第116話:勘違いの二次災害と、物々交換で大勝利のギャルなんですけどぉ!
ルクレシアが完全に土砂とギャルグッズの山に生き埋めになった瞬間、訓練場の端でその様子を見守っていた一般クラスの魔族たちの間に、激震が走った。
「お、おい……嘘だろ……?」
「あの魔界一の韋駄天、七大貴族の一角であるルクレシア様が……一歩も動かない人間に、一瞬で生き埋めにされたぞ……!」
「なんて恐ろしすぎる戦闘スタイルなんだ。攻撃を当てるどころか、近づいただけで地面ごと埋め殺されるなんて……!」
一般魔族たちは、凛愛がただ足をもつれさせて転んだだけだとは夢にも思わず、未知の重力魔法か何かでルクレシアを地中に引きずり落としたのだと本気で勘違いし、恐怖でガタガタと震え上がっていた。
そんな周囲の驚愕と恐怖の視線を他所に、大穴の底からは信じられないほどハッピーな声が響き渡る。
「キャワワンッ! これ、すっごくキラキラしてて綺麗だワン! 宝物の山だワン!」
当のルクレシアは、生き埋めになっていることなど1ミリも気にしておらず、無限インベントリから溢れ出た大量のデコパーツやラメに囲まれて超上機嫌だった。獣の習性なのか、それともただのキラキラ好きなのか、穴の底で尻尾を激しくブンブンと振り回している。
(あ、これ、今が最大のチャンスじゃね……!?)
へたり込んだままその様子を見ていた凛愛は、知力2の脳みそをフル稼働させ、ここぞとばかりに穴の中に向かって営業スマイルで交渉を切り出した。
「ね、ねえモッフルちゃん! そこにあるキラキラのグッズ、半分くらいあげるからさ、代わりにその尻尾に付いてるハートのチャーム、返してくれないー?」
人界でチュンペーにプレゼントした、超大事なネックレスのチャーム。
モッフルちゃんにとってはただの綺麗なおもちゃでも、凛愛にとってはギャルのモチベーションに関わる生命線なのだ。
すると、穴の底からキラキラの山を両手で抱えたルクレシアが、満面の笑みでひょっこりと顔を出した。
「イイワンよー! こんなにたくさんのキラキラと交換なら、大歓迎だワン!」
ルクレシアはそう言うと、実にあっさりと尻尾の先からハートのチャームを取り外し、凛愛に向かってポイッと放り投げてくれた。
宙を舞ったチャームを、凛愛は「ナイスキャッチ!」と両手でしっかりと受け止める。
「やったぁぁ! チャーム奪還、完全勝利なんですけどぉ!」
『ふん……やはり我の言った通り、あの駄犬など交渉のテーブルにつかせるまでもなかったな。バカ人間、よくやった、早くそれを我が首元に戻すのだ』
髪の中からチュンペーが、これまた最初からすべて自分の手柄だったかのようなドヤ顔の言葉を飛ばしてくる。
こうして、魔界を揺るがす「七大貴族の一角を生き埋めにした恐怖の魔人」という最凶のデマが確定していく裏で、当の本人はお気に入りのプレゼントを無事に取り戻し、ただの物々交換の大成功に大喜びしているのだった。
現在のステータス
・名前: 星凛愛
・状態:
・チャーム奪還成功(歓喜): チュンペーへのプレゼントを無事に取り戻し、ギャルとしてのモチベーションが爆上がり中。
・恐怖の魔人(定着): 周囲の魔族たちから「七大貴族をノーダメージで沈めた化物」として完全にロックオンされている。
・相棒:
・ちゃっかり雀: 凛愛が取り戻したハートのチャームを早速首元にセットしてもらい、『ふん、やはり我が首元にはこれと赤いマフラーがなくてはな』と、髪の中でご満悦のツンデレを発揮している。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・戦果の誤解: 「素晴らしいぞ凛愛! 敵の七大貴族を物欲で買収し、さらに生き埋めにして精神まで屈服させるとは! これぞ覇道の交渉術じゃな!」と、勝手に神格化している。
・周囲の状況:
・ルクレシア(大満足): 貰った大量のギャルグッズを抱きしめて「宝物だワン、宝物だワン!」と穴の中でゴロゴロ転がっている。
・一般魔族たち: 「七大貴族のルクレシア様を、あんなゴミ(ギャルグッズ)同然の貢ぎ物で手懐け、従属させたぞ……!」と、さらに歪んだ解釈をして気絶しそうになっている。
力: 1
体力: 1
素早さ: 3
知力: 2
魔力: 0
運: 60
スキル: 逃走の極意、魔力感知?




