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第45話:災い転じて福と為す!?オークの姐御は、ポジティブ全開なんですけどぉ!

セラフィナ率いる教会の騎士団が、重苦しい足音と共に去っていく。


その後ろ姿を見送ったマルコは、肩に担いでいた巨大な魔導斧をドスンと地面に置くと、へたり込んでいる凛愛を見下ろしてニヤリと笑った。


「しっかしアンタ、一気に有名人だわねェ。あの大神官様が直々に港までお出迎えなんて、前代未聞よォ?」


「……有名人っていうか、指名手配犯にでもなった気分なんですけどぉ。心臓がバックバクで死ぬかと思った……」


凛愛が涙を拭いながら立ち上がると、マルコはその太い腕を振り上げ、景気よく彼女の背中を叩いた。

バッちん!!


「勇者信仰の根強いアヴェントリアで教会が動いたって事実は、ますますアンタがホンモノの勇者だって証明になるわ! 悪いことばっかりじゃないわよ、良い事の方が多いんだから! 気をおとすんじゃないわッ!」


「痛った……! 励まし方、物理的に重すぎっ! でも……ありがと、マルコさん。マジで助かりまし……た」


あまりの衝撃に前のめりになりつつも、凛愛の心から少しだけ重荷が取れた。

その様子を見ていたハルドとアルメリアも、ようやく深く、長く息を吐き出す。


「……ふぅ。無傷で場が収まるとはな。マルコ、アンタの貸しにしておいてやるぜ。教会の連中に真っ向から喧嘩売れるのは、この街じゃアンタくらいだ」


ハルドが苦笑しながら剣の柄から手を離す。


「本当に助かったわ。セラフィナをあそこまで沈黙させるなんて、貴方の経済力と……その威圧感のおかげね」


アルメリアも感謝を伝えると、マルコ高笑いすると、

買い物で返しなさい、と言わんばかりの視線を向けた。


「さあ、いつまでもこんな潮臭いとこにいないで、アタシの縄張り行くわよ! 教会もしばらくは手出しできないハズさねェっフン!」


こうして、史上稀に見る「勇者一行」は、市場区を統治するオークの姐御に引き連れられ、賑やかなアヴェントリアの街並みへと消えていった。


市場区の中心、ひときわ豪華で派手な装飾が施されたマルコの根城。

その奥にある広々とした応接室には、驚くことにラグの姿もあった。


「さ、こっからは商売の話よン!」


マルコが巨大なソファにドカリと腰を下ろし、指を鳴らす。


「時期に、アンタのショップも完成するわ。売上の15パーセントを上納するのが、この商業区の慣わしよ。場所、治安維持、流通ルートの確保。全部込みの代金だと思ってもらって構わないわ」


アルメリアも頷く。


「うちの店もそう。大丈夫よ、リア、妥当だし安いくらいよ」


「……15パーセント、か。計算とか、わかんない……あたしに商売なんてできるのかなぁ……」


不安がる凛愛に、マルコは自身の豊かな胸を拳で力強く叩いて見せた。


「心配しなさんなっ! アンタの今の知名度と、この街に根付いた勇者信仰があれば、売り上げトップも夢じゃねェわよ! アタシのココが言ってるわ、ココがっ!」


ハルドが豪快に笑い、凛愛の肩を叩く。


「なら安心だなっ! マルコが太鼓判を押すなら間違いねぇや」


さらにマルコの話は、外縁区の懸案事項へと及んだ。


「でェ〜、孤児院の運営費だけどォ。アタシが全部出すのはカンタンだけど……リア! アンタも出資しなさいなっ! 勇者が私財を投じてるって知れ渡れば箔がつくわ! 貴族共からの寄付も増えるってもんだわぁ! もちろん、その金は全額、孤児院へ回すわよ?」


間髪入れず、凛愛が答えた。


「もちっス!……イメージ戦略ってやつ? 勇者ブランド、使い倒す気満々じゃん……さすがっス!」


「んで、さらに! ラグ! アンタの盗賊ギルドが全面的にバックアップするって件だけどォ。アタシの面子やリアの立場を考えたら、盗賊が裏で絡んでるのは得策じゃねェわ。そこでラグ、アンタ、盗賊ギルドを解散しなっ」


突然の解散勧告に、ラグの表情が強張った。


「……おい、マルコ。ウチにだって面子ある。外縁区じゃ義賊で通ってるんだ。盗みで孤児を食わすのが良くない事くらい分かってる。けど、ウチのメンバーにだって食いぶちは必要なんだ……」


食い下がるラグに対し、マルコは不敵な笑みを浮かべて身を乗り出す。


「だからこそ、アンタらをアタシが雇ってやんだよ! 治安維持と商業団の護衛としてね。気に入らなきゃ無理にとは言わねェわ……アンタの面子も分かるわ。初めの内はアタシが雇う形だけど、アンタの性に合うなら後から独立したっていい。傍目にも、悪く見られることは無ェわよッ!」


マルコの提案は、まさに完璧な出口戦略だった。

盗賊を警備団へとジョブチェンジさせ、正当な報酬と社会的地位を与える。


ラグはしばらく黙り込んでいたが、やがて短く溜息をつき、わずかに口角を上げた。


「……ちっ。相変わらず強引な姐さん、断る理由ない……分かった。ウチの野郎共には話を通す」


こうして、凛愛を中心とした新しい「経済の輪」が、市場区のドンによって鮮やかに描き出されていった。


現在のステータス

• 名前:星凛愛ホシ・リア

• 状況:マルコのプロデュースによりショップ開店準備へ

• 勢力拡大:ラグの盗賊ギルドが警備団として傘下入り

• 精神状態:勇者兼オーナー(?)として責任重大

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