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第87話:共鳴する魂、勇者の真価

 セリアの記憶が、濁流のように凛愛の脳内へと流れ込んできた。

 それは、500年という長い年月を越えて届けられた、ひとりの女性の孤独、決意、そして世界への深い愛の記憶だった。


「理解したよ、セリアさん……あなたの想い。あなたは、あたしなんだ」


 凛愛の頬を涙が伝う。

 しかし、その瞳に宿る光は、かつてないほどに力強く、そして澄み渡っていた。


 彼女は、聖光剣アルスカイゼリオンがただの魔族を斬るための道具ではなく、そしてメモリエルが単なる記録装置ではないことを、魂のレベルで理解したのだ。


 凛愛の全身から、眩いばかりの純白のオーラが噴き出してくる。

 その清浄な輝きは、周囲の灼熱地獄を拒絶するように広がり、空間そのものを塗り替えていく。


「……バカ人間……覚醒したのか……」


 髪の中で、死にかけていたチュンペーも息を吹き返しました。先ほどまで彼を苦しめていた熱気は霧散し、今は心地よい風のような魔力が彼を包み込んでいく。


 凛愛はゆっくりと、震えていた両手を広げた。

 そこには、もはや鉄の重みを持つ剣も、スマホもない。

 純粋な光の結晶となったメモリエルと聖光剣が、彼女の意思と一体化し、静かに、しかし圧倒的な威圧感を持って佇んでいる。


 知力12の計算ではなく、魔力19の数値でもなく。

 凛愛自身の「あり方」が、伝説の装備に真の主として認められた瞬間。


 グラディアスは、目の前の少女から放たれる神聖な気配に、本能的な戦慄を覚えていた。


「……なんだ、その姿は!!お前…なんなんだ…!?」


 凛愛は光り輝く両腕を構え、真っ直ぐに目の前の巨躯を見据える。


「悪いけど、ここからはあたしのターン。アンタの暑苦しい球、全部あたしが打ち返してあげる!」


 凛愛から放たれる神々しい純白のオーラを前に、グラディアスは恐怖を通り越し、武人としての魂が激しく震えていた。


「グハハハッ!……面白いじゃねえか!!それでこそ、勇者だ!!」


 全霊をかけて闘える相手が目の前に現れた喜びに、彼の巨大な筋肉はさらに倍へと膨れ上がり、周囲の溶岩がその熱気で蒸発していく。


 凛愛は光の武器を手に、静かに、しかし確固たる自信を持って彼を見据えた。


「悪いけど、もう負ける気しないから。あんたに腰抜かしてビビってた、あたしはもう居ないよ…覚悟して」


 彼女の瞳にはもはや迷いはない。


 セリアの記憶と同期し、聖光剣とメモリエルの真の力を引き出した彼女は、魔界の過酷な環境すら己の領域へと変えていた。


 二人の魔力が激突しようとしたその時、静寂を切り裂くようにセバスチャンデルセンが釘を指した。


「お二人とも、これはあくまで課外授業です。命のやり取りをするには、まだ時期尚早に存じます」


 彼は敵でも味方でもない中立の姿勢を崩さず、戦場に冷徹な理を投げかける。


「リア様の真価を引き出した、グラディアス様の評価は言うまでもありますまい」


 その言葉に、グラディアスは毒気を抜かれたように高笑いした。


「んん〜!そうかあ?グハハハッ!!そうだよなあ!」


 彼は膨れ上がらせた筋肉をゆっくりと収縮させ、手にしていたマグマの残滓を消し去った。

 地獄のような熱気が引き、静寂が訪れる。


 髪の中で息を吹き返したチュンペーも、この決着に呆れたような、それでいてどこか誇らしげな鳴き声を上げた。


 現在のステータス

 ・名前: 星凛愛ホシ・リア

 ・状態:

 ・勇者モード: 500年前の勇者セリアと同期して、完全にノッてる状態。

 ・精神的覚醒: 涙は出てるけど、心は真っ白なオーラで無敵モード。

 ・チュンペーによる評価上昇: あのツンデレに「覚醒したか」って言わせちゃったし!

 ・相棒チュンペー

 ・伝説の目撃雀: 熱中症から復活して、ちょっとドヤ顔してる元魔王。

 ・聖光剣アルスカイゼリオン:

 ・賢者モード(一時的): セリアさんに怒られて、今は真面目な光の剣になってる。

 ・周囲の状況:

 ・グラディアス: 満足したみたいで、暑苦しい高笑いだけが響いてる。

 ・セバスチャンデルセン: 涼しい顔して評価シートを完成させようとしてる。

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