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第128 話:ガチの覚醒!?ビビる死霊族なんですけどぉ!

 精神を乗っ取ることが不可能であるという、その長い生涯で初めての異常事態に直面し、ネクロスは精神世界での優位を諦め、物理的な手段で小娘の肉体を破壊すべく撤退を決意した。


 凛愛の精神世界から弾き出されるように脱出したネクロス。

 しかし、現実に意識を戻した大死霊術師が目にしたのは、事態が良からぬ方向へと完全に舵を切ってしまった最悪の光景だった。


「おのれ……! 精神が駄目なら、その生意気な肉体ごと桃色の雪を深紅に染めてやるわ!」


 そう叫ぼうとしたネクロスの声が引きつる。


 あろうことかネクロスは、凛愛の魂を強引に侵略したことで、はからずも彼女の内に眠る真なる勇者の覚醒を強力に後押しし、そのトリガーを引いてしまっていたのだ。


 現実世界の凛愛の肉体から放たれる聖なる輝きは、もはや城の周囲を昼間のように照らし出すほどに膨れ上がっている。

 その神聖なる勇者への圧倒的な共鳴の前に、拘束されていたはずの聖光剣アルスカイゼリオンは完全に主の元へと引き戻されようとしていた。


「熱いぃ! 熱いわネクロス様ぁ! この剣、持っていることすらままならないですぅ!」


 エロ剣を必死に抑え込んでいた4人の美女たちが、悲鳴を上げて悶え苦しみ始める。

 聖光剣が放つ、容赦のない純粋な聖なる光。

 それが彼女たちの肉体を激しく焼き焦がしていくと同時に、隠されていた残酷な真実を白日の下に晒していった。


「いや、見ないで! 私たちの、私たちの本当の姿を……!」


 光に炙られた彼女たちの美しい肌が、ボロボロと崩れ落ちていく。

 艶やかだった黒髪は枯れ木のように干からび、瑞々しかった顔打ちは瞬く間に肉の削げ落ちたドクロへと変貌した。


 そこにいたのは、魔界の美女などではなく、ネクロスの魔術によって生前の姿を偽らせていた、醜く腐れ果てた死霊族の眷属たちだったのだ。


 一番ショックを受けていたのは、お姉さんたちの正体を知って精神的ダメージで刀身を真っ青に染めたエロ剣だったのは言うまでもない。


 一方、凛愛の髪の中に隠れていたチュンペーもまた、グラディアスの時を超える二度目の神聖な覚醒を間近で目の当たりにし、その小さな胸の中で確信を深めていた。


(先代勇者セリアの助力が無くとも……ついに、このバカ人間自身の魂が、勇者の領域へと至ったか!)


 元魔王としての本能が告げている。


 目の前にいる少女は、もうただ流されるだけの無力な迷い人ではない。

 神聖なる威光をその身から全方位へと放つ凛愛の身体。


 ゆっくりと見開かれた彼女の瞳は、人界のカラーコンタクトなど遥かに超越した、神秘的な金色へと美しく輝いていた。

 意識は完全に覚醒し、知力2とは思えないほどの絶対的な威厳がその立ち姿に宿る。

 凛愛は凛とした声で、静かに、だけど力強く、自らの半身たちの名前を呼んだ。


「メモリエル。アルスカイゼリオン」


 その呼びかけに、二つの存在が同時に、かつてないほど厳粛な平伏の気配をもって応じる。


「仰せのままに」

「任せよ!勇者!」


 その瞬間、スマホの画面から溢れ出た光の粒子と、美女の手を振り払って宙を舞った聖光剣が、凛愛の両手へと吸い込まれていく。


 まばゆい閃光が収まったとき、彼女の両手には、かつてグラディアスで見せた、物理的な刃をも捨て去り、純粋な光そのものへと姿を変えた勇者の神器が握られていた。


 その光の輝きはあまりにも強大で、あまりにも全うな聖なる属性であるがゆえに、本来なら肉体を持たず、現界に姿を映さないはずのネクロスの精神体の輪郭までも、夜闇の中にくっきりと、生々しく映し出していった。


 逃げ場のない聖光に包まれ、姿を暴かれた大死霊術師は、その光の圧に魂をすり潰されそうになりながら、絶望の声を絞り出す。


「こ、これが……これが、真なる勇者……なのか!?」


 ピンクの雪が降る凍土の城の前で、完全に立場は逆転した。光の剣を構えたギャル勇者の、容赦のない反撃のターンが今、幕を開ける。


 現在のステータスと状況の後書き

 ・名前: 星凛愛ホシ・リア

 ・職業: 勇者(一時的覚醒)

 ・状態:

 ・勇者モード(金眼): 知力2とは思えないほど凛々しい表情だが、脳内では「あのお姉さんたちの中身、ガチのゾンビじゃん! エロ剣のせいでゾンビに抱きつかれてたとか、マジで帰ったら即お風呂で3時間くらい全身塩揉み消毒したいんだけど!」と、別の意味で怒りが有頂天になっている。

 ・光の神器装備: 両手に実体のない光の剣を携え、攻撃力が一時的に測定不能レベルまでハネ上がっている。


 ・相棒チュンペー

 ・確信の元魔王: 凛愛の完全な自立覚醒を見届け、『フン、やはり我の見込んだバカ人間だ。あのネクロスの老いぼれごと、その死霊の城を消し炭にしてやるが良いわ!』と、誇らしげに髪の中から戦況を見守っている。


 ・聖光剣アルスカイゼリオン:

 ・賢者タイム(ガチギレ): 「ワシのピュアなハートを弄んだゾンビどもめ……絶対に許さないんだからねっ!」と、ハニトラの反動で聖なる属性が過去最高レベルに尖っている。


 ・周囲の状況:

 ・ネクロス(完全露出): 実体がないというアドバンテージを凛愛の光で完全無効化され、「バカな、儂の精神体がここまで鮮明に実体化させられるなど…!」と、光の前に、その姿を曝け出す。


 ・4人の元美女ゾンビ: 聖光で元の腐った姿に戻され、「目が、目が融けるー!」「あの小娘、やっぱり魔人なんかよりずっとタチの悪いバケモノよー!」と、骨をガタガタ鳴らしながら一目散に逃げ惑っている。


 ・力: 1

 ・体力: 1

 ・素早さ: 3

 ・知力: 2

 ・魔力: 0

 ・運: 60

 ・スキル: 逃走の極意、魔力感知?、魂の共鳴(完全発動・勇者モード)

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