第107話:ダブル勘違い!?イケメン悪魔のガチロックオンなんですけどぉ!
張り詰めた緊張感。
夕暮れの赤い光が差し込む中、凛愛のラッキーその場しのぎが100%勘違いされて過大評価されたまま、気まずい沈黙が続いていた。
(ヤバい、マジで心臓が口から出そう……これ以上見つめられたら、脳みそが完全に溶けて蒸発しちゃうよぉ……!)
凛愛が冷や汗をだくだくと流しながら固まっていると、突然、静まり返った教室内にあの不気味な笑い声が響き渡った。
「ウィ〜ッヒッヒ!」
「ええぇ!? ジジィ? 生きてたのーー!!」
凛愛は思わず飛び上がって絶叫した。
教室内を見回してもネクロスの姿形(存在自体)は見えないのだが、確かにあの骨董品ゾンビの声が空間から聞こえてくる。
「アザエルの言う通り、この人間には得体の知れない、秘めたる力を感じておる……あのスマホや聖光剣という二つの武器も、リアあってこそのシロモノじゃて。ワシの体(肉壁)を使い、あの二人の魔力を完璧に収束させた手際、実に見事であった……!」
(いや、あたしじゃなくてミラに物理的に蹴り飛ばされただけだから! 完全に肉の盾にされて消滅したのに、なんでそんなポジティブに解釈して幽霊みたいに喋ってんの!? ゾンビのしぶとさマジであり得ないんだけど!)
姿なきネクロスの大絶賛を受け、アザエルは納得したように深く頷いた。
「ネクロス、貴方も身を以て知った様ですね……ますます興味を唆られる」
アザエルのあの静かな悲しみの眼が、じわじわと狂気に満ちた怪しい輝きを放ち始める。
その視線は、もはやただのクラスメイトを見るものではなく、未知の強敵を品定めする戦闘狂のそれだった。
「いやいやぁ……そんな獲物を狩るみたいな目でみないでぇ……」
凛愛は顔を真っ赤にしながら、恐怖と、だけど目の前の美麗ミステリアスイケメンに対する「ちょっと嫌いじゃない……かも」という乙女心が入り混じり、足元をモジモジと小刻みに震わせることしかできない。
ゲーム脳が「これなんていうデス恋イベント?」とバグを起こしている。
すると、アザエルはフッと冷たい笑みを浮かべ、凛愛との距離をわずかに戻した。
「恐れる事はない。その時が来るまでは……今日の課外授業も免除してやろう。担当のティアリスが、あれではな……」
(よっしゃぁぁぁーー!! 課外授業、合法的にバックれるの成功キターーー!!)
凛愛は心の中でド派手なガッツポーズを決めた。
ずっと怯えていた爆弾妖精ティアリスとの恐怖の放課後カウントダウンは、メモリエルの大金星(魔力強奪)によって、無事に、そして完全に回避されたのだ。
「今日のところは引き上げるといい、星凛愛」
アザエルにそう促され、凛愛は「あ、あざっしたー!」とギャル全開の挨拶を残し、髪の中のチュンペーと一緒に全力の素早さ3で教室を後にするのだった。
「めっちゃ疲れた………なんか、ステータス下がってる気がする……」
現在のステータス
・名前: 星凛愛
・状態:
・課外授業免除(完全勝利): ティアリスの戦闘不能により、放課後の地獄イベントを完全スルーすることに成功。
・モジモジ(混乱): アザエルのイケメン補正に脳をバグらされつつ、命拾いした安心感で情緒がめちゃくちゃ。
・相棒:
・一安心雀: 『ふぅ、バカ人間、何とか難を逃れたな、どこまでも運の強い女よ…』と呆れ果てている。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・不満: 「なにいぃ!? 結局ワシの出番はナシか! あやつ、ワシの放出の力を認めておきながら免除とは生意気な悪魔じゃ!」と、最後まで置いてけぼりでツンツンしている。
・周囲の状況:
・ネクロス(魂): 姿は見えないが、ノートに自動書記で「リアの魔導、至高なり」と勝手に書き殴って満足している。
・アザエル: 去り行く凛愛の背中を見つめながら、「さすがは勇者だ」と、まだガチの勘違い戦闘モードを継続中。




