第105話:裏切りのモリエ!?爆弾妖精は電子の藻屑になるんですけどぉ!
眩しすぎるビカビカ光線とメモリエルの露骨な裏切りのせいで、凛愛の手元は完全に狂い始めていた。
(あぁ……詰んだわ、もう。手元も見えないしスマホも盗られるし、テキトーでいいや。適当にチップ貼って終わらせよ……)
すべてを投げやりに、ヤケクソ気味でネイルチップを施そうとしたその瞬間、凛愛の指の上に置かれていたティアリスの小さな手が、スルッと力なく離れた。
「あれ? ティアリス様? ど、どうされました……?」
ポトッ、と何かが床に力なく落ちたような鈍い音がしたが、ディスコの照明を遥かに超えたホワイトアウト状態の室内では、何が起きたのか全く目視で確認が取れない。
すると、スマホの画面からメモリエルの無機質な音声が響き渡った。
「全エネルギー吸収、完了」
そのアナウンスと同時に、スマホが放つ光の強さが限界を突破してさらに倍増していく。
光は教室の窓やドアの隙間から文字通りレーザービームのように廊下へと溢れ出し、外からは
「ぎゃあああぁぁぁ!? 冥王クラスの聖なる罠がさらに凶悪にぃぃ!!」「目が、目がぁぁ!!」という他クラスの魔族たちの凄まじい悲鳴が聞こえてきた。
「え? え? な、何がどーなって……? モリエ……?」
凛愛が状況についていけず、目を開けられないままパニックになっていると、スマホは淡々と恐ろしい報告を続ける。
「ティアリスの制圧は無事終了しました。腰の聖光剣アルスカイゼリオンが『放出』を担当するなら、ワタシは『吸収』が得意です。勇者の唯一の懸念点である、強力な聖属性を持つこの妖精には、この枯渇枯死方法しかありませんでした。向こうから自発的に密着してきたので、吸引の手間が省けました。対象、完全沈黙を確認」
「は? ……マジ? あんた、裏切ってうっとりしてたんじゃなかったの!?」
ようやく光が少しずつ収束し、恐る恐る目を開けた凛愛の視界に飛び込んできたのは、床の上に「うっとり」とした至福の表情を浮かべたまま、ピクピクと痙攣して魂が抜けかけているティアリスの姿だった。
スマホを可愛いペットのように可愛がっていた爆弾妖精は、そのスマホ(メモリエル)によって、体内の聖属性魔力を電子の限界まで根こそぎ吸い尽くされ、文字通り自家発電の生贄に捧げられてしまったのだ。
『……やりおった……ネクロスを消した吸血鬼の女より容赦がないではないか……』
凛愛のギャル髪防空壕から恐る恐る顔を出したチュンペーが、床のロリプリンセスを見てガタガタと震え出す。
ジジィが消滅し、ヤンキーと吸血鬼が除菌され、最後に残った爆弾妖精がスマホにバッテリー代わりにされて撃沈。
放課後を迎える前に、冥王クラスは一人の女子高生(の持ち物)によって完全に壊滅させられるのだった。
現在のステータス
・名前: 星凛愛
・状態:
・ドン引き: スマホのあまりの暗殺者っぷりに、メモリエルへの恐怖が止まらない。
・一応の安全(?): クラスの脅威が全員物理的に排除されたため、施術の危機だけは去った。
・相棒:
・機械恐怖症雀: メモリエルの有能すぎる(エグすぎる)防衛システムを目の当たりにし、『絶対にあのスマホには近づかんぞ……』と凛愛の髪の中で完全に縮こまっている。
・聖光剣アルスカイゼリオン:
・リスペクト: 「おぉ……メモリエル殿、美女を骨抜き(魔力抜き)にするとは、なかなかやりおる。ワシもミラ殿に同じ技を……ひえっ、何でもないから電撃はやめてくれ!」と急に敬語になっている。
・周囲の状況:
・床: ティアリスが干からびたトカゲのようにピクピクしており、その横でスマホが「充電1000%。快適な動作を保証します」とピカピカ輝いている。
・廊下: 「冥王クラスのジャック犯、ついにあのプリンセスまで仕留めたぞ……」「なんて恐ろしい人間なんだ……」と、凛愛の悪名が伝説級になりつつある。




