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25.勇者、魔王城で「運営」に直接ツッコミを入れて即帰(そっき)する

不祥事で指名手配され、アルミホイルを巻いたボブを引き連れ、俺はようやく魔王城の玉座の間に辿り着いた。だが、そこにいたのは禍々しい魔王ではなく……ノートパソコンを叩きながらカップ麺を啜っている「死んだ魚の目をした猫背の男(運営)」だった。


「あー、勇者くん? やっと来た? ……あ、ごめん。今、次の『炎上イベント』のスクリプト書いてるから、ちょっと待ってて」


『……ラスボスが「運営の社畜」じゃねえか! 魔王城の最深部でデスワークしてる光景を見せるような真似すんな! 伝説の死闘を期待して来たのに、ブルーライトで充血した目で見つめてくるような真似すんじゃねえよ!』


「いやさ、君のパーティ、キャラ設定が適当すぎてバグりまくっちゃって。……聖女がメンエス嬢で、占い師が晒し屋で、魔法使いが中抜きのプロ? ……ハハ、カオスだね。……あ、ゼンイチくん、今回の収益の振込、完了したよ」


「……お疲れ様です、ディレクター。……勇者様、期待値通り、この世界は単なる『低予算の実験場テストサーバー』でした。法的には、私は運営側のエージェントとして契約しています」


『ゼンイチ、お前最初から「運営のスパイ」やったんか! 仲間をハメて中抜きした金、運営と折半せっぱんしとったんか! 魔法使いの知性を、ユーザーをイラつかせる「集金ギミック」の構築にだけ使うような真似すんな!』


「勇者様ぁ、そんなに怒らないでくださいよぉ。……運営さぁん、今の怒り顔もバズりそうだから、限定アクスタにしていいですよねぇ?」


ミアがスマホ(水晶)を構え、セシリアが「あ、次の世界への移籍いせき金、中抜きなしでお願いしますねぇ」と運営に媚びを売っている。


『最後まで晒しと集金に必死になるような真似すんな! 世界の危機を「単なるコンテンツ」として消費して、次の現場に乗り換えようとするようなサイコパスな真似すんじゃねえよ! 聖女の慈悲は、一ミリもこの世界に存在してなかったんか!』


「……Oh、ユーシャ。……俺サマ、ボブ。……アルミホイル、アツイネ。……俺サマ、最後ニ、爆発バクハツ、スルネ」


『ボブ、お前は勝手に「自爆イベント」追加すんな! アルミホイルで熱がこもって自壊じかいするような情けない最期を見せるな! 最後まで「物理的なトラブル」だけで笑いを取ろうとすんじゃねえよ!』


運営の男が面倒くさそうにエンターキーを叩いた。

「はい、サーバー閉鎖。……勇者くん、お疲れ。……君のツッコミ、期待値以上だったよ」


視界がホワイトアウトしていく中、俺は消えゆく運営の背中に向かって、最後の一撃ツッコミを叩き込んだ。


『伝説の武器より「予算と視聴率」の方が大事なんか! 運営、この適当なキャラ設定、二度と使い回しすんな! 俺を元の世界に……即帰そっき……させろおおお!!』


(暗転)


気がつくと、俺は自分の部屋でノートパソコンの前にいた。

画面には「小説家になろう」の投稿画面。……タイトルは『その男ツッコミ役につき』。


「……夢……じゃねえ。……アクセス数、爆伸びしとるやんけ」


俺の手元には、なぜかボブの「黄金のシール」が一枚だけ、ポツンと置かれていた。


(完)

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