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第111話:平和な休校日の朝と、怪しすぎる通信なんですけどぉ!

 嵐のような一週間が過ぎ去り、本日は待ちに待った冥王寮の休校日。


 星凛愛は日頃の限界ストレスから解放され、ベッドの中で盛大な鼻提灯を膨らませながら大爆睡をキメていた。


 そんな中、凛愛よりも先に目を覚ましたのが、相棒の雀こと元魔王のチュンペーだった。


 チュンペーが羽を伸ばしながら、ふと窓辺に視線を向けると、そこには異様な光景が広がっていた。

 凛愛のスマホであるメモリエルが、プカプカと浮遊しながら、怪しい緑色の光をパチパチと発していたのだ。


(ぬ……!? メモリエル……何をしているのだ?)


 チュンペーが警戒を強め、パタパタと羽ばたいて窓辺へと近づいていく。

 すると、メモリエルはチュンペーの接近を察知したかのように、スッと発光を停止。

 何事もなかったかのように滑らかな軌道で移動し、凛愛の枕元へと静かに着地して元のただのスマホに戻っていった。


 チュンペーは着地したスマホの画面をジロリと睨みつけ、訝しげに首を傾げる。


(……やはり、ただの板ではないな。昨日はあの爆弾妖精の魔力を根こそぎ吸い尽くしておったし、寝ていた間に何をしていた?)


 元魔王としての勘が、あの機械の異常性を告げていた。


 そんなチュンペーの深い考察をぶち破るように、凛愛の鼻提灯がパンっ! と大きな音を立てて割れる。


「ふえっ!? ……んあ〜、おはよチュンちゃん、今日も雀だね〜」


 バカ丸出しで目をこすりながら間抜けな声を上げて起き上がった凛愛。


 魔界を揺るがす数々の勘違いや、昨日レベル17でカンストしているという絶望の事実を突きつけられたはずなのに、このギャル、一晩寝るとすべてを忘れて何も無かったかのようにケロッとしていた。


 知力2の忘却力は伊達ではない。


 そんなお気楽すぎる相棒の姿を見て、チュンペーは大きなため息をつくと、真面目なトーンで念話を飛ばした。


『時に、バカ人間よ。貴様は何か、己の勇者装備に違和感など感じぬか? 例えば、その黒い板が夜中に勝手に飛び回っておるとか、そういう怪しい挙動だ』


「ん〜? 何ぃ? チュンペー朝から難しいこと喋らないでよぉ。それより今日の朝ごはん何にしよっかな〜」


 凛愛は完全に寝ぼけた頭で、緊張感ゼロのままお腹をさすっている。


『……いや、もういい。聞いた我がバカだった。貴様のような危機感ゼロの頭が花畑人間に、我が世界の真理を説こうとしたのが間違いであった』


 チュンペーは呆れ果ててフンとそっぽを向いた。


 どれだけ周囲で不穏な伏線が張られようとも、持ち前の運60と圧倒的なゲーム脳のせいで、当の本人はどこまでも平和な休日を満喫しようとしている。


 星凛愛の、ある意味で最強のサバイバル能力が、今日も冥王寮の朝を無駄に平和に包み込んでいくのだった。


 現在のステータス

 ・名前: 星凛愛ホシ・リア

 ・状態:

 ・寝起き(ギャル): 髪の毛が爆発した状態のまま、今日の朝ごはんのことだけを考えている。

 ・緊張感の完全リセット: 昨日のスマホの暗殺劇も、アザエルのガチロックオンも、寝たことで脳内のゴミ箱に全消去されている。

 ・相棒チュンペー

 ・猜疑心マックス雀: メモリエルの不審な動きを完全に目撃し、『やはりあの板、何者かと繋がっておるな……』と一人で人界の陰謀論に近づきつつある。

 ・聖光剣アルスカイゼリオン:

 ・お目覚め: 「ふはあぁ……よく寝た。凛愛よ、朝一番の輝きとして、ワシを窓辺に飾って日光浴をさせるのじゃ!」と相変わらずのんきに要求している。

 ・周囲の状況:

 ・枕元: メモリエルが「システム正常。ログ消去完了」と画面の裏側でひっそりと処理を終え、澄ました顔で佇んでいる。

 力: 1

 体力: 1

 素早さ: 3

 知力: 2

 魔力: 0

 運: 60

 スキル: 逃走の極意、魔力感知?

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