第129話:脅威の大死霊術!幾億の怨念が編む最悪のドレスなんですけどぉ!
自分の庭であり、絶対的な支配領域であるはずの精神世界でまさかの敗北を喫し、一時は完全に圧倒されていたネクロス。
現世へ逃げ帰った彼を待ち受けていたのは、精神の最奥で自らのアイデンティティを全肯定し、まばゆい金色の瞳を開いて真なる覚醒を遂げた勇者・星凛愛の姿だった。
しかし、魔界でも指折りの実力者である大死霊術師が、このまま無様に終わるはずがなかった。
凛愛の両手に握られた光の神器が放つ神聖なる威光によって、本来なら見えないはずの実体をこの極寒の夜闇に鮮明に映し出されたネクロスだったが、その引きつった歪みなき精神体の姿は、徐々に不気味な変化を遂げていく。
「ウィッヒヒヒ……後悔するが良い、忌々しき勇者よ。儂をここまで追い詰めたこと、その若き肉体を現世に残したまま死にゆく恐怖を、今こそその身に刻むが良い!」
ネクロスの声が、先ほどまでの怯えを掻き消すような、地底の底から響くような重低音へと変わっていく。
彼の精神体の周囲に漂う空気が一瞬で凍りつき、ピンクの雪さえもその禍々しさに怯えるように黒く変色して霧散した。
「我が身を纏え!万霊の嘆き――大死霊葬衣……!」
ネクロスがその名を紡いだ瞬間、彼の半透明だった身体を覆うように、この世のあらゆる絶望を凝縮したかのような漆黒の法衣が形作られていった。
それはただの衣服ではない。
よく見れば、その布地のように見えるものの表面には、苦悶に歪む無数の人間の顔、魔族の顔、獣の顔が、絶え間なく蠢き、悲鳴を上げ続けている。
「これはな、儂が数百年もの生涯の中で葬り去ってきた、幾億もの強者たちの魂を編み上げて作り出した死の法衣よ。生者がこれに触れれば、その魂もまた例外なく、終わりなき死者の葬列の一員となるのじゃ!」
幾億の怨念が発する呪詛の波動が、防寒着を着込んだ凛愛の身体へとダイレクトに吹き付ける。
触れるだけで魂が腐り落ちるという、ネクロスが持つ最悪の攻防一体の死霊術。
実体を映し出された逆境を逆手に取り、ネクロスはその圧倒的な質量の呪いを纏うことで、光の神器すらも近づけない絶対の死の領域を構築したのだ。
金色の瞳で光の剣を構える凛愛と、幾億の魂の悲鳴を身に纏う大死霊術師。
極寒のグリムヴォイドを舞台にした、光と深淵の最終決戦が、ついに火花を散らそうとしていた。
現在のステータスと状況の後書き
・名前: 星凛愛
・職業: 勇者(一時的覚醒)
・状態:
・勇者モード(金眼・継続): 威厳に満ちた立ち姿だが、脳内では「何あの服、ガチの生霊がリアルタイムでウネウネ動いててグロ動画の規制レベルなんですけど!? ギャルのファッションセンスとして1ミリも理解できないわ!」と、ネクロスの致命的なセンスの無さにドン引きしている。
・光の神器装備: 敵の呪いの圧を感じつつも、両手の光の剣はさらに輝きを増し、いつでも一閃できる構えをとっている。
・相棒:
・警戒する雀: ネクロスの切り札を見て、『チッ、あの老いぼれ、過去に葬った魂をすべて盾と矛にしおったか。バカ人間、あの衣に生身で触れるなよ! 運60といえど、幾億の呪いをダイレクトに浴びればタダでは済まぬぞ!』と、髪の中で羽を逆立てて緊迫している。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・キレ気味の輝き: 「おいネクロス! 美女の化けの皮を剥がしただけでなく、今度はそんな悪趣味な生霊コレクションを見せびらかすとはどこまで下品なんじゃ! ワシの聖なる刃で、そのウネウネした服ごと一刀両断にしてくれるわ!」と、怒りで刀身からバチバチと聖なる放電を起こしている。
・周囲の状況:
・ネクロス(死霊葬衣装着): 「ウィッヒヒ! これぞ死の極致! 聖剣の光とて、幾億の魂の壁をすべて突破することはできまい!」と、最悪のバリアを纏って再び強気の姿勢を取り戻している。
・4人の元美女: ネクロスの放つ強烈な呪いの余波に巻き込まれないよう、「ひえぇ、ネクロス様がマジモードよ!」「巻き込まれたら私たちまであの服の繊維にされちゃう、逃げろー!」と、さらに遠くへとクモの子を散らすように逃走中。
・力: 1
・体力: 1
・素早さ: 3
・知力: 2
・魔力: 0
・運: 60
・スキル: 逃走の極意、魔力感知?、魂の共鳴(完全発動・勇者モード)




