表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
89/116

第89話:癒しの後、次の試練はキラキラ妖精さんなんですけどぉ!

 三日後、チュンペーの必死の介抱と、無限スクールバッグから惜しみなく投入された大量の薬品の効果で、凛愛の傷はすっかり癒えた。


「チュンペー、本当ありがとね!マジで助かったよぉ」


 凛愛はベッドの上に座り、小さな雀の体を両手でそっと包み込むと、そのまま自分の頬にスリスリと頬擦りした。


『は、離せ!愛玩動物ではないと言っているだろうが!このバカ人間!』


 いつものように嘴でつつきながら必死に抵抗するチュンペーだったが、その内心では、再び元気に喋り出した凛愛の姿に深く安堵していた。


 そんな一人と一羽の騒がしいやり取りを遮るように、部屋のドアがトントンと控えめにノックされた。


「リア様、もう具合は良くなられましたか?」


 扉の向こうから聞こえてきたのは、執事セバスチャンデルセンの声だった。

 彼は部屋に入ってくると、整った動作で一礼し、淡々と言葉を続けた。


「酷ではありますが、本日からまた登校していただき、放課後には課外授業を受けていただきます」


「えぇ……もぉ!?休み短くない?」


 不満げな声を上げる凛愛だったが、チャンデルセンが告げた次の講師の名前に、その表情が一変した。


「次の特別講師はティアリス様で御座います」


「ティアリス……あぁ!あの、キラキラの妖精ちゃん?やった!ちっちゃいし、カワイイし、逆に癒されちゃうんじゃない?楽勝じゃん!」


 手のひらサイズの妖精、ティアリス・ルミナリエを思い出し、凛愛はパァッと顔を輝かせて浮かれる。

 しかし、その隣でチュンペーは深いため息をつき、鋭い視線を凛愛に向けた。


『おい、なめてかかるなよ?魔界の七大貴族が、ただの可愛いだけの存在であるはずがなかろう』


 元魔王の警告は、浮かれる凛愛の耳にはまだ半分も届いていなかった。


 グラディアスとの死闘で死にかけたことなんて、今の凛愛にとってはどこ吹く風。

 妖精とお近づきになれるとあって、ウキウキ気分で歩く通学路だったけど、周りの視線がいつも以上に刺さる。


 どうやらグラディアスと渡り合った噂が広まっているようで、全裸事件のインパクトと合わさって、道ゆく生徒たちがモーゼの十戒の様に道を開けていく。


「トンデモ変態最強勇者」


 そんな不名誉な二つ名が聞こえてくる中、後ろからドスドスと地面を揺らす暑苦しい気配が近づいてきた。


「よぉ!リア!人間のクセにやるよな!見直したぜ?それによ、お前のおかげでアザエルからの評価が上がってよぉ!」


 上機嫌なグラディアスだ。


「他の奴らより、一歩抜きん出たってもんよ!今日は授業サボっちゃうもんね!じゃーな!」


 相変わらずの単純バカっぷりを見せつけて、嵐のように去っていった。


 ようやく教室に入ると、そこには人をダメにするソファが並んでいる。

 鋭い視線で射抜いてくるライゼル、自分のモフモフした尻尾を抱いて幸せそうに寝ているルクレシア、そしてニヤニヤと粘りつくような視線を送ってくるネクロス。


 他のメンバーはまだ来ていない。


「お、おはよーございまーす……」


 凛愛は小声で挨拶しながら、心の中で毒を吐く。

(妖精ちゃんまだかな……ライゼルさん怖すぎ。ジジイはキモいし……あ、でもあの尻尾はいいなぁ……)


 その時、外から「ぎぁあっ!!」という凄まじい断末魔が響き渡った。


「えっ!?」


 慌てて窓の外を見ると、そこにはつま先だけを地面から出して、逆さまに埋まった生徒がピクピクと震えている。


 そのすぐ側には、手のひらサイズのキラキラした浮遊物体が浮いていた。


「おやめ下さい!ティアリスさまぁ〜!!」


 周りの生徒たちが必死に懇願しているけれど、その中心にいる妖精はぷいっと顔を背けた。


「今日、わらわ、機嫌悪いからっ!」


「うっそ……妖精ちゃんだ……ガチでヤバいじゃん……今日、課外授業担当だよね……マジか……」


 絶句する凛愛の横で、チュンペーが追い打ちをかけるように告げる。


『言っただろう、妖精族は感情の起伏が激しいからな……あれは、ハズレの日だな』


 今朝までのウキウキ気分は、一瞬で霧散していった。


 現在のステータス

 ・名前: 星凛愛ホシ・リア

 ・状態:

 ・勇者の評判(不名誉): トンデモ変態最強勇者という、属性過多な二つ名が魔界に定着中。

 ・期待値急降下: 癒やし系だと思っていたティアリスの凶暴性を目の当たりにして、血の気が引いている。

 ・対人恐怖(再発): ライゼルの視線とティアリスの機嫌に、ダブルで胃を痛めている。

 ・相棒チュンペー

 ・予言雀: 忠告を無視したバカ人間に対し、少しだけ「見たことか」という優越感に浸っている。

 ・警戒継続: 妖精の魔力特性を見極めようと、髪の中から鋭い視線を送る。

 ・聖光剣アルスカイゼリオン:

 ・落胆: 相手が「妾」呼びのロリ妖精と知り、少し好みの対象から外れたのか静か。

 ・周囲の状況:

 ・教室: ライゼルの殺気、ルクレシアの寝息、ネクロスのニヤつきが混ざり合うカオス空間。

 ・窓の外: 地面に突き刺さった生徒が、ティアリスの不機嫌の深さを物語っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ