第123 話:実体なき骨の罠と、役に立たない(?)聖なる眩しさなんですけどぉ!
簡単に凛愛をも拘束し、高笑いを上げるネクロス。
彼がこの大胆な作戦に打って出たのは、凛愛が勇者と呼ばれる所以が、聖光剣アルスカイゼリオンと電子の妖精メモリエルの存在にあると看破していたからだ。
ネクロスは、それらのチート装備さえ引き離してしまえば、目の前のギャルなどタダの非力な人間に過ぎないと踏んでいたのである。
「ウィッヒー! やはりなぁ、儂の目は誤魔化せぬわい! 聖剣を奪われ、足元を固められたお前など、ただの無力な小娘よ。さて、どうしてくれようか……」
「やだぁぁああ! キモい骨に触られ続けるのガチで無理なんだけど! モリエ! なんとかしてぇ!!」
凛愛が半泣きでスマホに縋り付くと、画面の中からモリエが困ったように眉を下げて答えた。
「申し訳ありません。相手は肉体のない霊体、実体の無い相手に今の私の機能では手の施しようがありません……足元を縛っている骨の拘束だけであれば、私の聖なる威光で焼き消す事はできますが、おそらく無駄でしょう」
「は? 無駄とかどうでもいいから! とりま、その拘束だけでも今すぐ解いてよぉ!!」
「……分かりました。では、やるだけやってみます」
モリエがそう告げた瞬間、スマホの画面から、びかーっ! と凄まじく眩い聖なる威光が放たれ、あたり一面を真っ白に照らし出した。
ジュッ!
小気味いい音を立てて、凛愛の足首を掴んでいた禍々しい骨の手が一瞬で消滅する。
「よしっ、ナイスモリエ!……って、あれ? な、な、なんでよ!? 掴んでる骨は消えたのに、拘束が解かれた感覚が全然ないんだけど!?」
自由になったはずなのに、まるで見えない透明な鎖で地面に縫い付けられているかのように、凛愛の足は1ミリも動かなかった。
「ウィッヒヒ! だから無駄だと、その小妖精も言っていたじゃろ? 見た目の実体が消えたのみじゃ! ウィッヒ! 世間では死霊は聖なる属性に弱いなどと言われておる……その通りじゃ! だがそれは、実体だけのことよ!」
声だけのネクロスが、凛愛の混乱する様子を見てさらに愉快そうに震える。
骨という実体が変わりの魔力の鎖となり、肉体のないネクロスの意思そのものが凛愛を縛り付けているのだ。
知力2のギャル脳では理解が追いつかない絶望的なシステムを前に、凛愛はピンクの雪の中で完全に立ち往生してしまうのだった。
現在のステータス
・名前: 星凛愛
・状態:
・透明な拘束(大混乱): 骨は消えたのに動けないという物理法則無視のバグに、「魔界のシステム、判定が厳しすぎて意味不なんですけど!」とキレている。
・相棒:
・分析雀: 『おのれ、実体を焼かれてもなお魔力の残滓で縛り続けるか。あのジジイ、肉体を失ったことで、かえって死霊術のタチの悪さが増しておるな……』と、バカ人間の足元を睨みつけている。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・城の最奥で放置中: 「おい! 外がやたらと眩しかったぞ! メモリエルだな?勇者も来ておるのか?美女たちは、そっちに気を取られておるな?ワシもまぜんかぁ!!」と、相変わらず的外れな嫉妬をしている。
・周囲の状況:
・ネクロス(霊体): 完璧な二段構えの罠で星凛愛の動きを封じ、「ウィッヒヒ! 聖剣も威光も我が知略の前には無力! 勝利は目前じゃ!」と、完全に勝ち誇っている。
力: 1
体力: 1
素早さ: 3
知力: 2
魔力: 0
運: 60
スキル: 逃走の極意、魔力感知?




