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“絆”
「私の探しているもの...?」
そんなもの...
「当店はあるお客様にしか見えません。そして、お客様の心や感情に合った花をお作りします。自分の家に飾るも、誰かにお渡しするもお客様の自由です」
今この店が見えたのは、私が悩んでいたから...?
いくら店が見えたとしても、心の中までは見えるはずない。
「中川さんは“これ”なんていかがでしょう?」
「これ、さっきの...」
花白さんが持って来たのは、さっき私が見たオレンジのバラ。
「オレンジのバラの花言葉は“情熱”や“熱望”。そして“絆”」
絆という言葉に心臓が嫌な音を立てた。
「なんでその花...?」
「ぶつかった時に持ってたのもあるし、これがしっくりきたから」
部活のことなんて話してないのに、花白さんはこの花を選んだ。
「中川さんにはこの花が必要な気がしたの」
全てを見透かしている様な花白さんの言葉に涙が溢れた。
私には絆が必要ってことか...
「少し時間がかかるからお茶でも飲んで待ってて。夏、」
「はいよ。中川、こっちどうぞ」




