第9話:役に立たない肉体での兵站行動
どんな作戦においても、一番簡単なのは作戦そのものだ。兵士なら誰でも知っている。
本当に難しいのはその後に来る。利用できるものを運び出し、残った痕跡を消し去り、自分がそこにいたと誰かに気づかれる前に姿をくらますことだ。
その日の夜、俺は再びあの執務室へと戻った。
フレヤはすでに家で深い眠りに落ちていた。十一歳の少女によくある情緒不安定だろうと勘違いしたセレナが、気を利かせて菩提樹のハーブティーを飲ませてくれたおかげだ。
俺はあの壊された同じ窓から中へと侵入した。部屋にはまだあの悪臭がこびりついていたが、兵士たるもの、胃袋の都合で行動を左右されるわけにはいかない。
机の上には、隠されることもなく5枚の金貨が残されていた。ジェレミアスは、自分のものに手を出す者などこの世に存在しないと高を括っていたのだろう。
緩んでいた壁のパネルの裏側を調べる――どんな戦争でも、どんな時代でも、汚職将校が必ず使う種類の隠し場所だ――。そこから、さらに2つの重い袋が見つかった。中には大量の銀貨と、さらに多くの金貨が詰まっていた。
貧民の元へ届くはずのなかった十分の一税。そして、あの男爵が clérigo(司祭)との不届きな取引のために預けていた裏金だろう。
本(書籍)もあった。辺境の村の司祭の部屋にしては、予想を遥かに超える量だ。
暗闇の中で幼児の不器用な手つきで数えたところ、低い棚と、鍵すら開いていたチェストの中に、およそ四十冊ほどの山があった。ジェレミアスは、自分の権威を疑って部屋の書物を検閲しに来る者などいるはずがないと信じ切っていたに違いない。
大半は予想通りのものだった。説教集、聖書の解説書、洗礼や十分の一税の記録簿。
だが、それらの雑多な本に混じって、別のものを見つけた。
厚手の革で装丁された、フレヤの角の源である『濃密な炎』の制御に関する図解付きの魔導書。セレナがこれまでに教えてくれたどの内容よりも遥かに高度なものだ。さらに、王都の錬金術師が『素材(検体)』と呼ぶであろう領域に危険なほど踏み込んだ、変異体の解剖学に関する書物が2冊。
そして、教会の管理簿。そこには多くの名前があった。日付と村の名前と共に、「監視対象」としてマークされた子供たちの名前だ。
フレヤだけではなかった。最初から、彼女一人ではなかったのだ。
俺は2回の往復で運べるだけの量を抱え、残りは後で回収するために床の緩んだ板の裏へと隠した。
今すぐどの本が何の役に立つかは分からなかった。だが、兵士はすぐに学ぶ。今日理解できない情報が、明日自分の命を救うことになるかもしれないと。文字が読めないからと書類を捨てるような無能は、どんな戦争の、どっちの陣営であっても長生きはできない。
机の一番下の引き出し、価値のない書類の層の下から、6つの異なる鍵が付いた鉄のリングを見つけた。どれも、この部屋の目に見える場所の錠前には合わなかった。大きいもの、小さいもの、見覚えのない紋章が刻まれたもの、何年も使われていないかのように錆びついたもの。
俺はそれらも同様にポケットに仕舞い込んだ。合う穴が分からない鍵は、ゴミではない。それは答えを待っている「問い」そのものであり、俺は問いを未来のために取っておく技術には長けていた。
そして、剣があった。
重いカーテンの裏の壁に立てかけられた2本の剣。辺境の司祭が持つには、あまりにも細身で、手入れが行き届きすぎている。
片方の柄頭には見知らぬ紋章が刻まれていた。おそらく男爵のものだろう。あの下俗な訪問の際に、ここに置いていったに違いない。
俺は三歳の肉体で、それらをじっと見つめた。片手はおろか、両手を使ってもまともに持ち上げることすらできないと分かっていた。この身体が俺を裏切り続けなくなるまで、あと数年はかかる。
それでも、欲しかった。
最初の1本を引きずるだけで、三十分近くかかった。自分の肩に刃の背を預け、幼児の体重のすべてをカウンターウェイト(分銅)にして、数センチずつ窓の隙間へと運んでいく。2本目はその倍の苦労を要した。
終わる頃には、俺の両手は皮膚が擦り剥けて血が滲み、両腕は前世の強制行軍以来、経験したことのないほどの疲労でガクガクと震えていた。だが、それらすべてを古い布に包み、川の石の底へと隠し通した。
今すぐには何の役にも立たない。だがいつか――フレヤか、ホセか、あるいはこの身体がまともに動くようになった俺自身か――誰かが必ず必要とする時が来る。やらなかった後悔を後で噛み締めるくらいなら、今のうちにこの無駄な重みを背負う方を選んだ。
その最初の夜に立ち去る前、男爵の書類の隣の別のフォルダーから、サインだけが書かれた白紙の salvoconductos(通行許可証)も見つけた。
どのような戦争においても、こうした書類は金以上の価値を持つ。ある人間を紙の上から消し去り、別の人間として誕生させる必要がいつ生じるかなど、誰にも分からないからだ。
――。
三歳児の肉体で、それらすべてを神殿から運び出す作業は、誇張抜きで、この第二の人生において最も死にかけた瞬間だった。
丸三晩かかった。
袋を数メートル引きずっては隠し、戻り、二時間だけ眠り、夜明け前に再び外へ出る。
麻袋の摩擦のせいで、俺の両手は生肉のように剥がれ落ちた。この重量を支えるだけの発達をしていない両脚は、戦争の恐怖とは何の関係もない、ただ限界を迎えた筋肉の拒絶によってガクガクと震え続けた。
三日目の夜、川の近くの石の隙間にある乾いた空洞にすべてを隠し終えた瞬間、幼児の肉体は一度にすべてのツケを俺に要求してきた。
その明け方、どうやってベッドまでたどり着いたのか、記憶がない。
覚えているのは、二日後に目を開けた時、心配のあまり顔を青ざめさせたセレナが横に座り、濡れた布で俺の額を拭いていたことだけだ。
「この子は身体の割に、気性が激しすぎるのよ」
部屋の外で、セレナがホセに小さな声で話しているのが聞こえた。
「自分で自分を消耗させてる。大きくなるにつれて、もう少し自分を労ることを覚えてくれればいいんだけど」
知るはずもない、と俺は思った。その皮肉を笑い飛ばすには、まだ身体が弱りすぎていた。
――。
ようやく普通に歩けるようになった頃、俺は戦略を変更した。遠くから監視するだけでは不十分だ。近くにいなければならない。常に、だ。
俺はフレヤの影のように、彼女にぴったりとへばりつき始めた。
家の中をどこまでも追いかけ、食事の時は常に隣に座り、可能な限り五分たりとも彼女を一人にはしなかった。最初、ホセはそれを見て笑い、ダリオがようやく見習うべき相手を見つけたのだと言った。座り方まで真似するほどに、と。
夜になると、俺は彼女の部屋で寝ることを要求した。
「おばけ、こわい」
俺が作れる最高に無垢な幼児の顔でそう言うと、それは百発百中で機能した。三歳児が戦略的な心理操作を仕掛けているなど、誰も疑いはしない。
セレナはすぐに折れた。こうして俺は、フレヤのベッドの隣の床に毛布を敷いて横たわり、眠ったフリをして夜を過ごすようになった。
眠りはしなかった。俺は扉を監視していた。
{Head} そして、彼女が夢の中で身体を震わせたり、誰にも聞かれたくない泣き声を押し殺したりしているのが聞こえる度、俺はベッドの下から彼女の手を握りしめた。その震えが収まるまで。
何も言わなかった。必要なかった。
夜に恐怖が訪れた時、沈黙のまま、ただそこに肉体が存在しているということは、どんな言葉よりも価値がある。前世、凍りつくような安宿の夜に、俺のためにそんなことをしてくれた者は誰もいなかった。俺はそれを、誰よりもよく知っていた。
――。
そして、俺は毎日彼女に付き添って神殿へ行くようになった。
彼女の手を握って門まで歩き、中に入ると、俺は庭の内側で木の枝や泥を弄んで遊んだ。三歳児に期待される、幸せなアホの顔をして。薔薇の木の近くで一人で遊んでいる子供を怪しむ者など誰もいない。
だが、俺の耳は限界まで開かれていた。
novicios(見習い)たちは、重要な人間に聞かれているとも知らず、若者特有の無警戒さで勝手気ままに話し合っていた。
おかげで、教会がジェレミアスの「失踪」に未だ困惑していることを突き止めた。
本山から数人の調査官がやってきて、慎重に聞き込みを行っていること。そして、紛失した金の量から、誰かの報告書に『野盗の襲撃』の可能性が記載されたこと。
それは俺にとって好都合だった。暴力的な強盗事件の線は、十一歳の異端の見習いが自衛のために起こした反乱という線よりも、遥かに彼らの視線を逸らしてくれる。
俺は泥の中に木の枝を突き立て、幸せな幼児のフリを続けた。
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その日の午後、俺は帰り道を変えた。神殿の正門近くの、あの泥と緊張感はもう十分だと判断したからだ。
小さな指で彼女の手を握り、その弱々しい足取りに合わせるようにゆっくりと歩いた。俺たちは村のパン屋の屋台へと向かった。毎日そこを通るたびに、ガラスケースの向こうで輝いていた蜂蜜のケーキが目に入っていた。この場所の悲惨さとはあまりにも対照的な、甘い輝き。俺は隠し持っていた戦利品から、数枚の銀貨を取り出した。
「いいよ、ダリオ……そんなの、いらない」
フレヤは手を隠そうとしながら蚊の鳴くような声で言ったが、その瞳は飢えたような切実さで甘味を見つめていた。
『組織的な虐待は、被害者から「自分は大切にされる価値がある」という感覚を奪い去る』
捕虜収容所で精神を壊された兵士たちの症状を思い出しながら、俺は心の内で冷静に分析した。
『自分には良いものを受け取る資格がないと思い込んでいる。一刻も早い現実のアンカー(拠り所)が必要だ』
だが、三歳児の俺の口から出たのは、自分の年齢にふさわしい、たどたどしくて短い単純な言葉だけだった。
「ぼく、ほしい」
彼女の目を真っ直ぐに見つめて言った。
「ねえちゃん、まえ、ぼく、だっこした。ぼく、ないたとき。いま、ぼく、ケーキ、だっこする」
フレヤは瞬きをし、そして数週間ぶりに、本当に声を上げて笑った。その響きは小さかったが、本物だった。心理的な救済を目的とした最初の任務は、彼女の防衛壁に確実に風穴を開けつつあった。
俺たちは広場の端にある、小さな石壁の段差に腰掛けた。俺の短い足は地面に届かず、宙でぶらぶらと揺れていた。
ケーキを手づかみで食べた。顔や指が蜂蜜でベタベタになったが、二人とも綺麗に食べる余裕など気にも留めなかった。
極度の過警戒状態にある彼女の神経をリラックスさせるため、俺は他愛のないお喋り(雑音)を続けた。巨人のビョルンの話、いつも髭を焦がしている鍛冶屋の不器用なドワーフたちの話、そして俺が早く喋ろうとするとどれだけ間抜けになるか。フレーズをできるだけ短く縮めるように意識しながら、俺がもっと小さかった頃の、彼女のお気に入りの失敗談を思い出させた。
「フレヤ」
ベタつく指で自分の胸を指差しながら言った。
「まえ、おみず、いいたかった。でも、パト(アヒル)って、いった。パト、パト、ずっと。しぇんしぇい(僕)、ばかちん」
「まだ時々、アヒルって言おうとしちゃうんでしょ?」
フレヤは目を細め、頬についた蜂蜜を指で拭いながら、本物の笑顔を浮かべて俺をからかった。
俺は分隊長としての最高に真剣な顔を作ってみせたが、幼児のこの顔ではただの愛嬌にしかならなかった。
「パト、まじめ」
言葉を区切りながら、俺は答えた。
「パト、クァクァって、なくの」
その言葉に彼女は再び声を上げて笑った。それは彼女の肩の緊張を、ほんの数秒間だけでも消し去ってくれる癒しの薬だった。
食べ終えると、俺は石壁をずりずりと移動して、彼女の脇にぴったりと体を寄せた。彼女が距離を置くのを待つことなく、その腰を小さな短い両腕で力一杯に抱きしめた。
幼児の頬を彼女の聖職衣に押し当て、俺という存在の絶え間ない体温をそのまま伝えていく。
『これが俺の「積極防衛陣地」だ』
俺の体を通じて、彼女の心臓の鼓動が少しずつ落ち着き、安定を取り戻していくのを感じながら思った。
『二度とこのラインを誰にも越えさせない。肉体は小さくとも、俺がお前の盾だ』
次に続く言葉を紡ぐのは骨が折れた。幼児の舌は危うくもつれそうになったが、どんなカモフラージュ(偽装)を施していようと、いくつかの真実だけは、肉体がそれを綺麗に外へと引き摺り出してくれた。
「ねえちゃん……ぼくの、いちばん」
その耳元で、純粋で保護的な愛情を込めて、彼女を強く抱きしめながら囁いた。
「せかいで、いちばん、すき。かわいい、フレヤ。こわくない。ぼく、ここに、いるよ」
フレヤは一瞬、身体を硬直させた。肯定の衝撃を、その精神が受け止めたのだ。
直後、彼女の両腕が、しがみつくような必死の力で俺を抱き返した。彼女の顔が俺の肩へと埋まる。
彼女の頭が俺の髪の上に乗り、押し殺した嗚咽が聞こえた。だが、それはもう恐怖の涙ではなかった。ようやく見つけた安全な場所で、それまで張り詰めていた窒息しそうな重圧が、一気に決壊した瞬間だった。
「お前もね、チビちゃん」
感情で声を震わせながらも、深い優しさに満ちた声で彼女は言った。
「お前もだよ」




