第34話:勇者の記憶(アーカイブ)!?胃袋の中のピラミッドで、スマホが爆速移動なんですけどぉ!
ツン、ツンツン!
「痛……っ、ん……なに……あ、あたし、寝てた……?」
『バカ人間! いつまで寝ている、さっさと起きろ!』
チュンペーに頭を激しく突っつかれ、凛愛はゆっくりと目を開けた。
目の前には、羽をバッサバッサと逆立てて怒っているチュンペーの姿。
「……あれ? チュンペー……っていうか、え……ココどこっ!?」
『夢ではない。ここは海神の体内だ。貴様はこれから試練とやらを受け、生きてここを出なければならん』
「……はぁ!? 体内!? きったねぇ!溶かされんじゃない!? 胃酸でベチャベチャになっちゃう系!? ヤダヤダ、あたし、そんな美肌に悪い死に方したくないんですけどぉ!!」
パニックを起こして周囲を見渡した凛愛は、そこで声を失った。
そこは、およそ生物の体内とは思えない光景が広がっていたからだ。
どこまでも続く静かな水底のような空間。
その中心に、巨大なピラミッドのような古代遺跡が、まるで凛愛を誘うように入り口を大きく開けていた。
「あれ……なにコレ?完全にダンジョンじゃん…体内っていうか、別次元ステージ?」
その時、凛愛が右手に握りしめていたスマホが、意思を持ったように激しく震えだした。
「え、ちょっ、暴走!? バグった!?」
スマホは凛愛の手をすり抜けるように浮かび上がると、そのままピラミッドの入り口へと猛スピードで飛んでいく。
「え?なに……なんでっ!? 待って待って! 置いてかないでぇ!!」
商売道具であり相棒でもあるスマホを失うわけにはいかない。
凛愛は海洋恐怖症をどこかへ放り投げ、猛ダッシュでスマホを追いかけ、ピラミッドの奥へと飛び込んだ。
中に入ると、そこはさらに異様な空間だった。
深い闇の中に、ホログラムのような青いビジョンが映し出されている。
そこには、凛愛と似ているようでどこか違う、凛とした立ち姿の女性——セリアらしき人影が、見たこともない魔物と戦っている光景があった。
その人影は、流れるような剣筋で魔物を難なく斬り伏せると、地面に転がる蒼い輝きを放つ「何か」を手に取る。
「……これ、過去のリプレイ? ……すご!マジで勇者じゃん……」
凛愛が呆気にとられていると、ビジョンは霧のように消え去った。
その瞬間、辺り一面を青く照らし出す神秘的な祠が現れ、その傍らに、逃げ出したはずのスマホがぷかぷかと浮遊していた。
「あ……いたなー!もう、勝手にソロプレイ始めないでよね……!」
凛愛がビビりながら、浮いているスマホを手に取ろうとした、その時。
カチッ、と何かが噛み合うような音が響く。
祠の中央から目も眩むような光を放つ「蒼の宝珠」が飛び出し、吸い込まれるようにスマホの画面の中へと消えてしまった。
「は?……え……あ、あたしのスマホに……食われた……?ちょっ!こら!スマホ!何してんの!?
出せっ!食べちゃダメなヤツ!!」
画面には、見たこともない「蒼い紋章」がロード画面のように回転し始めていた。
現在のステータス
• 名前:星凛愛
• 状況:ピラミッド内部で「蒼の宝珠」がスマホに吸収されてしまった
• チュンペーの状態:状況を冷徹に観察中
• 謎:蒼の宝珠がスマホと合体?したことで、どんな新機能が解放されるのか?




