表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/60

第47話:伝説の聖剣探索クエスト発動?魔導のブラック工場!?変人、量産体制の犠牲者なんですけどぉ!

 ギルドでの騒ぎを終えた一行は、一旦解散することになった。

 ハルドはいつもの酒場へ、アルメリアは自分の店へと戻り、凛愛は一人と一羽でアヴェントリアの街を歩き出す。


 だが、道を行く人々の視線が、今までとは明らかに違っていた。


「……うぁ、ヤダ、ムリ……こっち見んな……すでに勇者の噂、知れ渡っちゃってるワケ!?」


 街中に噂が広まり、すれ違う者たちが立ち止まってヒソヒソと囁き合っている。

 だが、派手な見た目に挙動不審な凛愛の姿を見て、人々の中にも困惑が広がっていた。


「あれが勇者? 聖光教会の言ってた伝説の再来にしては、ずいぶんチャラくないか?」


「なんか、ただの迷子に見えるわね……」


 周囲の微妙な空気を察して、凛愛はさらに猫背になる。


『……おい、バカ人間! もっと堂々と歩け! 見た目に反した動きをするな』


 髪の中のチュンペーが、叱咤するように凛愛の頭をつついた。


「痛たた…だって、あたし陰キャのゲーマーだよ!? リアルで注目浴びるの、マジで無理ゲーなんですけどぉ……」


 その時、手元のスマホが微かに振動し、蒼の宝珠が無機質な声で現状を報告し始めた。


「対象の精神状態、著しい動揺を確認……付随して、経験値の再計算が完了しました。神殿での試練、および強敵との対峙、さらに重要人物との邂逅により、星凛愛のレベルが17に上昇しています」


「え…いまかよ!?てか、レベル17? 低っ!海洋恐怖症でも頑張ったんだけどっ!!」


「ステータスを表示します」


 現在のステータス

 • 名前: 星凛愛ホシ・リア

 • レベル: 11 → 17(+6上昇!)

 • 力: 4

 • 体力: 4

 • 素早さ: 12 → 18(+6上昇!)

 • 知力: 9 → 12(+3上昇!)

 • 魔力: 7 → 13(+5上昇!)

 • 運: 10

 • スキル: 【魔力感知】、【逃走の極意】

 • 職業:冒険者ギルド所属(ランク:F)


「……逃げ特化じゃん……なにこれ、なんかダサくない? 逃げ足だけは神の領域とか!!ギルドランクも上がってないじゃん!リリスさん、ランク上げるの忘れてない…?」


「レベル17に到達しましたが、攻撃能力は依然として致命的に不足しています。現在のままでは、魔界の深部へ足を踏み入れることは推奨されません。」


 宝珠の辛辣な評価に、チュンペーも沈黙した。

 だが、スマホの画面に新たな座標が浮かび上がる。


「現状を打破するため、聖光剣アルスカイゼリオンの探索を提案します」


『……聖光剣。アザエルを一時的にせよ行動不能にまで追い込んだ、あの武器か』


 チュンペーの声に、かつての苦い記憶が混じる。

 魔王としての誇りはあっても、あの剣の威力だけは認めざるを得ないようだ。


『フン、致し方あるまい。丸腰のバカ人間を戦わせるよりは、あの忌々しい光の剣でも持たせておいたほうがマシというものだ』


「意見の一致を確認。クロウヴァルドは星凛愛の安全を最優先に考え……」


『やかましい! 余計な注釈を入れるな!!』


 チュンペーは再びスマホの画面を激しく突き始めた。


「わー、また喧嘩してる……聖剣探しねぇ。これぞRPGって感じだけど、絶対またヤバいダンジョンに行かされるパターンだよね、これぇ……海だけはヤメテね、マジで……」


 凛愛は溜息をつきながらも、画面に示された次の目的地を、不安と期待の入り混じった瞳で見つめるのだった。


 聖剣探索という重いクエストが提示され、どんよりした気分になった凛愛だったが、ふと思い出した顔があった。


「そだ、エルドリンさん、どうなってるかな? マルコさんにガン詰められてたよね、今頃泡吹いて倒れてなきゃいーけど……」


 あの偏屈で変人な魔導職人、エルドリン。

 マルコに量産ラインを引けェ!と宣言され、今頃は急ピッチで働かされているはずだ。


 彼の安否(と進捗)を確認するため、凛愛は職人街の工房区へと向かった。


 以前、バイトで何度も訪れた見慣れた風景。

 煤煙と金属の叩き合う音が響く区画だが、エルドリンの工房があるはずの場所に近づくにつれ、凛愛の足が止まった。


「……え?……あれ、あたし、道間違えた?」


 そこには、以前の「古びた個人工房」の姿は微塵もなかった。


 代わりに聳え立っていたのは、一際デカい、まるで要塞のような建造物。

 真新しい鉄材と魔導蒸気が噴き出す煙突が何本も並び、休みなく駆動音が鳴り響いている。


「……工房っていうか、これ、工場じゃん!何が起きたら数日でこうなるの!?」


『……フン、あのオークの怪物、本気でこの街の経済を塗り替える気か』


 髪の中のチュンペーも、その異常な建設スピードに呆れ顔だ。

 工場の入り口には、これまた見覚えのある「経済統治機構」の腕章を巻いたラグの部下たちが、厳重な警備体制で立っていた。


「あ、リアさん! お疲れ様です! 工場長なら今、三日三晩不眠不休で奥のラインを調整してますよ!」


「あ、えと…工場長って……あの、エルドリンさんのコト……? 生きてます? 魂抜けて……ない?」


 凛愛は不安を通り越し、もはや戦慄に近い感情を抱きながら、巨大な工場の重い扉へと手をかけた。


 現在のステータス

 • 名前:星凛愛ホシ・リア

 • 状況:エルドリンの「量産工場」に到着

 • 精神状態:資本主義の暴力に引き気味

 • 次の展開:死にかけ(?)のエルドリンと再会し、量産品の中身を知る

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ