紅茶と花と
店の奥に進むと扉があった。
中に入るとカフェに繋がっていた。
カウンター席に座ると、木村くんが紅茶を出してくれた。
「どうぞ、ジャスミンティーです。ジャスミンは心をリラックスさせて、回復させる効果があるんだ」
「ありがとう」
私のことを考えて入れてくれたみたいで、心があったかくなった。
「部活の人間関係って面倒だよな」
「木村くんでもそう思うの?」
「ハハッ、当たり前。俺も人間だよ?」
人気者の木村くんでも人間関係がめんどくさいって思うことを知り、意外だと思った。
「そういえば、木村くんと花白さんってどんな関係なの?」
「あー、それは...」
「許嫁なの」
いつの間にか花白さんが小さな花束を抱えて扉の前に立っていた。
「許嫁...将来結婚するってこと?」
「するかもしれないし、しないかもしれない」
と言いながら花束を渡された。
花束はオレンジのバラと別の花でできていた。
「この花はマーガレット。花言葉は“真実の友情”中川さんが友達と仲直りできるように入れてみたの」
「ありがとう。あ、お金!」
「いいよ。名前忘れてたお詫び」
「でも...」
花白さんはお金を受け取ってはくれなかった。
「家に帰ったらすぐ水に付けてあげてね」
「中川、頑張れよ!」
もうここには来れない気がした。
そして、こんなに明るくて綺麗な花白さんにももう会えないだろう。
「本当にありがとうございました」
これでもか、というくらい深くお辞儀をしてドアベルを鳴らし、店を出た。




