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第130話:亡者の大合唱と、完全に詰みかけたギャルの絶体絶命なんですけどぉ!

 自らの確固たる意志によって、先代勇者の助力を得ることなく覚醒モードを果たした星凛愛。 

 金色に輝くその瞳には、かつてないほどの強い光が宿っていた。


 しかし、そんな凛愛の前に立ちはだかる大死霊術師ネクロスも、一切引けを取ってはいない。


 幾億もの怨念を編み上げたという最悪のドレス、死霊葬衣を纏ったその異形は、極寒のグリムヴォイドの夜闇で圧倒的な絶望のオーラを放ち続けていた。


「ウザっ……あいつの服、マジで禍々しすぎて近寄りたくもないんだけど……!」


 両手に純粋な光そのものへと姿を変えた勇者の神器を構える凛愛だったが、簡単に斬り込むことができない。


 生者が触れれば終わりなき死者の葬列の一員となるというネクロスの不気味な言葉通り、あれに一歩でも触れればタダでは済まないだろうことは、知力2のギャル脳であっても本能的に感じ取っていた。


 光の剣の攻撃力は測定不能レベルに跳ね上がっているものの、それは同時に、相手の懐へと踏み込まなければならないというリスクを意味していたのだ。


 緊迫した沈黙を破り、先に仕掛けたのはネクロスだった。


「ウィッヒヒヒ! 攻めてこぬなら、こちらから葬ってくれるわい!」


 ネクロスが両腕を掲げると、その身を覆う死霊葬衣の裾が、生き物のようにドロドロと引き伸ばされ、凛愛へと襲いかかった。


 ウネウネと軌道の読めない変幻自在な動き。


 まるで黒い大蛇か、あるいは無数の亡者の腕が押し寄せてくるかのようなその攻撃に対して、素早さ3の凛愛は光の剣で必死に防壁を築き、かわすのが精一杯だった。


「ちょ、ちょっと待って! 判定がシビアすぎるってば! 軌道が全然読めないんですけどぉ!」


 反撃に転ずるスキが全く見当たらない。

 上下左右、全方位からじわじわと、触れた瞬間に魂を腐らせる死の衣が凛愛を追い詰めていく。


「どうじゃ? 近づけまい! 触れたが最後、お前のピチピチした肉体も魂も、すべて儂の衣の繊維となるのじゃ! ウィッヒヒ、怖かろう、絶望的じゃろう!」


 ネクロスが勝ち誇ったように声を荒らげる。


「どうした勇者よ? 精神世界での威勢はどこへ行った! 早う斬り込んでこい!」


 ここでネクロスは、わざとらしく胸元を大きく広げ、明確な余裕と隙を見せてきた。


 あまりにも挑発的で、罠であることは見え見えの行動だったが、これ以上防戦一方では削り殺されると判断した凛愛は、一か八か、両手の光の剣を一閃させた。


 まばゆい聖なる光の刃が、ネクロスの差し出した死霊葬衣の端を鋭く切り裂く。


 その瞬間。


「うぁぁあああーーーっ!!」


「呪うてやる、生者め! 呪うてやるぞぉぉお!!」


 切り裂かれた衣の断面から、幾万、幾億の亡者の悲鳴が一斉に響き渡った。

 それは単なる音ではなく、魂を直接かきむしるような、鼓膜を破らんばかりの精神汚染の絶叫だった。


「うっ……頭が、割れる……っ!」


 あまりの音響兵器っぷりに、凛愛は思わず両耳を塞ごうと、光の剣を構える両腕を一瞬だけ下げてしまった。それこそが、ネクロスの狙っていた真の罠だったのだ。


「ウィッヒ! 隙ありじゃ! 術中にはまったな、バカな小娘め!」


 ネクロスがここぞとばかりに腕を振り下ろすと、切り裂かれたはずの死霊葬衣から、より巨大な黒い影が触手のように跳ね上がり、凛愛の頭上へと迫る。


『おいバカ人間! 何を呆然としておるか、よけろ!!!』


 髪の毛の中から、チュンペーが張り裂けんばかりの声で怒鳴る。


 しかし、その警告も、今まさに頭上から死の暗雲のように覆いかぶさろうとしている死霊葬衣のスピードには、到底間に合わない。


 完全に防御の姿勢を崩され、頭上から迫る絶対の死の衣。


 逃げ場のない極寒の城の前で、凛愛の金色の瞳に、漆黒の絶望が迫り来る。はたして、この完全に詰みかけた状況から、彼女の運60は再び機能するのだろうか。


 現在のステータスと状況の後書き

 ・名前: 星凛愛ホシ・リア

 ・職業: 勇者(一時的覚醒)

 ・状態:

 ・絶体絶命(大ピンチ): 亡者のデスボイスによる音響シャウトで完全に怯み、「魔界のボスのギミック、初見殺しが多すぎてマジでクソゲーなんですけどぉ!」と脳内で涙目になりながら硬直している。

 ・頭上の危機: ネクロスの死霊葬衣がすぐ目の前まで迫り、触れる寸前の状態。


 ・相棒チュンペー

 ・超絶焦り雀: 凛愛の硬直を見て、我が身を顧みずに雀の姿のまま飛び出し、無我夢中で攻撃を相殺しようかと本気で羽を広げている。


 ・聖光剣アルスカイゼリオン:

 ・主の危機に大パニック: 「凛愛! 上じゃ、上を見るのじゃ! ワシの聖なる光の出力を最大にするから、早くその腕を上げてガードするのじゃーー!」と、刀身を激しく明滅させて叫んでいる。


 ・周囲の状況:

 ・ネクロス(勝利確信): 「ウィッヒヒ! どんなに強い光の武器を持とうとも、中身が経験不足の小娘であればこれでおしまいじゃ!」と、今度こそ完璧な勝利を確信して笑いが止まらない。


 ・力: 1

 ・体力: 1

 ・素早さ: 3

 ・知力: 2

 ・魔力: 0

 ・運: 60

 ・スキル: 逃走の極意、魔力感知?、魂の共鳴(完全発動・勇者モード)

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