第139話:知力とは予測する力!理系魔王のクイズにギャルが挑むんですけどぉ!
フラフラと開いた窓から出ていってしまったメモリエル。
その自由すぎるペット(?)のせいで、いきなり制限時間3分の迷子探しという超難易度のお題を出され、凛愛は完全にパニくっていた。
「ちょっと待って、あんな小さくて素早いメカ妖精、この広い歯車の街から3分で見つけるとか絶対ムリゲーだって!」
頭を抱えて右往左往する凛愛の髪の中から、チュンペーが冷静な声で一喝する。
『おいバカ人間。落ち着いてメモリエルが飛び出した理由を思い出せ』
「え? 理由?」
『あのポンコツ妖精は、去り際に何と言った?』
「えーと……えーと、確か『生体反応ゼロ』『興味深いサンプル』『データ収集開始』……だっけ?」
『そうだ。つまり奴は観光に行ったのではない。自らの知的好奇心を満たすため、研究に行ったのだ』
ここで凛愛が少し考える。
知力2のギャル脳をミリミリと働かせ、ゲームのクエストのヒントを読み解くように記憶を巡らせる。
「研究なら……学校の理科室みたいな、研究所?」
『違う』
「じゃあ、さっき見えた大きな工場?」
『半分正解だ』
そのやり取りを横で聞いていたセルヴァインが、フッと口元を少しだけ緩めて笑う。
「リア、知力とは、単なる暗記力のことではない」
「え?」
「目の前にある、あるいは過去に得た情報から、相手の行動を予測する力だ」
セルヴァインは窓の外に広がる、鉄と蒸気の街を静かに見下ろす。
「モリエは機械生命体だ。生物としての欲求を持たないのは理解しているね?」
「……はい」
「ならば、あのメモリエルという個体が、この都市において最も興味を示すのは何だと思う?」
凛愛が改めて窓の外の街を見る。
規則正しく噛み合う巨大な歯車。
黒い煙を吐き出しながら走る蒸気列車。
あちこちで稼働している巨大な工場。
空へ向かってそびえ立ついくつもの煙突。
最先端の技術が集まる研究施設。
魔力を放つ魔導塔。
情報が多すぎて目移りしそうになる。
だが、凛愛の脳裏に、モリエが最後に残したある一言がパッとフラッシュバックした。
「非常に良い熱源を発見」
「あ……熱源! モリエ、最後に熱源がどうとか言ってた!」
セルヴァインが満足そうに頷く。
「そう、その通りだ。メモリエルは生物観察ではなく、この都市を動かすエネルギー源の調査を始めたのだよ」
セルヴァインが指し示したのは、アーベルーナ・クロニクルの中央区。
そこには、空を突くほどに巨大な蒸気塔がそびえ立っていた。都市全域へ膨大な魔力を供給する、心臓部たる超巨大魔核炉。
街で最も熱量が高く、最もエネルギー密度が高く、そして最も機械生命体が興味を持つにふさわしい、圧倒的な力の中心地。
「あそこだ! モリエは、あそこにいる!」
答えを導き出した凛愛の瞳が、ゲームの謎解きをクリアしたときのようにキラリと輝いた。
残り時間はあと1分半。
力なき勇者の、頭脳を使った追跡劇がここから加速する。
現在のステータス
・名前: 星凛愛
・状態:
・クエスト目標確定:「なるほどね! 脳筋バトルは無理でも、こういう謎解きイベントならゲームオタクのあたしの得意分野じゃん!」と、中央の蒸気塔をロックオンして俄然やる気を出している。
・相棒:
・フンと鼻を鳴らす雀: 凛愛の髪の中で、「少しは頭が回るようになったな、バカ人間」と、次の課題が気になっている。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・ちょっと感心した刀身: 「おおっ、勇者が閃きを見せたのじゃ! ワシも熱い場所は嫌いではないぞ、鉄を鍛える時のあのパッションを思い出すからのう!」と、テンションを上げている。
・周囲の状況:
・セルヴァイン(手腕を評価): 凛愛の導き出した答えを聞き、「合格だ。情報から正解を手繰り寄せる……君にはその素質がある。では、実際にあの熱源の元へ向かおうか」と、魔導船の進路を中央の蒸気塔へと向けさせている。
・巨大魔核炉(モリエ潜伏中): 都市の中心で轟音を立てて稼働する超巨大魔核炉。その配管の隙間で、モリエが「素晴らしいエネルギー効率。データ吸い出し中」と、完全にオタク特有の早口(システム音)で悦に浸っている。
・力: 1
・体力: 1
・素早さ: 3
・知力: 2 (情報予測により一時的に冴え渡る!)
・魔力: 0
・運: 60
・スキル: 逃走の極意、魔力感知?




