第3章 — 竜(りゅう)と、新しき血(ち)
「もっと優しくしてって言ったでしょう」
セレーナが喘ぎ混じりに文句を言うと、ホセはただ声を上げて笑い、彼女が歓喜の声を上げる中でそのお尻を叩き続けた。
「私の哀れな体を、少しはいじめてる自覚があるの?」
彼女はからかうように言ったが、その声はベッドが繰り返し立てる激しいきしむ音にかき消されていく。
ホセはただ笑いながら動きを止めない。彼女の体のあらゆる曲線と、その奥のすべてを知り尽くした、どこまでも従順な愛撫の手。対するセレーナは、まるで鋼のように頑ななダンスのパートナーだった。常に相手の一歩先を行こうと、激しく抗い続けている。
やがて、もがき合いは終わった。木が軋む音は止み、乱れた毛布が整う。しばらくの間、部屋に響くのは二人の呼吸の音だけだった。それは少しずつ落ち着き、やがて一定の静かなリズムへと変わっていく。ベッドから数メートル離れた揺り籠の中では、赤ん坊が深い眠りに落ちていた。何者にも邪魔されない、生まれたばかりの者だけが持つ、底のない深い眠りだった。
「寂しかったよ」
ホセが低い声で呟いた。低く、疲れ切り、長い間ずっと欲求を抑え込んってきた男の喉から漏れ出るような声だった。
「どれほどか、お前には分かるまい。妊娠の最後の数ヶ月、医者から『慎重にしなければならない』と言われるたび……気が狂いそうだった」
「私もよ」
セレーナが答えた。まだ少し乱れた呼吸を残しながら、彼の胸に体を預ける。
「でも、それだけの価値はあったわ、ホセ。見て。この子は完璧よ」
二人は言葉を交わさずとも息を合わせるように、同時に揺り籠へと視線を向けた。赤ん坊は小さな拳を頬の横で握りしめ、口をわずかに開けている。身じろぎ一つしない。
「俺たちの、最初の子供だ」
ホセの声が微かに震えた。それは悲しみではなく、誇り、あるいは純粋な安堵の震えだった。
「ここまで辿り着くのに、どれほどの苦難を乗り越えてきたか。なあ、セレーナ。本当に、色々なことがあった」
「私の父さん、きっと手が付けられなくなるわね」
セレーナは疲れ混じりの笑みを浮かべて言った。
「目に見えるようだわ。歩き始める前から、馬の乗り方を教えようとするに違いないもの」
「せめて、言葉を話せるようになるまで待ってもらおう」
ホセが言うと、二人は声を潜めて笑い合った。誰の目も覚まさないように、そっと胸の内に仕舞い込むような笑い声だった。
しばらくの間、二人はそのまま静寂の中に身を置いた。赤ん坊の規則正しい呼吸の音が、家の鎧戸を優しく叩く外の風の音と混ざり合っていく。穏やかな夜だった。だが、ここ数週間ずっとセレーナの胸を締め付けている不安を思えば、それはあまりにも穏やかすぎる夜だった。
· · ·
「出産の前に、街へ来ると決めて本当に良かったわ」
セレーナは天井を見つめたまま、ようやく口を開いた。
「コワリクたちの身に起きたことを考えれば……」
「今はその話はやめろ」
ホセが突っぱねるように、急にぶっきらぼうな声を出した。先ほどまでの温もりは、穴から流れ落ちる水のように一瞬で彼の声から消え去っていた。
「いつかは話さなきゃいけないのよ、ホセ。竜が現れてから、もう十二年よ。十二年もの間、変異が続いているの。あなただって、これがどういうことか分かっているはずでしょう」
ホセはすぐには返事をしなかった。彼は天井の黒ずんだ梁を見つめていた。三十年前、まだ世界にこんな災厄が満ちていなかった頃、彼自身が生まれ落ちたのと同じ家だ。
「十二年、か」
彼はさらに声を落として繰り返した
。
「そんなことは百も承知だ、セレーナ。わざわざカレンダーをめくるように俺に言い聞かせるな」
「ごめんなさい。でも……怖いの。もし、この子に何かが起きたら?」
「何も起きはしないさ」
「そんなの分からないわ。誰にも分かりっこない」
セレーナは肘で体を少し起こし、暗闇の中で夫の顔を探した。
「コワリクさんのところの娘さんは、耳が五十センチ近くまで伸びてしまったのよ。風車小屋の家では、五歳児の体に大人の男の頭がそのまま乗っかったような、完璧な小人が生まれたわ。それに、ヴォランスキのところなんて……」
彼女は言葉を詰まらせた。
「あの哀れな子の姿、あなたも見ただろ? まだ八歳なのに、父親の背を追い抜いてしまった。しかも、まだ大きくなり続けているのよ。医者の話では、成長期が終わるまでに四メートルに達する可能性があるって。巨人をどうやって育てるのよ、ホセ? 服はどこで買うの? ベッドはどうやって用意すればいいの?」
ホセは顔を手でゆっくりと覆った。自分にまとわりつく疲労を、どうしても拭い去れない男の仕草だった。
「この子には、まだ何の異変も現れていない」
彼は先ほどよりも落ち着いた声で言った。妻に聞かせるというよりは、自分自身に言い聞かせるような口調だった。
「両手とも、指は五本ずつある。尖った耳もない。多すぎるものも、足りないものも何一つない。普通の男の子だ、セレーナ。よく見てみろ」
「今は、ね」
彼女は言った。
「コワリクさんたちだって、三歳になるまでは何も気づかなかったわ。魔力は、いつも急いでやってくるとは限らないもの」
その後に訪れた沈黙は、先ほどのものとは違っていた。より重く、息苦しいものだった。外では相変わらず風が鎧戸を叩き、街のどこか遠くで、誰の目にも見えない何かに対して犬が激しく吠え立てていた。
「何が起きようとも」
しばらくして、ホセがようやく口を開いた。今度の声には、先ほどのような温もりが戻っていた。
「この子は俺たちの子だ。何があっても、俺たち子供に変わりはない。耳が長かろうが、なかろうが、背が高かろうが、低かろうがな。セレーナ、俺はもうこの子を愛している。初めてお前の腹を蹴ったその時から、ずっと愛しているんだ」
セレーナの声が、わずかに震えた。涙を流したのか、あるいは涙を堪えたのか。それは、我が子を起こしたくない母親が、誰にも気づかれないように静かに泣く時の震えだった。
「私もよ」
彼女はついに言った。
「何が起きても、ね」
· · ·
二人はそれからもしばらくの間、そうして抱き合っていた。ただ見つめることだけが我が子を何かから守る唯一の手段であるかのように、何度も揺り籠へと視線を走らせながら。
赤ん坊は小さな拳を頬の横に添えたまま、まだ眠りの中にいた。自分がこれから生きていく世界のことを、まだ何も知らない。竜のことも、魔法のことも、変異のことも、そしてかつて前世で、別の肉体で、彼自身さえまだ思い出せない傷跡を刻んだあの戦争のことも、今はまだ何も知らなかった。
外では、部屋の中で交わされた会話などどこ吹く風と、夜が静かに更けていった。この子が結局のところ、他の誰とも変わらない普通の少年であるかどうかが判明するまでには、まだ何年もの歳月が必要だった。




