もしかしてあなたは!?
ルーシー見つけたんやが、敵が多いんやわ。
「1匹に命中!
今見えてるので残り8匹!」
「アリシアはそのまま観測に努めて!
俺が全部はたき落とす!」
「…ダメ、まだ後ろから来てる!」
「ティナの魔力探知のおかげだ
おかげで早く対処ができる
だが、部が悪いことには変わりはないな!
マリウスとウィルムは、弾薬を箱から出して俺の近くに置いてくれ!」
「わかった!」
「任せろっちぃ!」
「ガンガン行きますぜお父!」
「すごいわ、ココちゃん
弾丸を錬成できるなんて
さすがワイバーンは違うわね!」
「へへ!
どんなもんだい!」
(ココさんって男の娘?
まさかそんなはずは)
荷台から機関銃の発砲音が絶え間なく聞こえ、1匹また1匹と確実に敵を撃破していく!
だが、どこから湧いて出てくるのか?
敵は依然としてルーシーを追跡し、マントの端に噛みつこうとすらしていた!
「なんて気色の悪い敵だよ!
絵画で見たことのある天使の顔に胴体が一つ、腕が4本に足6つって鍛治府で倒したキメラより気持ち悪い!」
「あんなの見たことない!
…うそ、あの腹のところの紋章」
「交差する剣と何かの模様」
「「エストラゴ共和国か!」」
ニコルと瑠香の意見がピッタリと噛み合わさったところで、嫌な予感が確信に変わった。
鍛治府でのキメラから始まり、プロキシマでのヒメネスの件が終わったと思えばこの様だ!
敵がルーシーをしつこく追うのも、皇女を誘拐してしまえば魔神は敵国の言うことを聞かざるを得ない。
皇国の王が挙兵して戦争をしかねない。
いくら瑠香達が攻撃しようとも、敵の駒が気にも留めないのは、ルーシーという最強のカードが目の前にいる。
奪取してしまえば、煮るなり焼くなり戦争するなり思う壺になる。
「もう、あいつら焦ったいわ!
全部叩き落としてあげるわ
バーニングアロー!」
「えっ…ティナさん、一気にやる
あちぢぢぢぢぢぢぢ!!!
燃える燃える燃える燃える!!!」
「燃やし尽くせ!
バーニングディッセンバー!!」
「レイラさんも訳わかんない
あぢゃぢゃぢゃぢゃ!!」
「レイラ様サイコー!!」
「「なんで忍も燃えてるの?」」
「うるせぇぞこの夫婦!」
味方だと思っていた人間が一斉に敵に回った瞬間だった。
ティナとレイラの波状攻撃でルーシーと思われる人間を救い出し、地面に叩き落とされるように敵は真っ逆様に魔物の巣窟へと堕ちていく!
ティナが安心して肩の荷を下ろし、力強く構えているいた杖をおろした。
これで全てが終わる。
要救助者である、ルーシーを助けることができると安心しきっていた。
『忍さん、まずい!
ルーシーさんらしい人、失神しながら飛んでるわ!』
「嘘だろ!」
『それに、ニコルがルーシーさんの前からなんかきてるって言ってる!
…ちょっと私、いい作戦思いついたから
ニコルと2人でスタンドプレーするけど許してちょ!』
「…は?」
いきなりの横文字のせいと、瑠香のいう作戦の真意が見えず荷台で固まっていた迎撃組は固まってしまい何が起きるのだと不安に駆られる。
失神しながら飛ぶルーシーと道の幅を見て、何かに気がついたウィルムが、顔面蒼白になりながら忍が握りしめるトランシーバーを奪い取った!
「まさかじゃねぇが、ルーシーさんを巣窟に落とすとかじゃねぇよな?」
『んな訳ないでしょ?』
「道幅が今から若干広くなるから、向かってくる敵をニコルと一緒に落とすって奴じゃねぇよな?」
『違うよ〜』
「まさか、飛ぶんじゃねぇよな?」
『…ニコル、運転変わって!』
『はーい!』
「やる気じゃねぇかよー!!
命懸けすぎにも程があるわぁぁぁぁあ!!」
嫌な予感がしたウィルムが荷台の側面に付いている、天幕を推したがトラックに固定用の紐が括り付けられているため外れず、手元に持っていたナイフで切り裂こうとした。
ガダン!
トラックの本体、運転席側の固い屋根の上に何かが乗り上げるような音が聞こえる。
耳をすませばニコルとティナが何かを話している声が聞こえてくる。
車の頑丈なそうな部分にロープを括り付けた。
道が広がったところでギリギリのところで、寄せていけばなんとかいける。
がんばんべ?
「おいゴラァァァ!
車ぁ寄せてんじゃねぇかぁ!」
「ウィルムが叫び散らかしてるけど、気にしない
給料分の仕事をやろうじゃねぇか!」
道幅が広くなり、ルーシーとの距離が少しずつ近くなり始め、屋根の上で片膝を付いて動静を伺いながら安全ベルトの縛着具合を確かめる。
確実に今ならいける、今しかないと己に言い聞かせ何度も深く深呼吸を始める。
「瑠香、前から何かくる
めちゃくちゃやばいのが!」
「よっしゃここで決めるぜ!」
瑠香自身もニコルがいう謎の敵について、嫌なほど胸がざわついていた。
遠くから高速で動く羽根のような奇妙な音が聞こえる。
それだけでも嫌だというのに、何かを弾くような振動をかすかに感じ取っていた。
これ以上ルーシーのことを失神したまま飛ばしていれば確実に死は免れない。
「我が命捨ててこそ、浮かぶ瀬もある!」
屋根を駆け抜け、ルーシーのいる空間に身を飛ばした!
体を掴み抱きしめ、前もって握りしめていたカラビナを甲冑に引っ掛け、瑠香のアーマーと無茶なやり方で連結させた!
あとはニコルが魔法で引き寄せれば全てうまく行く!
ブチン!
「は…なんで?」
「ぎゃりぎゃりぎゃ…ぎゃ!!」
忍が撃ち落としてくれていたと思った敵が、トラックから伸びる引き寄せ用のロープを噛み切った?
そいつは木に激突して、死んだ?
ニコルがルーシーを掴んだ瞬間に引っ張ってもらえる算段だった。
ルーシーとトラックまでの距離は約10メートル。
ニコルの詠唱と半獣人化で引けば10メートルなんて、容易いはずなのに望みが一気に音を立てて崩れ去る。
ぐらりと視界が歪み、目の前に真っ黒な針葉樹の海が急接近し始めた。
「やっぱり安直すぎたか…
くそ!
せめてこの人だけでも無事で!」
風を切り裂くように、耳元でびゅーびゅーと音を立てる。
針葉樹が迫り、手が届きそうな距離まで近づき魔物達の生暖かい息遣いが肌で感じ取理始めた。
「お父さん、お兄ちゃんごめん
私は、無謀だったわ
昔から何もかわらねぇ、守りたいものがあるとこうだ」
『泣くな空挺レンジャーとやら
ルーシー、さぁ助けておやり」
「はっ、
飛翔加速魔法!!」
「うぉぁ!」
ほんの一瞬マーガナルムの声が聞こえたような気がした。
紛れもなく低くどこか憂いを帯び寂しげで、ルーシーと瑠香の2人を包むような存在のある声が、耳元で囁かれた。
それと同時に気を失っていたはずのルーシーが目を覚まして、ぐんぐんと高度を上げて空へと舞い上がる!
「もし…あなたはまさか?」
「私の勘が正しければもしかしてあなたは?」
「「財前瑠香さん!?!?」」
2人の声がアルメリアの空に響き渡り、何を思い立ったのかお互いに変な声を出し合い顔を赤くして、何度も過呼吸を起こしていく。
ぎゃぁぁぁぁ!
聞き覚えのない悲鳴が聞こえ、足元を見ればとてつもない巨大を誇る天使のような顔をした敵が地面に激突し、ぐらりと地面に向かって堕ち始めみるみるうちに小さくなった。
2人は顔を見合わせ、ゆっくりと地面に向かって降りる。
2人が降り立った先には五トン半トラックが停車し、瑠香を見て怒り心頭のウィルムと忍が立ちはだかり、もう片方を見れば見間違うことのない高起動戦闘車がブルブルとエンジンを震わせて停車していた。
バンパーに練馬普1なんて記載されているものだ。
我が目を疑い、次にルーシーの顔を覗き込んだ。
「…なんで練馬の標識が?
まさか」
「「「「瑠香、ようやく見つけたぞ!」」」」
「あっ
みなさん、お久しぶりです」
「俺たちも話があるからこっちに来いっちぃ!」
「今回は許さないからな…」
「わぁ、ルーシー無事だったの!?」
「収集つかないな!」
「瑠香と同じ服…ジエイタイの人?!」
ウィルムと忍が瑠香に無謀にも程があると説教を始め、手伝おうとしたニコルにも雷を落とした。
側から聞いていたルーシーだが、自衛官4人組に説教を受ける。
ルーシーが保護されたことを、喜び近づこうとしたレイラやココは固まり、道中の揺れと魔法の使いすぎで車酔いで死にかけのティナが荷台からぬるぬると落ちる。
「みんな悪いんだけど…なんかマリウス
崖に向かって吐いてるんだ
中央府の療養院に行きたいんだけど…」
車酔いのせいで崖に向かって、吐き散らかすマリウスをみて何も言えなくなり、渋々車を動かし転送門に向かう。
無事に到着し車両2台が転送門に乗り込み、強烈な光が包み込み平衡感覚をなくさせ2台は消え去る。
『うわぁぁぁぁあぎゃぁぁぁ!!』
絶叫を伴って彼らを飲み込んだ光の束は、はるか南方の中央府に向かって飛んでいく。
それを遠くから2人の影が、安心したような表情を浮かべて見つめていたのは誰も知らない。
ルーシーを見つけ出してはいいものの、失神しながら空を飛んでいるのにはみんな驚いたようです。
向かって飛んでくる敵に対して銃弾浴びせなが落としまくる忍もすごいものですが、連携があってこそです。
まぁ、瑠香は無謀な挑戦をニコルとやってのけようとしました。
敵の妨害のせいで崖に向かって堕ちていきそうになったところを、マーガナルムが失神したルーシーを起こした?
みたいです。
結果助かりはしましたが、死ぬかもしれないそんな状況です。
ウィルムと忍が説教するのは当たり前です。
ルーシーも自衛官4人組に説教されてました。
理由はまた後日に。
どうやら最後に見守っていたのは、マーガナルムと…みたいですね
次回もよろしくお願いします




