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防人の意地を見せる!

リリーちゃん絶対助けたる系自衛官財前瑠香vs生贄にしちゃうぞヒメネスのラストバトルレディ…ファイ!




「クソクソクソクソクソ!

あいつらあいつらあいつら!!」


「痛い、痛いよぉ!

離してぇぇぇ!!」


「黙れ子犬!

こいつを使って遺物をゲットできれば!」





二つの影がアルメリア最高峰のタリタウス山を目指し、雑木林の中を突き進んでいた。

一つの影はヒメネス、もう一つの影は小脇に抱えられながら抵抗するリリーの姿があった。


忍が作り上げた無限共鳴(インフィニティレゾナンス)を、無理やりこじ開けなんとか脱出し逃亡するし、たまたま見つけたのがリリーだったのだ。




(こいつを生贄にして、マーガナルム様に捧げれば洗礼を分けてくださる

そうなれば、あいつを…神前忍を俺の手で殺して

首を持って金に変えてやるんだ!)



「怖いよぉ、痛いよぉ!」


「黙れ黙れこのクソが!

だから子供は嫌いなんだよ!

あのダークエルフも、お前ら聖獣族もみんな大嫌いだ!

殺しても金にならねぇなら、せめて生贄になれ!」










事態がもっと最悪な方向に進んだ時がついたのはヒメネスが逃亡して30分経った頃だ。


ニコルの母親のエリーが、リリーがいないことに気がつきイプシロンの付き添いで禁足地から帰ってきたことを夫のダリルに失踪の件を話したことに端を発した。




「まさか、ヒメネスがリリーを連れて逃げたのか!」


「イプシロンさんが言うなら、あいつは禁足地に向かうって!」


「ティナ、ニコルさん落ち着きなさい!

策を練らないと…って瑠香さん!?」





冴えた顔つきで瑠香は、軽く準備運動を済ませティナに頼んだあるものに跨って作動確認を始める。

エルブスやイプシロンの忠告を聞かず、淡々と作業に取り掛かり、周りの反対の声は聞こえなくなった。




「どうして、そうまでして私たちアルメリア人を助けようとするんです?」


「なぜって言われても…

皆さんが私たち、日本人を受け入れてくれたからです」


「…はい?」


「イプシロンさん

私と忍は異世界(にほん)から来ました

普通、訳もわからない国から来たら追い出すか

下手をすれば、牢獄行きは免れないでしょう」


「それは」


「ですが、皆さんは迎えて受け入れてくださった

その恩を今、返させてください

リリーちゃんは、何がなんでも私が助けに行きます

それが私の空挺レンジャー魂なのです」






精悍な顔つきに誰も何も言えず、忍は大きくなりやがってと笑い、ヒメネスの部下を監視する義烈空挺隊のメンツは俺の娘かっこいいだろと鼻息を荒くする。


負けじ魂に火がついたティナとニコルは、義烈空挺隊のメンツと同じように、イプシロンに対してドヤ顔を決め込む。




「待って!」



出発しようとする瑠香を引き留め、ボソリと呟き瑠香の一瞬困惑する表情に2人の決意を伝え、賛同を得たかのように瑠香は何度も頭を縦に振った。




「皆さん、あいつを見つけました!

ここから北東方向の森に向かって歩いています!

その先にあるのは」


「やっぱり禁足地か!

ココさん、偵察ありがとうございます

できればそのまま先導して、ある程度のところで離脱して欲しいのです!」


「上空から援護します!

久々に暴れることができるので最高です!」






リリーがいないと聞いた時、レイラに頼んでココに龍化してもらい、プロキシマ街の森や関所側をぐるぐると高高度から偵察してもらっていた。

結果、ヒメネスのいる方角を割り出しリリー救出の策が練られた。

後は、瑠香が跨る相棒の偵察用オートバイをかっ飛ばせばいい!





「瑠香、ちょっと待って

このブレスレットを身につけて行って!

聖女(わたし)の呪詛返しをかけておいたから」


「アリシア、いいの?」


「本当なら私がいかなきゃなんだけど

傷ついた人が多すぎる…

マリウスもまだ呪いの影響が強くて、対処しないといけないし

ここで救護しないといけないから」


「アリシアの祈りは万物の傷を治癒できる…

ちょっと、忍さん痛いってば!

いきなり抱きしめないでよ!!」





アリシアから小さな宝石がついたブレスレットを手渡され、手首に通し終えた瞬間、何を思ったのか忍がぎゅっと抱きしめ何度もヘルメット越しに頭を撫で始める。


あまりの力の強さとボロボロで動けないはずなのにどこに力を隠し持っていたのかとその場にいた全員が感心した。



痛いなぁと文句を言おうとした時、身体中に風が吹き渡り、爽快だが冷徹で蒼く煌めく雷が忍を通して瑠香の体の中に流れ始めた。




「俺の…ぢがら…ありったけ…わだす

肺に血が…溜まってうごげねぇ

瑠香の鉄帽(ヘルメット)に…無線…つげだ

俺だぢが…通信ずるから…俺たちの替わりに

リリーちゃんを…見づけてぐれ」


「リリーは私が必ず助けるから

待っていて、お父さん」


「…お父さん、言われだがっだ…なぁ

我が…遠い時代の…愛娘よ…頼んだぞ!」


「レンジャァ!」






轟音を立ててオートバイは走り始める!

ココの誘導を頼りに、瑠香は持ってきていた方位磁石を時より見ながら磁場の異変を探り始めた。



『禁足地に行けば全てが狂うの

近づけば近づくほど、人間だろうが聖獣族だろうが聖女だろうが動物だろうが全てが狂う

瑠香の持ってるコンパスもおかしくなる

それが、限界のラインになるわ』





『それに禁足地は土も水も何もない地帯

だけど、完璧にない訳じゃないの

全て呪いと不浄で汚染されて、祓いきれないの」



ティナの忠告を思い出し背筋に嫌な汗が流れる。

磁気がやられるなら、オートバイの電子機器もおかしくなりかねない。

アリシアの加護があっても身が持たない。

ニコルの怯え具合を思い出し、早急にリリーを助け出さなければ、全てが終わると焦りはじめた。





『おい瑠香嬢、聞こえるか?

水上だ

聞こえたら返事しろ!』


「感明(カンメ)良好、送れ!」


『いきなり陸自を出すな!

イプシロンさんから話があるらしい

変わるぞ!』


『瑠香さん、イプシロンです

娘がお世話になっております』


「あっ…どうも、財前瑠香です」


『お話は、おーとばいを走らせながら聞いてください

なぜヒメネスがリリーちゃんを攫ったのか判明しました

拘束している手下から吐かせた情報も含めます』







まず、マーガナルムの力を欲する者や洗礼(ギフト)を欲する信者の中には、一部の過激な思想のものがいます。


いわゆる生贄を差し出す事によって、洗礼(ギフト)を得ようとする存在です。


過去にアルメリア皇国で、子供の失踪事件が相次ぎました。

皆見つかった時には…。

後日発見された時に、ある特徴が見つかりました。

体の一部に奇妙な獣の噛み傷があったのです。



同時並行で洗礼(ギフト)を得た人間は、瞬く間に力を手に入れたのです。

どんな武器や魔法も通用しない何かに変貌を遂げたと言われています。


マーガナルムは不浄や呪いの権化。

なら不浄や呪いは何を好物とすると思いますか?

アルメリアは古来より不浄は、純粋な存在を狙うと言われています。

つまり、無垢であればあるほど呪いの類は好むのです。








「だから子供を狙って誘拐し、禁足地で生贄にすると?

っざけんじゃねぇよ」


『怒りはごもっともです

あれを信仰する者は、復活を祈ると同時に生贄を捧げて褒美を得ようとします

過去に子供の血肉を食ったという逸話もあるくらい

…忍さん、何をそんなに?

えっ、マーガナルムはそうじゃないってですか?』




無線機の向こうで血を吐きながら、必死に叫び伝えようとする忍の怒号が聞こえる。

忍の異次元の行動力に、我が先祖ながらおっかねぇと思いながら、無線機から聞こえる微かな声に耳を傾けた。



『瑠香さん、レイラです!

忍さんの話を簡潔にまとめます

マーガナルムは、子供の血肉を食うやつじゃない?

プロキシマに来た時、俺たちの前に現れてすぐリリーちゃんの頭をやさしそうに撫でていた?

手つきが父親のそれと一緒?

父性がある人間が、子供を食うなんてあり得ない?』


「じゃあマーガナルムじゃなくて別の何かに生贄を?」


『大爺さまが昔、話してくださいました

マーガナルムの他に当時、女傑や騎傑と呼ばれた人間がいる

名はエレボスというのですが、彼女も子供を食うなんて聞いたことがありません」




全ての話の辻褄が瑠香の頭の中で駆け巡り、ある一つの答えに辿り着いた。

マーガナルムやエレボスと呼ばれる存在が生贄を求めると言う真の答えにだ。


答えを話そうとした時、不意に顔に水滴がつき拭いとると赤く鉄の匂いが鼻をつく。

ハッと顔を上げると、鼻腔辺りから血を垂らしながら苦しそうにココが翼をはためかせてる無理やり飛び続けている姿が見えた。



「ココさん、もう離脱しろ!

後は私がけりをつける!

これ以上は、呪いに食い殺されるぞ!」


「まだまだいけるわ!

…ちょっと身体が痛いけどね」


「無理すんな、撤退しろ!!

退く勇気を持て!」


「こっから先、私の探知魔法は効かない

ごめん、先に戻るわ

瑠香さん、リリーちゃんをお願いします」





ぐるりと体を反転させ、ココはふらつきながらプロキシマ街の中心部に戻り始めた。

雑木林に突入して、段々と地面の色が赤黒くなり始めている事に気がつき、苦虫を噛み潰しながらボディアーマーに取り付けた方位磁石を見つめた。


やはり磁場が狂っているのか、針はぐるぐるとチグハグに回り始め、オートバイの配線や電子機器が錆に侵食されるように朽ち始めていく。





「持ってくれよ…あっ!」




遠くに何度も振り向きながら、瑠香が迫った事に気がつき必死の形相で逃げるヒメネスをようやく捉えられた!

近づこうとアクセルをさらに捻るが、何かが顔のすぐ近くを掠めていく!



「野郎、罠張って嫌がったな!

こうなったら山の中入ってやらぁ!」



道なき道、岩と林の間を飛んだり跳ねたり時にはアクセルフルスロットルで駆け抜ける!

身体中に切り傷や擦り傷がつこうが関係ない!

今目の前にある命を守らねば!




『久しいなぁ、財前瑠香よ

よく我が心の内に気がついた

我もエレボスも、子の血肉を欲していない

血肉を得て喜ぶは、眷属になろうとする愚弄な者だけだ』


「なっ…空間が捻じ曲がってる

走らせてるのに前に進まない!

なんでマーガナルムがいるんだよ!

眷属になろうとする者って…」


『お前が追いかけているヒメネスの様な連中だ

何百年とバカどもを磔にしてやったが

そんなことはどうでも良い

礼として道は作ってやった

リリー・ヴォルフガングを救え

空挺レンジャーよ』




パァッと視界が開け、瑠香はいつのまにかヒメネスの前に躍り出ていた。

崖から飛び降りてくるなど思っていなかったのか。

ヒメネスはリリーを崖下に落とす様に放り投げ、腰を抜かし悲鳴にならない悲鳴をあげる!



「一生叫んでいろヒメネス!

それに私1人だけじゃねぇ

ティナ先生、お願いします!」




天高く魔術札を放り投げ、強烈な光を放ちながらティナが魔力を高めて現れる。

後は全てティナがやってくれると信じて、空中を舞い落ちるリリーを抱きしめて、獣道へと飛び上がった!

射程圏外に出ないと、自分ですら巻き添えを喰らいかねない!



「邪悪なる道に堕ちた者よ

天明の星々が貴様を見つめているぞ

悪しき全ての魔物を祓いのけ、煌めく星の息吹と炎に焼き清められよ!」


「ひぃ…ひぃ!!

観測者め、噂は本当だったんだ…

門の一族は星読みの一族…失われし英傑だったんだ!」


「今更気がついたところで遅い!

全てを遍く天河の息吹よ、我が光の名の下に集いて

悪を裁く流星となれ」



闇切り開く神槍の彗星!









ティナを中心に銀河が生まれ、強く光輝く星々が巨大な柱になりヒメネスを囲い四方八方から、光速の槍が貫いた!

あまりの衝撃に瑠香とリリーは、変な声を上げながらオートバイごと獣道の端へと吹き飛ばされた。




ほんの一瞬だが天女が佇み、特徴的な淡いピンク色の髪は白く七色に反射しキラキラと輝いて星を束ねている様にティナが見えた。

衝撃波が止みバイクの座席にリリーを座らせて押して、ティナの元へと駆けつける。




「髪の毛…ほんとは白色なんだ」


「私たちの家系はみんなこうなんだ

星読みの一族とばれちゃいけないから、髪を染めて隠してるの」


「かっこよかったよ、ティナ」


「そっちは無理しすぎだよ瑠香」


「ティナねぇちゃん、キラキラして可愛い

お姫様みたい!

瑠香ねぇちゃん、なんで体に草いっぱいつけてるの?」


「これは…お家に帰ったら教えてあげるね

さて、あのクソッタレを連れて戻らな…

まじかよ」



「ま、ま、ま、

ママママママ、マーガナルムさまぁぁぁ」





濛々と黒い霧を発生させ4人の囲む様に飲み込んだかと思えば、キリの中心から黒いローブで顔を隠した騎士がヒメネスの喉元に剣先を向ける。

その後ろからぬぅと、音も立てずこちらも黒いローブを羽織り黒い布で顔を隠してヒメネスに近づく。

間違いなく目の前にいるのは、マーガナルムと同じく封印されているエレボスだ。


体の中の危険信号が、これ以上近づけさせるなと言うよりも前にリリーをオートバイから下ろし、ティナに頼んで隠す様に背中側に回らせオートバイを倒し盾にしつつ、発砲できるように安全装置を外した!




「それ以上近づくな、これは警告だ

下がれ撃つぞ!」


『…礼を言いに来ただけなのだが

怖がらせたなら、あい…すまぬ

だが、この阿呆は我らで貰い受けよう

呪いだの洗礼だのと宣って反吐が出る!』


『我が王よ、気に入らぬのならココで殺せば良いのでは?』


『さすれば、リリーが怖がってしまうぞ?

連れ去る方がいい、エレボスよ

あぁ、すまない…瑠香・ティナ・リリー

匂いを嗅ぎつけて魍魎どもが来る

だが転移魔法は、使えぬだろう?

子供達よ、お家へお帰り

また会おう

その時は、ハナオカコウスケとサナダケイコのことを教えてもらうぞ?』






声を荒げ発砲しようとした時、黒い影が3人を飲み込んで大きなトグロを巻き全てを遮断した。

刹那に見えたエレボスとマーガナルムは、ヒメネスの両肩を双方の剣で突き刺しどこかに歩き去っていく。


手を伸ばした瑠香だが、気がつけば紺碧の夜空に抱かれて3人は空を泳ぎ、手を繋いで一直線に光指す大穴に落ちていく。

光の先へ行けとばかりに大穴が大きくなり、身体中を光が貫通する様な感覚を覚えていた。




「「「うわぁぁぁぁぁ!!

…あれ、ここって」」」



「瑠香…ティナ…リリー?

みんな帰ってきた

けどどうやって帰ってきたの?!」




気がつけばプロキシマ街の中心に2人は座り込み、庇うように瑠香が身体を覆って何かから守ろうと必死になる。

たまたま居合わせていたニコルだが、3人が急に現れて戸惑いを隠せず茫然となるほかなかった。




軍配は瑠香に上がりました。

そして敵だと思っていたマーガナルムが味方につき、瑠香を助けたのです。

マーガナルム自身、子供が生贄になることに立腹していました。


未来ある存在を殺して差し出す邪な連中を磔にするくらいです。


リリーを連れ去ったヒメネスに対してガチギレしていたのです。

それは封印されていたもう一つの存在、エレボスも同じだった様です。


ココも龍化して、先導をしていましたが呪いの影響が出てしまい途中でダウンしてしまいました。

仕方ありませんが、彼女のおかげで大金星です



イプシロンの推理通りの結果になったかはさておきですが。


ティナの正体が判明しました。

軽く触れられた通り、星を読む観測者と呼ばれる存在です。

髪は本来真っ白なのですが、存在を秘匿するために染めていた様です。


魔法を使って元に戻ったみたいですが。


次回は何がどうしてそうなったの?

を深掘りして中央府(ポラリシア)帰還へ向けて進めていきます

次回もよろしくお願いします

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