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残高ゼロの極小ダンジョン経営~頼りない水晶コアと、ネズミ穴から始める迷宮拡張記~  作者: 盆ちゃん


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第132話:無限の黄金郷と、次元を繋ぐ大感謝祭(グランド・フェスティバル)

第132話:無限の黄金郷と、次元を繋ぐ大感謝祭グランド・フェスティバル

「――さあ、野郎ども。そして世界中から集まった暇を持て余すVIPども。よく聞け!」

迷宮の最深部、マスターズ・チェンバーから全次元、全リゾートへと繋がる魔力拡声器を通し、俺の声が響き渡った。

「残高ゼロのネズミ穴から始まった俺たちの迷宮は、今や星の裏側から宇宙の果てまでを網羅する、世界最大の『遊び場』へと成長した。これもすべて、俺たちを信じてくれた同盟国、惜しみなく散財してくれた富裕層、そして何より……俺の無茶振りに完璧に応え続けてくれた、最高の仲間たちのおかげだ」

俺の背後には、レオンハルト、ミラージュ、ファウスト、ガストン、キュウビ、リリア、そしてルリ、ラピス、アンバーの三姉妹コアが、誇らしげな笑顔で並んでいる。

「DPの残高を気にする時代は、もう終わった。だから今日は、迷宮国家の総力を挙げた『世界最大の大感謝祭グランド・フェスティバル』を開催する! 全次元転移ゲート、リミッター解除! すべてのリゾートを繋ぎ合わせろ!!」

「「「ウオオオオオオオオオオッッ!!!」」」

俺の号令と共に、三姉妹コアが手を天高く掲げた。

その瞬間、星全体の地脈を網の目のように覆う【グランド・ネットワーク】が神々しい光を放ち、物理法則と空間の概念が完全に崩壊した。

――それは、誰も見たことのない「究極の狂宴」の幕開けだった。

極寒の『ウィンターリゾート』の雪降る空に、黄金に輝く『空中カジノ・スカイヘブン』が蜃気楼のように重なり合う。カジノの窓から身を乗り出した客たちが、雪山を滑空するスキーヤーたちに向けて、勝利のチップ(金貨)を雪のようにばら撒いている。

『マギカ・ファンタジーランド』のメインストリートを練り歩いていた光のエレクトリカル・パレードは、突如現れた巨大な転移門をくぐり抜け、水深一万メートルの『深海レストラン・アビスアクア』のガラスドームの外へと飛び出した。深海竜と光の古代種たちが、漆黒の海中で幻想的なダンスを繰り広げ、レストランの客たちはキャビアを落として絶叫と歓喜の声を上げる。

「ガハハハッ! エールが足りねぇぞ! コンソメの川からもっと汲んでこい!」

「おつまみなら、あっちのポテトチップスの森から無限に生えてきますぞ!」

灼熱の『火山テラス・インフェルノ』では、ガストンやレオンハルトたち武闘派が、『お菓子の街・スイートトピア』から直通ゲートで引かれたコンソメスープの川やスナックの森を肴に、溶岩ステーキを喰らいながら大宴会を開いている。

「美しい……。世界樹の霊薬スパで肌を磨きながら、頭上には宇宙の超新星爆発が見えるなんて……」

『星海スパ・アストラルエデン』の露天風呂は、ファウストの技術によって『深宇宙観光船』の展望デッキと空間的に連結されていた。

賢人会の女傑や各国の王妃たちが、若返りの湯に浸かりながら、絶対安全な結界越しに「宇宙の神秘」と「星喰いの群れを消し飛ばしたジェネシス・レイのホログラム再現ショー」を眺め、極上のワイングラスを傾けている。

陸・海・空・深海・宇宙を巡る『クルーズ艦隊』も総動員だ。

超大型魔導装甲バスが巨大な氷の彫刻の間を走り抜け、空飛ぶ遊覧飛行船からは、ハーピー部隊が甘い綿飴の雲と金平糖の雨を世界中に降らせていく。

「マスター! 見てください! みんな、すっごく笑ってます!」

ルリ、ラピス、アンバーの三姉妹が、俺の両手を引っ張って満面の笑みを向けた。

俺たちが今立っているのは、宇宙空間に浮かぶ超弩級戦艦『アヴァロン』の最上階デッキだ。下を見下ろせば、星のあちこちで俺たちが創り上げたリゾートが光り輝き、転移ゲートを通じて巨大な一つの「お祭り会場」として脈打っているのが分かる。

「マスター……本当に、とんでもないものを創り上げてしまわれましたね」

ドレスアップしたミラージュが、俺の隣に並び立ち、星の輝きを見つめながら静かに言った。

「獣王様も、エルフの長老も、ラングス帝国の皇帝も、そして賢人会の皆様も。……誰もが国の威信や権力闘争を忘れ、ただの子供のように笑って、食べ、遊び尽くしています。世界から争いの火種が、文字通り『消滅』したのです」

「……争う理由がないからな」

俺は、手元のフルーツ牛乳を軽く揺らした。

「美味い飯があって、最高の風呂があって、死ぬほど楽しい娯楽があって、おまけに絶対安全だ。誰かのものを奪うくらいなら、俺の迷宮ここに来て遊んだ方が何百倍も有意義だろ? 俺はただ、自分が一番快適に引きこもるために、この世界全体を『俺の庭』に作り変えただけさ」

俺が不敵に笑うと、ミラージュは「ええ、最高の独裁者にして、最愛のマスターですわ」と、悪戯っぽく微笑んだ。

「――マスター! 大感謝祭のフィナーレ、準備完了ですぞ!」

通信機から、地上で指揮を執るファウストの興奮した声が響いた。

「キュウビ殿の極大幻術と、我が魔導物理学、そしてルリ殿たちの無限DPの完全融合! 星の裏側まで届く、究極の打ち上げ花火です!」

「よし……。ぶち上げろ!」

俺の合図と共に。

星の地脈、深海、雪山、火山、そして宇宙空間――すべてのアトラクションとリゾートのエネルギーが一点に収束し、夜空に向けて解き放たれた。

ドォォォォォォォォォンッ!!

音というよりも、星全体を震わせる心地よい振動。

漆黒の宇宙空間に、そして地上の夜空に、直径数万キロに及ぶ『七色の超巨大魔法花火』が咲き誇った。

それはただの光ではない。見た者の疲労を吹き飛ばし、幸福感で満たし、明日への活力を無限に湧き上がらせる『祝福の魔法』そのものだった。

世界中の人々が夜空を見上げ、歓声を上げ、抱き合い、祈りを捧げている。

その圧倒的な信仰と幸福のエネルギーは、再び莫大なDPとなって俺の迷宮へと還流してくるが、メーターはとうの昔にショートして「∞」のままピタリと動かない。

「……最高だな」

宇宙戦艦のデッキで、夜空を彩る無限の光を眺めながら、俺は幹部たちと三姉妹コアと共にグラスを突き合わせた。

「残高ゼロからのスタートも悪くなかったが……これからは、この無限の力で、永遠にこのバカバカしくて愛おしい日常を遊び尽くしてやろうぜ!」

「「「乾杯!!」」」

神々の戦いすらも余興に変え、星一つをまるごと至高のテーマパークへと変貌させた迷宮国家。

底なしの欲望と、際限のない無駄遣いが創り上げた「絶対の平和」は、これからも俺たちを乗せて、煌びやかで騒がしい黄金の軌跡を描き続けるのだった。

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