第37話:中二病全開!?必殺技が効かないなんて、クソゲーなんですけどぉ!
ゴオォン!
巨大な石の拳が地面を叩き、凄まじい衝撃音がピラミッド内に響く。
しかし、その一撃は凛愛の数メートル横を虚しく打つだけだった。
「……あれ? 意外と余裕? 動き鈍くない? もしかして、あたしに合わせてイージーモードに設定してくれた感じ?」
逃げ回る凛愛だったが、石像のモーションがゲームの初期ボス並みに予備動作が大きく、鈍重であることに気づく。
これなら、あの時の技で一発終了でしょ!と、言わんばかりに術式コンボの構えに入った。
「いくよ! 闘技場のリプレイ、ここで再現しちゃうから!」
凛愛はスマホを高く掲げ、前々から練習していた、言ってみたかったセリフをこれでもかと吐き出した。
「風よ裂け!雷よ穿て!えーっと…我が名に応え、敵を断て……セレスティアル・テンペスト!!」
放たれた魔力の竜巻が、バチバチと火花を散らしながら守護石像を飲み込んでいく。
「くぅー! どーよ?決まったっしょ! 詠唱キャンセルなしのフルセット!めっちゃ気持ちぃわぁ♪」
「とてもワクワクしますね」
と蒼の宝珠が淡々と呟く。
『バカが増えたか……恥を知れ』
髪の中のチュンペーが呆れ果てているが、凛愛はドヤ顔を崩さない。
が、巻き上がった土煙が晴れると、そこには傷一つない守護石像が、平然と立ち尽くしていた。
「……げっ! マジ? 浮かないじゃん! 重すぎかよ! ノックバック耐性100パーセント設定とか、ステータス盛りすぎじゃない!?浮いて、落っこちて、バッカーンッてなるはずだったのに!」
凛愛は冷や汗を流しながら、ひょいひょいと石像の攻撃を避けつつ、宙に浮くスマホに話しかける。
「ねぇ、あんた何が出来んのよ? あいつ、めっちゃ遅いけど、めっちゃ硬いじゃん! どーすんの? あんたを、どー使うわけ? 攻略本かデバッグモード、早く出してよ!」
「新しく、戦闘用デバイスを導入しました」
と蒼の宝珠が冷静に答える。
「ん? あ、これ? 新しいアイコン増えてる!」
画面の端に、見たことのない剣と歯車が組み合わさったようなアイコンが出現していた。
凛愛はそれを、迷わずタップする。
バトルモード起動。
バチィッ……!
スマホの画面から、これまでの電子機器の概念を覆すような青白い放電が走る。
「勇者の承認を受領……セーフティ解除、セレスティアル・テンペスト・ソード起動」
「え、何?パクり?」
蒼の宝珠がそうコールした瞬間、スマホの端から収束された高エネルギーの光の刃が、勢いよく放出された。
「……おぉ……な、なにこれ……あたしにビームの力が?……サイコーかよ!?」
凛愛に、驚愕と感動、そしてどこかで見たことがあるような既視感が同時に押し寄せた。
手に伝わる振動は、まるで生き物のように脈打っている。
「めっちゃアガる……!!これなら、あの硬いだけの石像も、一刀両断いけるんじゃね!?」
ビームの青い輝きが、凛愛の瞳とネイルを鮮やかに照らし出す。
『……おい。何をニヤついている、バカ人間。そいつがまた拳を振り上げているぞ!』
「わかってるってば! チュンペー、見てなよ!今のあたしは、ただの引きこもりゲーマーじゃない……光の勇者なんだから!」
鈍重な動きで迫りくる守護石像。
その巨大な拳が再び凛愛を押し潰そうとした瞬間、彼女は光り輝くスマホ……いや、聖剣を真っ直ぐに突き出した。
「よっしゃ!あたしの最強デバイス!!てか…これ、物理防御無視だよね!?」
空気を焦がす音と共に、蒼い光の刃が石像の腕へと吸い込まれていく——。
現在のステータス
• 名前:星凛愛
• 状況:守護石像と交戦中(セレスティアル・テンペストソード発動)
• 装備:スマホ(光剣形態)
• 精神状態:中二病マシマシ(感動で海洋恐怖症を忘却中)




