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第33話:勇者のバイブス!?ウツボのお口で、強制イベント発生なんですけどぉ!

天井の逆さまの海から現れた巨大なウツボは、その黄金色の瞳を真っ直ぐに凛愛へと向けていた。


「……あ、あ……あう……」


泡を吹く寸前の凛愛に、地響きのような思念が再び直接脳内に語りかけてくる。


『……お主から、勇者の波動を感じる。自覚は……無いようだが、たしかに感じるぞ』


勇者の波動——


その言葉に、凛愛の髪の中に隠れていたチュンペーは、小さな体を微かに震わせた。


(……やはり、そうか。このバカ人間からは、セリアと同じ……いや、それ以上に純粋な何かが時折溢れ出ていた。吾輩が感じていたあの奇妙な懐かしさと、説明のつかない違和感……その謎が、今ここで解けるのかもしれん)


チュンペーの小さな瞳に、気絶している凛愛を見下ろすウツボの姿が映る。


バカ人間、バカ人間と罵りながらも、どこかで彼女の「普通」ではない何かに気づいていた。

その正体が「勇者の魂」なのだとしたら、全てが腑に落ちる。


「……ゆうしゃ……はどう……? ……む……り……」


あまりの恐怖と、理解不能な状況に脳がキャパオーバーを起こし、凛愛はそのまま白目を剥いてガクッと崩れ落ちた。


「おい、嬢ちゃん!?」


ハルドが駆け寄るが、ウツボに敵意がないことを悟り、剣を構えつつも警戒を少しだけ緩める。


「……ふぅ。どうやらこいつ、戦う気は無ぇようだな。いやぁ、マジで肝を冷やしたぜ……しかし、嬢ちゃんが勇者? もしそれが本当だとしたら、ここまでトラップも無しにスルスル来れたのも納得か……」


ハルドが唸る中、アルメリアが凛愛の代わりにウツボの前に進み出た。


「……守護者よ。500年前にセリアに課したあの試練を、この娘にも与えるというの?」


ウツボは静かに、深海のような沈黙を保った後、答える。

『左様。この娘が真に勇者の魂を継ぐ者であるかは、蒼の宝珠が答えてくれるであろう……』


その言葉と同時に、ウツボは岩山のような大きな口をゆっくりと開いた。

そのまま、気絶している凛愛を丸呑みにしようと、頭上からその巨躯を降ろしてくる。


「おいおい! 何する気なんだ!? さすがに見過ごせねぇぞ!」


ハルドが反射的に剣に手を掛けるが、アルメリアがその腕を制した。


「大丈夫よ、ハルド……500年前と同じ試練が始まるわ。彼女を信じましょう」


ウツボの口の中に吸い込まれていく凛愛。


その右手には、気絶していても離さないスマホが、淡い光を放ち続けていた。




現在のステータス

• 名前:星凛愛ホシ・リア

• 状況:巨大ウツボに丸呑み中(気絶)

• 精神状態:強制ログアウト(気絶)

• 謎:蒼の宝珠が示す、凛愛の「正体」とは?

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