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異世界転生したらハズレスキル【ターミナル】だったが、俺だけ使い方を知っていたので最強になった  作者: どみさん


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規定外

 外部評価者の言葉の余韻が、円の中央の北側にだけ、残っている。


 俺はフィアを見ない。フィアも俺を見ない。


 外部評価者が、半歩、足を引いた。


 中央評価者が、用紙を顔の高さに上げた。


「評価会議に入る。生徒は退出するように」


 声が、円の中央の北側にも、観客席にも、F組とA組の整列にも、同時に届く。


 中央評価者が用紙を下ろす。立ち上がった外部評価者が、円の中央の北側から、評価席の方へ歩き始めた。


 俺は鞄を肩にかけたまま、半歩、後ろへ下がる。フィアも、半歩、こちらへ寄ったように見えた。


 花弁の輪郭は、まだ消えない。





 整列が崩れる。F組とA組の生徒たちが、演武場の出口の方へ流れる。観客席でも、立ち上がる動きが、二度目の波の高さで起きる。


 俺はフィアの一歩後ろの位置のまま、出口の方へ動き始めた。フィアの肘から先の腕の輪郭が、視野の隅で動く。


 人混みの中で、距離が、半歩から、握り拳二つ分へ広がる。観客の肩と、F組生徒の肩の間に、フィアの背中の輪郭が紛れた。


 ——だが、紛れた次の瞬間、別の肩の隙間で、フィアの輪郭がまた現れる。


 距離が、握り拳二つ分から、半歩へ戻った気がした。


 人混みが、二度目の波で、二人を押し離す。距離が、また広がる。


 俺は振り返らない。フィアも振り返らないように見えた。


 花弁の輪郭は、振り返らない位置に置かれた。視野の外へ、薄く流れていく。


 演武場の出口の灯りが、人混みの肩越しに、薄く揺れる。





 演武場の出口を抜けた。廊下の天井が、演武場よりも低い。


 廊下の幅は、生徒三人が並ぶ程度。観客の何人かが、廊下の壁際で立っている。


 俺は廊下の壁から、握り拳一つ分、離れた位置で立つ。フィアは、俺の少し前、廊下の反対側の壁の近くにいる気がした。


 距離は、廊下の幅の半分ほど。人混みの中の半歩よりも、広い。


 廊下の壁の向こうから、声の縁が漏れた。短い声、長い声、また短い声。声と声の間の規則性が、ゆるんでいた——演武場のざわめきの質に、似ているが、声の主の数が、もっと少ない。


 評価会議の音漏れのようだった。


 声の高さの違いが、二つ、三つ、揃わない動きを取る。議論が割れているのが、声の質と長さで伝わった。


 俺はフィアを見ない。フィアの方からも、こちらに視線が向かない気がした。





 廊下の奥の方で、紙が壁に当たる音がした。


 教師が一人、紙の四隅を、ピンで壁に止めている。紙の白さが、廊下の薄い明かりの中で、目に立つ。


 紙の上に、名前が並んでいた。連携試験の組ごとに、二行ずつ。


 俺の足は、紙の方へ近づかない。だが、視野の中に、紙の上の文字が入る。


 F組の名前のうちの二つが、視野の中央で並ぶ。フィアの名前と、俺の名前。


 視線が、紙の右の縦列の方へ落ちる。


 フィアの名前の隣に「規定外(記録対象)」。


 俺の名前の隣に「最低評価のまま」。


 二人の名前が、同じ紙の上で、別の扱いになって並んでいた。


 観客の何人かが、紙の前で立ち止まる。動かない。F組生徒の何人かが、紙の前で止まる。視線が定まらない。A組生徒は通り過ぎる。視線は前のまま、紙の方を見ない。


 廊下の壁の向こうから、声の縁が、まだ漏れている。


 紙の上の二つの文字が、壁の薄い明かりの中で、別の重さで沈んだように見えた。





 廊下の入り口の方向で、足音が二つ、近づいてきた。


 A組七番目の位置にいたエルナが、A組生徒の流れから外れていた。廊下の入り口の手前、壁から半歩離れた位置に立っている。


 入り口から、新しい人影が現れた。背の高い影。歩幅は、観客のものとは違うように見えた。


 エルナの灰色の目が、影の方へ向かう。立っていた時の位置から、もう半歩、こちらの方へ動いた気がした。


 エルナの口が、短く動いた。


「観に来た」


 声は、廊下の中ほどまで届いた。観客の何人かが、声の方を見た。


 紙の上の二つの文字は、まだ別の重さで並んでいた。廊下の壁の向こうから、声の縁は、まだ漏れている。


 午後の廊下の薄い明かりの中で、エルナの言葉だけが、まだ落ちたばかりの位置に、残っていた。


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