第120話 : エロ剣のハッピー拉致と、まさかの極寒ツアー強制出発なんですけどぉ!
謎の美女4人に、いとも容易く、そして最高に嬉しそうに連れ去られてしまったバカエロ剣。
お姉さんたちの柔らかな肌に包まれたアイツが夕闇の彼方へと消えていくのを、凛愛は割れた窓から呆然と見送っていた。
『馬鹿者! 何をぼーっと見ているか! はやく追わぬかバカ人間!』
髪の中からチュンペーが、鼓膜が破れそうな勢いで怒鳴り散らしてくる。
「ん、あ、いや……なんかさ、あいつ今めちゃくちゃ幸せそうだったし……よく考えたら、あたしより圧倒的にバカな剣だし、お姉さんたちに引き取ってもらっても良いかなって」
『確かに一理ある……いや、騙されるな! 貴様がいつかあの超絶覚醒をマスターすれば、あの変態聖剣を完全に御することなど容易い! あれ無くして、魔界トップを獲る事など、絶対に不可能なのだ!』
チュンペーが「目を覚ませ!」と言わんばかりに、凛愛の頭皮を激しく嘴で突き始めた。
「いたたたっ! 痛いってばチュンペー! わかった、わかったから突かないでぇ!……あーあ、もうすっかり暗くなってきちゃったじゃん。ねえモリエ! ナビできる?」
凛愛がスマホ画面に声をかけると、メモリエルが、いつもの澄んだ声で告げた。
「はい、お任せください。感知するのも不快な例の聖光剣の所在ですが、現在もリアルタイムで探知しております。……どうやら犯人グループは、ここから遥か北にある北方凍土領域、グリムヴォイド方面へと向かっているようです」
「凍土!?」
まさかの極寒エリアの名前が飛び出し、凛愛は思わず素っ頓狂な声を上げた。
「ちょっと待って、凍土ってマジ!? あたし今のコーデ、生足にミニスカの完全人界ギャル仕様なんだけど!? そんなガチの雪国に生身で行ったら、凍結エンディングなんですけどぉ!」
『ふん、ガタガタ騒ぐな。あの変態め、美女にデレデレしながら勝手に極寒の地にまで運ばれていくとは……だが、北に向かったと言う事は、死霊族か……バカ人間、今すぐ防寒具(といっても貴様の無限の鞄から出すだけだが)を用意して追撃するぞ!』
こうして、ただの部屋の掃除から始まったはずの放課後は、エロ剣の自業自得なハニートラップ拉致のせいで、まさかの極寒ツアーへと強制的にシフトしていくのだった。
現在のステータス
・名前: 星凛愛
・状態:
・極寒への絶望: 雪国に行くというのに、頭の中では「向こうの映えスポット、何着ていけばいいわけ?」と、まずは冬服のコーデのことで悩んでいる。
・エロ剣への恨み: 自分のズボラで盗まれたことは棚に上げ、「アイツのせいでギャルの肌が乾燥したら絶対に許さない」と怒りを燃やしている。
・相棒:
・激おこ元魔王: 自分の宿敵である勇者の聖剣が、ただのエロで魔族に寝返った(ような状態な)のが許せず、見つけ次第一度へし折ってやろうかと本気で考えている。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・北国へむけて爆走中: 「おおお! お姉さんの温もりがワシの刀身を温めてくれるわい! 心なしか、だんだん周囲の空気が冷たくなってきた気がするが、美女の愛の炎に比べればこんな寒さ、そよ風のようなものじゃーー!」と、完全に温度感覚がバグっている。
・周囲の状況:
・逃走中の女たち(魔族): 「ふふふ、この調子で北のグリムヴォイドまで運べば任務完了よ!」「それにしてもこの聖剣、なんだかさっきから変な振動(※歓喜の身震い)をしていて不気味ね……」と、少し引きながらも必死に走っている。
力: 1
体力: 1
素早さ: 3
知力: 2
魔力: 0
運: 60
スキル: 逃走の極意、魔力感知?




