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境界の怪物

「クレイトスを消化している間に、通っちまうよ」

 クロは、リンプーの言葉に動き始める。


 ビターン


 通路をを塞ぐように、ワニが上陸した。

 通す気は無いようだ。



 全長2メートルのワニ。

 体長40センチに満たないクロにとっては、巨大怪物だ。

 クレイトスは、ひと飲みにされてしまったようだ。


「聞いたことあるか?

 俺様が境界の怪物と呼ばれるワニ、モビーだ。

 柔らかい、若いメスねこを生きたまま渡すように言いつけていた。

 貴様がそのメスねこか?」


 視線を向けられたリンプーが答える。

「あんたに食われるなんて、まっぴらごめんだね。

 今、おっさんを喰っただろ。

 それで、我慢しときな!」


「待っても中々来ないと思ったら、内輪もめ。

 それも、俺様の庭先でだ。

 あんなオヤジ一匹で俺様の怒りは収まらん!

 貴様らを一匹でも生きて返せば、俺様の怒りが伝わらん。

 覚悟してエサになれ!」


 空気を震わせるモビーの声に、アサガオが動けなくなった。

「ほお、脅えて動けなくなったか。

 まずは、貴様から喰ってやる」

 モビーが口を大きく開けて、アサガオに向かって突進する。


黒ヒョウ形態パンサライズドフォーム

 クロがモビーの鼻先でアサガオを咥えて、そのまま横切って行った。

 モビーは口をバクンと閉じたが、空振りになった。


「あ、ありがとうございます」

 アサガオのお礼の言葉に、リンプーが返す。

「この状況、あんたの魔法で、何とかならないのかい?」


「申し訳ありません。

 私が使えるのは、空間転移魔法だけです。

 動かせるのは、自分の重さ位までなのです。

 だから、クレイトスのオジサマは、転移出来ませんでした」




 モビーは、ブーンとしっぽを横に振った。

 黒ヒョウ形態パンサライズドフォームのクロは、飛ばされずに持ちこたえた。


「ほお、俺様のしっぽの一撃に耐えるねこがいるとは、驚いた」


「ヴィールヒ!」

 クロが黒い霧をまとって体当たりする。


「ほほお、この一撃も、相手がねこなら必殺なんだろうな」


 クロの額はパックリ割れて血が出ている。

 今の体当たりで、逆に怪我をしてしまった。

 モビーにも多少ダメージは与えたが、爬虫類のウロコは硬い。


「アサガオ、僕を奴の頭のちょっと上に転移してくれ!」


「そ、そんなこと危険すぎます」


「いいから早く!」


 パッと、クロはモビーの頭上50センチに現れた。

 落下する。

 体重を乗せて、咥えたナイフをモビーの頭に突き立てた。


「グオーッ!

 何しやがる」

 クロを振り落とそうと、モビーは暴れまわる。




「ウラガーン!」

 黒い霧をまとった強力なねこパンチで、ナイフをぶち込む。


「ウラガーン!」

 黒い霧をまとった強力なねこパンチを、さらに押し込む。


「タルナーダ!」

 クロは跳躍して、体を思い切り捻った正に渾身のねこパンチをかます。


「ガフッ」

 モビーの口から、断末魔の声が漏れる。

 ナイフが頭蓋骨を通ったようだ。

 モビーが動かなくなる。

 クロも動けないが。




「あの境界の怪物を殺っちまったんだね。

 クロ、あんた本当に凄い奴だよ!」

 モビーの頭の上で動けなくなったクロに、リンプーが駆け寄った。




「リンプー、頼みがある」


「何だい?

 あたいと結婚してほしいのかい?」


「ハハハ、こんな死にかけが、結婚なんて出来ないよ。

 リンプー、僕は多分もうダメだ。

 この状態でアシュラと戦ったら、もう戻れない。

 もし、僕が次の戦いで一度でも黒ヒョウ形態パンサライズドフォームを使ったら、その時は、振り返らずに2匹で外の世界へ出て欲しい」


「それで、あんたはどうするんだい?」


「動ける限りは、君たちを追いかけてみるよ。

 でも僕を待っていたら、シロは病気で死んでしまう。

 もしかしたら、意識も黒ヒョウに乗っ取られているかも知れない。

 今も、乗っ取られそうで、危ないくらいだ」


「ちゃんと、自分の意志で話せてるじゃないか」


「ああ、今は何とかね。

 シロは、とっても綺麗な白ねこだ。

 人の目につくところまで、連れて行ってやって欲しいんだ。

 きっと、拾ってもらえる」




「そこまで思われているなんて。

 シロさんがうらやましいですね」

 アサガオにリンプーが返す。

「あんたは、黙ってな。

 クソッ、暗闇は慣れてるんだけどね」

 リンプーは何故か目の前がにじんで、前が上手く見えなかった。

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