた。




