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異世界転生したらハズレスキル【ターミナル】だったが、俺だけ使い方を知っていたので最強になった  作者: どみさん


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召喚

 俺は、視線を、エルナの方向から、外した。


 エルナは、振り返らない。視線は、開いている本のページの方向のまま。


 古書は、棚の手前で、表紙を閉じたまま、止まっている。


 俺は、古書を、棚の上に、戻さない。指先が、表紙の革の手触りから、薄く離れた。


 足が、古書棚の奥から、半歩、後ろへ動いた。棚の輪郭が、図書館の薄い光の中で、後ろへ流れた。


 書架の手前、図書館の中央の通路へ。図書館の扉が、薄い光の中で、見えてくる。


 俺は、扉を、押した。


 夕方の光が、廊下の薄い光の中で、また別の角度で、傾いている。


 学園の通路の中ほどで、足が止まった。


 通路の壁の脇に、F組担任が、立っていた。


 足音は、いつもの朝より、低い気がした。袖は、上着の手首まで下りたまま。視線は、俺の方を向いている。


 俺は、視線を前に置く。足は止めたまま。


 F組担任の声が、低く、短く、通路の空気の中で、響く。


 「教師棟へ、来てほしい」


 俺は、応答しない。視線は、前のまま。


 F組担任が、頷いた。袖が、もう一度、手首の高さで、止まる。


 「フィアも、呼んだ」と、F組担任が、付け加えた。声の高さは、最初の発話より、もう一段、低く聞こえた。


 F組担任が、先に歩いた。俺は、半歩、後ろから、続いた。


 廊下の薄い光が、足元の角度で、後ろへ流れる。


 学園の通路を抜けて、教師棟の方向へ。


 教師棟への廊下は、生徒の通路よりも、幅が狭い。両側の壁の色は、別の色。


 教師棟の入り口の手前で、足が止まった。


 フィアが、入り口の手前に、立っていた。


 ベスト型の制服、袖は、手首まで下りたまま。視線は、入り口の扉の方向のまま、俺の方を観てはいない。背中の輪郭が、教師棟の廊下の薄い光の中で、止まっている。


 俺の足が、フィアの一歩横の位置で、止まった。距離は、握り拳二つ分。


 フィアが、振り返らない。


 F組担任が、二人の前で、止まる。


 「中で、待っている人がいる」と、F組担任が、短く、付け加えた。声の高さは、前と同じように聞こえた。


 F組担任が、教師棟の扉を、押した。扉の向こうに、教師棟の廊下が、見える。薄い光は、図書館の薄い光とも、廊下の薄い光とも、また別の角度。


 フィアが、F組担任の後ろから、先に歩いた。俺が、フィアの一歩後ろから、続いた。


 教師棟の廊下の奥、扉が一つ、開いている。


 扉の向こうに、机が見える。机の上に、記録盤が、開いたまま、置かれている。


 F組担任が、扉の手前で、止まった。「中へ」と、短く、付け加えた。


 俺と、フィアが、机の方向へ、半歩、動いた。


 机の向こうに、もう一人が、立っていた。


 外套を肩に掛けている。外套の色は、薄い灰色。外部評価者の徽章は、見えない。背の高さは、グレイと同じくらい。年齢は、F組担任よりも、もう一段、上の方の年配に見えた。髪の色は、薄い灰色で、外套の色とほとんど揃っている。


 もう一人の手の中に、記録盤はない。机の上の記録盤の方を、視線が向いている。


 俺は、机の手前で、足が止まった。フィアも、俺の半歩横で、足が止まった。


 もう一人の視線が、机の上の記録盤の方から、こちらの方へ、一度、動いた。


 もう一人の声が、低く、短く、会議室の空気の中で、響く。


 「証明してくれ」


 声は、F組担任とは、別の高さ。低い、だが、F組担任よりも、もう一段、深い。


 フィアが、応答した。


 「はい」


 声は、低く、短く、聞こえた気がした。


 俺は、応答しない。視線は、前のまま、机の上の記録盤の方向に置く。


 もう一人の視線が、机の上の記録盤の方へ、もう一度、動いた。


 「明日の朝、もう一度、ここで」と、もう一人が、短く、付け加えた。声の高さは、最初の発話と同じように聞こえた。


 F組担任が、頷いた。袖が、もう一度、手首の高さで、止まる。


 フィアが、振り返らない。視線は、机の方向のまま、俺の方を観てはいない。


 俺の視線も、前のまま。


 机の上の記録盤の縁が、教師棟の薄い光の中で、薄く反射する。記録盤の表紙の革の色は、古書の革の色よりも、もう一段、深い茶色。


 書いた一行とノートは、鞄の中で、肩の上の高さで、まだ動かない。


 もう一人と F組担任が、視線を交わした。袖の動きが、二人で揃ったように見えた。


 俺は、机の方を、まだ見ている。


 机の上で、記録盤が、まだ開いたままだった。


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