第121話:ピンクの極寒死霊城!犯人はアイツなんですけどぉ!
不本意ながらも、無限インベントリであるスクバからモコモコの防寒着を取り出して着込んだ凛愛は、エロ剣を追って北の凍土グリムヴォイドへと足を踏み入れていた。
目の前に広がるのは、相変わらずピンクの雪がひらひらと舞い落ちる、一見するとやたらとポップでファンシーな景色。
だが、その見た目の可愛さに騙されてはいけない。実際の寒さは1ミリも可愛くなかった。
「ちょ、さ、さ、寒すぎっ! ふぇっくしっ! マジで一瞬で鼻水まで氷柱になって、ギャルの顔面崩壊するレベルなんだけどぉ!」
ガタガタと全身を激しく震わせ、着膨れした姿で雪の中に足を取られる素早さ3の凛愛。
一方、そんな極寒の環境だというのに、髪の毛の中からひょっこりと顔を出しているチュンペーは、寒さにめっぽう強いらしく涼しい顔をしていた。
『ふん、あのグラディアスのマグマ地獄に比べれば、この地は涼しくて天国のようなものだな』
「あんたはいいよね、自前の高級天然羽毛に全身がっつり覆われてるからね……こちとら生身の人間なんですけど!」
そんな二人の防寒格差のやり取りの最中、スマホの画面からモリエがナビゲーションのアナウンスを更新した。
「前方およそ1キロ先に巨大な建造物を感知しました。追跡していた、不快な聖光剣の進行ですが、どうやらその建物の中で停止した模様です」
「あ、やっと止まった! 寒さで死ぬ前に追いつけそうでマジ良かったわぁ」
モリエの案内に従って雪原をしばらく進むと、ピンクの雪が降り積もる銀世界の中に、まるで不気味な廃墟のような古城がひっそりと佇んでいた。
「え? なにこれ、あいつらこんなボロいトコにエロ剣持って隠れてんの?」
異様なオーラを放つその建物を前にして、凛愛が眉をひそめる。すると、髪の毛の中のチュンペーが、フンと鼻を鳴らして周囲の空気を警戒するように睨みつけた。
『ふん、間違いないな。ピンクの雪のせいで禍々しい威厳が完全に台無しになっておるが、ここは死霊族の魔力が色濃く漂う領域だぞ』
「え、死霊族ってことは……じゃあ、ここってあのネクロスのジジイの城ってコト!?」
先日、冥王クラスで聖剣に触れて自爆しかけていた、あの不気味な老魔族の顔が凛愛の脳裏にフラッシュバックする。
その瞬間、凍りついた城の門の奥から、鼓膜をキリキリと刺激するような、聞き覚えのあるあの大嫌いな高笑いが響き渡った。
「ウィッヒヒヒッ! ようこそ、人間の小娘よ! よくぞ我が居城へと足を踏み入れてくれたものじゃ!」
暗闇に響く声は、まさにそのネクロス本人。
消滅しかけた因縁の聖光剣を、美女4人を使ってわざわざここまで運ばせた死霊術師の真の狙いとは一体何なのか。
極寒の死霊城の前で、凛愛の運60が再び試されるトラブルの幕が上がるのだった。
現在のステータス
・名前: 星凛愛
・状態:
・極寒のギャル(凍結寸前): 防寒着を着ていても力1・体力1のせいで寒さに耐えきれず、「ジジイの不気味な笑い声より、このピンクの雪の寒さの方が圧倒的にホラーなんですけど!」と涙目になっている。
・ネクロスの認知: 「あの時あんなに煙吹いてたのに、まだ懲りずにエロ剣を狙うとか、あのジジイどんだけマゾなの?」と、見当違いの感心をしている。
・相棒:
・冷徹な雀: ネクロスの登場にも動じず、『やはりアザエルの指示ではなく、この死霊の老いぼれが単独で動いたか。聖剣の魔族特効システムをどうにかする算段でもあるようだな……』と、冷静に敵の策略を分析している。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・城の奥で軟禁中: 「おい! ここはどこじゃ! 部屋が寒すぎるぞ! それより、さっきのあのお姉さんたちはどこへ行った!? ワシをこんな冷たい祭壇の上に放置するなー!」と、美女たちが消えてようやく拉致されたことに気づき、脳内で大騒ぎしている。
・周囲の状況:
・ネクロス: 凛愛を罠に嵌めて聖剣を奪うという完璧な計画が成功し、最高に悦に入った表情でウィッヒヒと笑っている。
力: 1
体力: 1
素早さ: 3
知力: 2
魔力: 0
運: 60
スキル: 逃走の極意、魔力感知?




