第3章:クリスタルボール
第3章:鑑定の儀式
城の大広間
「僕! 僕から行きます!」
トニーは興奮した様子で手を上げ、勢いよく前へ出た。
リー・サンたち全員が、彼のほうを振り向いた。
トニーは幼い頃から、ゲームや異世界を題材にしたファンタジー漫画が大好きだった。
だからこそ、召喚が始まった瞬間から、彼は七人の中で誰よりも喜んでいた。
彼にとって、これはまるで夢が現実になったような出来事だった。
明るい笑顔を浮かべながら、トニーはクリスタルボールの前まで歩いていき、迷うことなく手を置いた。
すると突然、クリスタルボールから緑色の光が放たれ、大広間全体へと広がっていった。
次の瞬間、トニーのステータスが全員の前に表示された。
トニー
ジョブ:ヒーラー
レベル:5
大広間に興奮の声が広がった。
「ヒーラーだ!」
「新しいヒーラーが誕生したぞ!」
しかし、トニーの明るい表情は一瞬で消えた。
「ヒーラー……? どうして? どうして僕がヒーラーなんだ?」
落胆した表情で、トニーは仲間たちのもとへ戻っていった。
「次。」
今度はミンホが緊張した様子で前へ出た。
彼がクリスタルボールに手を触れた瞬間、中から白い光が輝いた。
ミンホ
ジョブ:光魔法
レベル:1
大広間にいた何人かの者たちは、満足そうに頷いた。
「光魔法か……」
「開始レベルは低いが、それでも十分に優秀なクラスだ。」
ミンホは安堵の息を吐き、後ろへ下がった。
次はデ・フンの番だった。
彼は自信満々にクリスタルボールへ手を置いた。
今度は、濃い青色の光がクリスタルボールから放たれた。
デ・フン
ジョブ:騎士
レベル:2
「騎士か……」
「悪くない。」
デ・フンは誇らしげに笑いながら、仲間たちのもとへ戻った。
次はジェヒョンの番だった。
彼がクリスタルボールに触れた瞬間、紫色の光が勢いよく放たれた。
ジェヒョン
ジョブ:魔導士
レベル:2
「魔導士だ!」
大広間には、静かなざわめきが広がった。
ジェヒョンは笑顔を浮かべながら戻り、デ・フンの隣に立った。
そして、次はハナの番になった。
クリスタルボールから、淡い緑色の光が放たれる。
ハナ
ジョブ:ヒーラー
レベル:3
「またヒーラーか……」
「それは素晴らしい。」
ハナは優しく微笑み、仲間たちのもとへ戻った。
そして最後に、ユナが前へ出た。
彼女がクリスタルボールに触れた瞬間、まばゆい黄金の光が大広間全体を照らした。
ユナ
ジョブ:アーチャー
レベル:6
大広間にいた全員が、驚きのあまり凍りついた。
「レベル6……!?」
「これほど高い初期レベルだと……?」
ユナ本人でさえ、驚いた表情を浮かべていた。
そして今度は、全員の視線がリー・サンへと向けられた。
リー・サンは心の中で考えた。
「俺にはすでにジョブ画面がある……。ということは、別の力も持っているのか? もしかして、二つのジョブを持てるのか?」
その考えに、リー・サンは少しだけ胸を躍らせた。
全員の注目を浴びながら、リー・サンは前へ歩き、クリスタルボールに手を置いた。
しかし――
何も起こらなかった。
光もない。
音もない。
ステータスも表示されない。
大広間全体が静まり返った。
全員が困惑した様子で、クリスタルボールを見つめている。
リー・サンはゆっくりと手を離した。
先ほどまでの期待は、少しずつ消えていった。
王が落ち着いた声で言った。
「問題ない。もう一度、クリスタルボールを確認してみよう。」
数人の魔導士たちが慎重にクリスタルボールを調べ始めた。
しばらくすると、そのうちの一人が頭を下げた。
「陛下、クリスタルボールには何の問題もありません。完全に正常に作動しています。」
王はリー・サンを見た。
「もう一度、手を置いてみなさい。」
リー・サンは頷き、再びクリスタルボールに手を置いた。
しかし、もう一度――
何も起こらなかった。
光は現れない。
ステータスも表示されない。
大広間の沈黙は、さらに重くなった。
その時、一人の宮廷魔導士が前へ出た。
「陛下……このようなことを申し上げるのは心苦しいのですが……この青年からは、何の力も感じられません。おそらく……彼には力がないのでしょう。もしかすると、召喚そのものに何か間違いがあったのかもしれません。」
その言葉を聞いたジェヒョンとデ・フンは、誰にも気づかれないように小さく笑った。
一方、他の者たちは驚いた表情を浮かべていた。
なぜなら、この世界では、並外れた才能を持つ者でなければ召喚されることすらないと言われていたからだ。
王は深いため息をついた。
「問題ない。何かの間違いがあったのだろう。」
その言葉は、リー・サンの期待を完全に打ち砕いた。
失望のあまり、リー・サンの意識は、自分にしか見えていない謎の画面から離れてしまった。
彼は俯いたまま、静かに振り返り、仲間たちのもとへ歩き始めた。
するとその時、トニーが彼のもとへ駆け寄ってきた。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん! 僕が守ってあげる!」
リー・サンはトニーを見つめ、苦笑した。
「どうやって俺を守るんだ? お前はヒーラーだろ。」
その言葉を聞いた瞬間、トニーの表情が再び沈んだ。
その時、大広間の扉が開いた。
一人の司令官が中へ入ってきて、王の前で恭しく頭を下げた。
「陛下、我々は任務を無事に完了いたしました。」
王は満足そうに頷いた。
司令官の視線は、やがて召喚されたばかりの英雄たちへ向けられた。
「こちらが、異世界から召喚された英雄たちですか?」
一人の魔導士が答えた。
「はい、陛下。しかし……一人だけ、何の力も持っていない者がいます。」
それを聞いた司令官は、突然大声で笑い始めた。
「ほう? 英雄たちの中に、落ちこぼれまで紛れ込んでいたのか。」
司令官はリー・サンへ歩み寄り、目の前で立ち止まった。
そして笑いながら言った。
「悪いな、小僧……だが、こんな役立たずが、どうしてここへ来ることになったんだ?」
ユナは小さな声で呟いた。
「どうやら、また誰かが殴られることになりそうね。」
リー・サンはゆっくりと顔を上げ、司令官をまっすぐ見つめた。
「……今、何と言った?」
ドォン!!
リー・サンは強烈な拳を司令官の顔面へ叩き込んだ。
司令官の体は大広間を飛んでいき、そのまま壁へ激しく叩きつけられた。
大広間にいた全員が、驚きのあまり凍りついた。
次の瞬間――
すべての兵士たちが槍を構え、リー・サンへ向けた。




