第14章:マークの台頭
新たなゲートが開く。
その中から、魔王軍の司令官が姿を現す。
その後ろには、魔王軍の全軍が続いている。
司令官:
「勇者たち……ついに見つけたぞ。」
リリー:
「魔王軍の司令官……どうしてここに?」
「勇者たちを殺すために来たの?」
「勇者たちを殺すだけなら、司令官まで来る必要はなかったはず。」
「ここに来たのには、別の理由があるはずよ。」
「それに、この数のモンスター……」
「司令官がいなくても、王国全体を滅ぼすには十分すぎる。」
「ここに司令官が現れるのは、これで二度目……。」
リリー:
「なぜここに来たの?」
司令官:
「数週間前、恐ろしい力が生まれた。」
「それは、我々全員を震え上がらせるほど恐ろしいものだった……」
「……魔王本人でさえもな。」
「その力のせいで、魔王は私から巻物を取り上げた……」
「……私が百以上の新たなゲートを開いた、あの巻物をな。」
司令官は拳を強く握りしめる。
司令官:
「だが、あのクソ野郎……光の剣は……」
「……自らの全ての力を使い、私が開いた新たなゲートを一つ残らず封印した。」
「奴の死を聞いた時……」
「……私は、人間がどれほど卑劣な存在なのかを思い知った。」
「奴は、自分が犯したことへの罰を受けたのだ。」
「だが今回は……」
「……巻物まで私から取り上げられた。」
「私の夢は、魔王を喜ばせることだった……」
「……そして、非常に高い地位を手に入れることだった。」
「だが、お前たち勇者が現れた後……」
「……あの恐ろしい力が姿を現した。」
「つまり……」
「……その力は、お前たちの誰かの中にあるということだ。」
―――
その頃……。
ハンター協会、ハンターギルド、そして王国軍にまで、新たなゲートが開いたという知らせが届く。
全員が、それぞれの部隊を率いて、すぐに新たなゲートへ向かう。
戦場では……。
司令官が勇者たちを攻撃する。
彼は一人で勇者たちを弄ぶ……。
……まるで、彼らがただのおもちゃであるかのように。
勇者たちは全力で司令官を攻撃する。
しかし、彼の身体には傷一つ、かすり傷さえもつかなかった。
―――
その頃……。
リー・サン:
「アレックス……大丈夫なのか?」
アレックス:
「いいえ。」
「彼らは司令官と戦っています……」
「……そして、全員が重傷を負っています。」
リー・サン:
「アレックス……」
「俺の5ポイントを全て速度に振ってくれ。」
アレックス:
「筋力:16 敏捷:11」
「速度:21 防御:10」
「スタミナ:10 シャドウエネルギー:0」
「知力:6 知覚:6」
リー・サンはさらに速度を上げ、新たなゲートへ向かって走り出す。
彼と戦場との距離は、あとわずかだった。
その頃……。
ハナとユナは重傷を負い、他の者たちは軽傷を負っている。
ただ一人、トニーだけは無傷だった。
彼はすぐに全員の治療を始める。
司令官は彼を見て言う。
司令官:
「またヒーラーか……。」
「アリのように助け合っている……」
「……どうせ全員潰されると分かっているというのにな。」
司令官はトニーへ向かって歩いていく。
しかし、数人の王国兵士が彼の前に立ちはだかる。
司令官は彼ら全員を殺し、言う。
「遊びは終わりだ。」
「これで、お前たちは全員永遠に眠ることになる。」
そう言うと、彼はトニーを攻撃する。
トニーには身を守ることができない。
攻撃がトニーに直接命中する。
トニーは重傷を負うが、まだ生きている。
司令官:
「まだ生きているのか、小さな虫けら?」
彼は再びトニーへ向かって歩いていく。
そして武器を空中へ振り上げる。
トニーを殺そうとした、その瞬間……。
リー・サンは空中へ飛び上がり、拳を強く握りしめて言う。
リー・サン:
「アレックス……」
「残っているステータスポイントを全て筋力に振ってくれ。」
アレックス:
「筋力:21 敏捷:11」
「速度:21 防御:10」
「スタミナ:10 シャドウエネルギー:0」
「知力:6 知覚:6」
リー・サンは全力で司令官の顔面へ拳を叩き込む。
司令官は大きく吹き飛ばされ、地面を滑っていく。
しかし、彼は足で立ったままだった。
リー・サンはすぐにトニーのもとへ走る。
リー・サン:
「おい……トニー!」
「目を開けろ!」
「トニー……目を開けろ!」
アレックス:
「彼は重傷を負っています。」
「複数の骨も折れています。」
「ヒーリングポーションを使うべきです。」
リー・サンはすぐにヒーリングポーションを購入する。
そして素早くトニーの口へ流し込む。
トニーの身体の内外にある傷が、ゆっくりと治り始める。
アレックス:
「彼の状態は良くなりました。」
その言葉を聞き、リー・サンは安堵のため息をつく。
―――
司令官:
「また一匹の虫か……。」
「だが、もう遊ぶ気分ではない。」
「だから……」
「お前たち全員を殺す。」
リー・サンは司令官を見る。
そして、自分の拳が全く効果を与えていないことに気づく。
リー・サン(心の中):
「まだ、奴を倒すには力が足りない。」
「別の方法を見つけなければ……」
「……そうでなければ、奴は俺たち全員を殺す。」
リー・サンは全速力を使い、司令官の視界から姿を消す。
司令官:
「そんな子供じみた技が俺に通用すると思うな。」
司令官もすぐに速度を上げる。
そして、リー・サンの速度に完全についていく。
司令官:
「小僧……」
「お前はまだ弱すぎる。」
そう言うと、彼は強烈な拳を放つ。
リー・サンは遠くまで吹き飛ばされる。
しかし、彼の鎧が身体を守る。
彼は再び立ち上がる。
短剣を抜く。
そして全速力で司令官へ突っ込む。
しかし、司令官は彼の手を掴む。
司令官:
「言っただろう……」
「俺には通用しない。」
そう言うと……。
彼はリー・サンの腕を折る。
リー・サンは痛みに叫び、地面へ倒れる。
しかし、司令官は止まらない。
全身の力を集め、再びリー・サンへ向かって拳を放つ。
司令官の拳がリー・サンの顔面へ届こうとした、その瞬間……。
リー・サン:
「もう他に選択肢はない。」
そう言うと……。
リー・サンは自分の足元にポータルを開く。
そして、シャドウキング・スローンホールへ到着する。
アンノウンが突然笑い出す。
「へへへ……ハハハ……」
そして言う。
「いい考えを思いついたな。」
「だが、その攻撃から逃げることはできない。」
「戻ってきた時……」
「……お前はその攻撃を受けなければならない。」
―――
リー・サン:
「分かっている。」
「だから、お前の助けが必要なんだ。」
「俺一人では奴を倒せない。」
―――
アンノウン:
「それで、何が望みだ?」
「俺に奴を倒してほしいのか?」
「それは絶対にない。」
「お前なら奴を倒せる……」
「……マークを倒せばな。」
「そうすれば、奴はお前の軍に加わる。」
―――
リー・サン:
「もし俺が奴を倒せるのなら……」
「……とっくにそうしている。」
―――
アンノウン:
「ならば、死を待つがいい。」
「俺にはお前を助けられない。」
「へへへ……」
―――
リー・サン:
「分かっている。」
「だから、お前と賭けをするために来た。」
―――
アンノウン:
「俺と賭けを?」
「何を考えている?」
―――
リー・サン:
「俺は、フロア1をクリアした後に受け取った能力の一つを犠牲にする……」
「『リヴァイブ』を。」
「もし次のフロアで俺が死んだら……」
「……それが俺の最後になる。」
アンノウンは再び笑い出す。
「へへへ……ハハハ……」
「それはなかなか面白そうだ。」
「だが、お前はどうせ死ぬ。」
「ならば、なぜ俺がお前の提案を受け入れる必要がある?」
―――
リー・サン:
「怖いのか?」
―――
アンノウンは再び笑う。
「へへへ……」
「そんなものは俺には通用しない。」
「だが、お前が何をするのか見てみたい。」
「お前の要求を受け入れよう。」
―――
リー・サンはすぐにヒーリングポーションを購入する。
彼の全身が完全に回復する。
リー・サン:
「準備はできた。」
彼が戦場へ戻った瞬間……。
司令官の拳が、すでに彼へ向かって飛んできていた。
リー・サンはすぐに両腕を上げて身を守る。
拳が命中する。
彼の鎧が粉々に砕ける。
リー・サンは遠くまで吹き飛ばされる。
身を守るために使った腕の一本が折れる。
さらに、複数の肋骨も折れる。
司令官は彼を見て言う。
司令官:
「そいつを始末しろ。」
彼は兵士たちに命令する。
そして自らトニーへ向かって歩いていく。
―――
その瞬間……。
アレックス:
「フロア1をクリアしました。」
「能力:リヴァイブを犠牲にしました。」
「獲得:
20ポイントと5万ゴールド」
「・ジェネラル ×1」
「・シャドウソルジャー ×50」
「・レベル1」
「最初の命令を出してください。」
―――
リー・サン:
「ライズ。」
リー・サンがその言葉を口にした瞬間……。
数秒のうちに……。
空が黒く染まり始める。
黒い霧が戦場全体へ広がる。
そして……。
一人のジェネラルが現れる。
50人のシャドウソルジャーと共に。
マークのオーラはあまりにも恐ろしく、その場にいる全員が凍りつく。
誰も動くことができない。
魔王軍の司令官でさえ、首を動かすことができない。
全てのシャドウソルジャーが片膝をつく。
そして、全員が同時に主君へ挨拶する。
しかし、リー・サンはあまりにも重傷で……。
……一言さえ口にする力が残っていない。
マークは主君を見る。
リー・サンは全身を傷で覆われている。
全てのシャドウソルジャーが、すぐに主君のもとへ駆け寄る。
そのうちの一人がリー・サンを治療し始める。
マークはゆっくりと立ち上がる。
そして片手を上げる。
近くにいた王国兵士が突然マークのもとへ引き寄せられる。
兵士の首が、そのままマークの手の中に収まる。
マークは兵士を自分の近くへ引き寄せて尋ねる。
「誰がこれをやった?」
王国兵士は話すことができない。
ただ魔王軍の司令官を指差す。
マークは王国兵士を解放する。
そして魔王軍の司令官を見る。
「……そうか。お前だったのか。」
マークはゆっくりと剣を抜く。
彼の前に立っていた魔王軍の兵士たちは、突然後ずさり始める。
マークはゆっくりと前へ歩いていく。
剣から落ちた血が、地面へ滴り落ちる。
数瞬後……。
魔王軍兵士たちの首が地面へ落ちる。
マークは真っ直ぐ魔王軍の司令官へ向かって歩く。
そして司令官の首を掴み、空中へ持ち上げる。
マーク:
「このような虫けらが……」
「……我らが主君に手を上げるとはな。」
そう言うと、マークは司令官の片腕を折る。
司令官は痛みに叫ぶ。
そしてマークは、もう一方の腕も折る。
その後、両脚を切断する。
そして、司令官を苦しみ続ける状態でその場に残す。
マークは主君のもとへ戻る。
その頃には、リー・サンも意識を取り戻していた。
マーク:
「我が主君……お目覚めになられましたか。」
リー・サンはトニーのもとへ真っ直ぐ歩いていき、言う。
リー・サン:
「おい……トニー。」
「見ろ、俺は怪我をした。」
「お前、俺を治してくれるって言っただろ?」
「見ろ……」
「俺はお前のところへ来た。」
「さあ、起きろ。」
―――
アレックス:
「彼の傷は全て治りました。」
「彼は大丈夫です。」
「ただ意識を失っているだけです。」
―――
リー・サンはトニーの額に手を置いて言う。
リー・サン:
「なあ、アレックス……」
「知ってるか……」
「俺たちが初めてこの世界に来た時……」
「……俺が一番心配していたのは、この子だった。」
「どうやって彼を慰めればいいのか、ずっと考えていた。」
「だって……」
「……まだ子供だったから。」
「でも、あの目に宿った決意を見た時……」
「……俺には彼を止めることができなかった。」
「彼はダンジョンへ入った。」
「そして、ずっとみんなを助け続けた。」
「俺たちはみんな、彼を心配していた。」
「でも、彼は決して折れなかった。」
「一度も泣かなかった。」
「彼は、とても勇敢な子供だ。」
「きっと……」
「……彼だって、モンスターと戦いたかったわけじゃない。」
「でも見ろ……」
「……奴らが彼に何をしたのか。」
―――
マーク:
「我が主君……」
「まだ奴を殺しておりません。」
「奴はまだ生きています。」
―――
リー・サンはトニーを優しく地面へ戻す。
そしてシャドウソルジャーたちを見て、命令を下す。
リー・サン:
「全ての魔王軍兵士を殺せ。」
命令が下された瞬間、全てのシャドウソルジャーが一斉に突撃する。
戦場全体で戦闘が始まる。
次々とシャドウソルジャーたちが魔王軍を虐殺していく。
マーク:
「これが我が主君から与えられた、最初の任務。」
「失敗する余地などない。」
そう言うと、マークは稲妻のような速さで魔王軍の中心へ突撃する。
首が空中を舞う。
身体が地面へ崩れ落ちる。
短い時間のうちに……。
戦場全体が死体で覆われる。
―――
その頃……。
リー・サンはゆっくりと魔王軍の司令官へ向かって歩いていく。
リー・サン:
「アレックス……」
「ヴェノムダガーを購入したい。」
―――
アレックス:
「ヴェノムダガーを購入しました。」
「価格:50ゴールド」
「ダメージ効果:+10%」
黒と緑色の短剣がリー・サンの手に現れる。
リー・サンは司令官の状態を見て考える。
「マークがやったに違いない。」
リー・サンは司令官のもとまで歩いていき、言う。
リー・サン:
「時間というのは、面白いものだな。」
「他人を虫けらと呼んでいた奴が……」
「……今では自分自身が虫けらのように地面に転がっている。」
そう言うと、リー・サンはヴェノムダガーを司令官の胸へ突き刺す。
そして彼の耳元で囁く。
「この毒で好きなだけ遊べ。」
「そして疲れたら……」
「……この毒がお前を永遠の眠りにつかせてくれる。」
リー・サンはその場を離れる。
そして顔を上げる。
マークは死体の山の上に立っている。
そして、生きている魔王軍兵士は一人も残っていなかった。




