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第51話:開店準備と魔界の予感!?勇者の決意と、留守番役の指名なんですけどぉ!

 マルコがドスドスと足音を響かせ、探索への同行を宣言した。その圧倒的な頼もしさに気圧されつつも、凛愛は気になっていたプロジェクトの進捗を口にする。


「マルコさん、ショップの準備もだけど……外縁区に建てる孤児院の方は……どうなってるの? ほら、あそこの孤児達のために新しく作るって約束した場所!」


「安心おし、そっちも順調よ! 建物が完成するまでは、孤児たちも仮設テントに住まわせてるし、飢えさすような事もないわ! ラグの部下達で炊き出ししてるみたいよォ?」


 ラグの部下たちが不器用ながらも大きな鍋を囲み、外縁区の子供たちにスープを配っている光景が目に浮かぶようだ。


「よかったぁ……ありがとうございます、マルコさん! ラグさん達、ちゃんと手伝ってくれてるんですね!」


「義理堅いヤツだからねェ、それに、いいのよォ! アンタに、これからたっぷり稼いでもらうんだからァンッ! 投資した分は、きっちり利子付けて回収させてもらうわよォ!勇者様!」


 凛愛は、ここで意を決してマルコに向き直った。

 これから向かう「聖光剣探索」、そしてその先にある魔界への遠征について、ありのままを話したのだ。


「……そっか。魔界へ行かなければならないのねェ」


 凛愛の話を聞き終えたマルコは、意外にも静かに頷いた。


「まぁ、アンタは勇者だから……長期不在も仕方ないわ。アンタの店なんだから、好きにおし。ただ、アンタが居なくなる時も盛大に送り出すからね! 何にしろ勇者が魔界に行くとなれば、客離れも少なくなるハズよォ。伝説の勇者がプロデュースした店……なんて、最高の箔が付くじゃないのォン!」


「……マルコさん!マジで、ありがとう!器も超デカい……かっけぇっス!」


『……フン、どこまでも強かだな。だがバカ人間、数年単位の不在となる。店を任せられる奴の目星は付いているのか?』


 髪の中のチュンペーが、冷静に現実を突きつける。

 凛愛は少し考えてから、パッと顔を輝かせた。


「うん! 信頼できて、あたしの代わりに店を守ってくれる人……あ! しっかり者のミリナちゃんに相談しよ!それしかないっしょ!」


 かつて、凛愛の初クエを依頼したミリナ。

 商業区で働く彼女なら、店主不在のショップを切り盛りしてくれるはずだ。


「マルコさん! 出発の前に、ちょっとだけ商業区に寄ってもいいかな? あたしの代わりに店を任せたい子がいるのぉ!」


「あらァ、代理店長? 露店の娘に目をつけるなんて、アンタも意外と見る目があるじゃないの。アタシが直々に面接してあげるわよォン!」


 急遽決まった「代理店長面接」

 一行は、期待と不安を抱えながら、活気あふれる商業区へと向かうのだった。


 商業区にあるミリナの露店へ向かうと、そこには見慣れた顔があった。

 いつも凛愛が利用している宿屋「木漏れ日亭」の女将マーサが、ちょうど買い出しに来ていたのだ。


「……あら! 噂をすれば、ちょうど来たじゃないの!聞いたわよリア! あんた、本当は勇者様だったんですって?んもぅ、ビックリよ!」


「あ、あはは……マーサさん、どこでそれを……」


「街中その噂で持ちきりよ! 毎日うちの宿に泊まってる子が、まさか伝説の勇者様だったなんてねぇ…なんて光栄な事か……うっ」


 マーサが涙し、凛愛が頬をかきながら苦笑いしていると、露店の奥にいたミリナが、弾かれたように顔を上げた。


「お姉さん! 勇者様だったんだね!私のパチンコが、勇者様の最初の武器になってたなんて……もう、びっくりしすぎて腰抜かしちゃったよ!」


「あ、あぁは……うん、あの時は助かったよ、ミリナちゃん……あ、でね、今日は相談があって。今度あたし、自分のショップを出すことになったんだ」


 凛愛がそう切り出した瞬間、ミリナの視線が凛愛の背後に立つ人物に固定された。

 みるみるうちに顔が真っ青になり、ミリナは直立不動で震え始める。


「え……え、あ……マルコ・グレディア様……!?」


「あらァ、アタシの顔を知ってるのね。んまァ、商売人なら当然ねッ!」


 マルコが毛皮を揺らして一歩前へ出ると、周囲の客たちが一斉に道を空けた。

 商業区に君臨する女帝の登場に、露店街の空気が一変する。


「お姉さん……あそこ、黄金回廊の……王城へ続く通りに建設中のあのお店、マルコ様が手掛けてるって噂の……まさか、あそこがお姉さんのお店なの!?」


「黄金回廊……? あ、王城前の高級商店街の一等地のヤツ!? え、あそこがあたしの店なの!?」


 凛愛は初めてその立地の凄まじさを知り、腰を抜かしそうになった。

 マルコは満足げに鼻を鳴らす。


「その通りよォ! アタシが手掛けるんだから、最高の場所を用意したわよォン! アンタ、この娘が代理候補って言ったわね? ……ほう、アタシを前にして腰を抜かさないだけ、根性はあるじゃないのォ」


 ミリナはガタガタと震えながらも、憧れと恐怖が入り混じった瞳でマルコを、そして凛愛を見つめていた。


「ミリナちゃん、急なんだケド……実はさ、いずれは遠征で街を離れる事になるんだけど、あのお店ができたらね、店長代理として、あたしと一緒に働いてくれないかな?」


「わ……私が、黄金回廊の店長代理……!? お姉さんと一緒に、あのお店で……!?」


「うん! あたし一人じゃ絶対無理だし、ミリナちゃんの商売センス、あたし頼りにしてるんだ……どうかな?」


 ミリナは震える拳を握りしめ、覚悟を決めたようにマルコと凛愛に向き直った。


「……やらせてください! 私、お姉さんの力になりたいです!」


「決まりねェンッ!!」


 マルコの拍手が、商業区に響き渡る。

 伝説の一等地ショップ、その開店に向けて、最強(?)の布陣が整い始めていた。


 現在のステータス

 • 名前:星凛愛ホシ・リア

 • 状況:ミリナを店長代理としてスカウト成功

 • 協力者:ミリナ、マルコ

 • 精神状態:一等地の店主に震えつつも、ミリナが仲間になって心強い

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