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狂気に飲まれる

狂気を伴うのは敵だけではありません。

時より味方から発せられたこともあるのです。







殺せ殺せと怒号が飛び交い、血と強欲を纏った黒い塊が押し寄せてくる!


刃こぼれした大斧や、巨大な剣に過剰なまでに棘をつけた棍棒を振りかざし、雪崩のように濁流となる大勢の敵!


敵の総数は200、そのうちの80人が四方八方から押し寄せてきた!




「ここは私に任せて!

風の壁を作って…」


「ニコルはちょっと休んだら?

半獣人になったら体力削られるっしょ?

まあ少し私がお灸を据えるから」


「そんなことないんだよ?

…あー、了解おかのした」


「まぁ、これは私のわがままだと思ってさ

みんな動かないでよ

発動、通信科…電磁回路遮断!」




生臭い獣の笑い声と共に、敵が一気に押し寄せた!


だがガクンと膝から崩れ落ち、体を痙攣されガタガタと震え始めた。


周りの盗賊が後退りを始め、円の中心に立つ瑠香を見て化け物目と言い始めたが、ヒメネスは高笑いを浮かべ面白いと叫ぶ!




「なんだそれ、なんだそれ!!

俺初めて見たぜ…地面に何か流したんだろ!?

でもそれ以上の範囲は流せないんだ?」


「んー?

私のこれ、気にするならあんたらのお仲間の心配したほうがいいよ?

みんな強いし」


「へ?」




ヒメネスが周りを見て気がついた。


狼風(ニコル)が全てのを見込んで大屋根にいる敵を飲み込み薙ぎ倒す!


魔炎(ティナ)が地面から湧き立たたせ、向かい来る30人もの濁流を滅却した!


聖海(アリシア)が澄んだ青い大波を起こし、大屋根から落とされ、滅却された40人もの敵を一気に巻き込み、地面に伏せさせた!



「おっかねぇ」



瑠香が呟いたのも無理はない。

3人の攻撃に完全に腰を抜かした敵や、気を失った敵もいる。


だがそれでも向かってくる敵の数は、計り知れない。

3人に向かって混沌とした血を纏い、常軌を逸した大濁流が流れ込んでくる!



間に合わない!



なんて怖がることはなかった。


濁流と3人の間にひらりと紺染のマントをひらりとはためかせ、白い甲冑を着た騎士(ナイト)が前に立つ。



「波がある所には、防波堤がいる

それがマリウス・ルベルトであるということを

剣気術、地封波爆(グランド・ウェーバー)



地面に剣を突き立て、魔力を流し込んだように見えた。


途端に地面が裂け、濁流達を飲み込み地面の底に引き摺り込まれそうになる!

それだけではない。

地面の隙間という隙間から、剣が出現し濁流を閉じ込めると同時に、剣という剣が飛び交うようにビュンビュと風切音が鳴り響く!


再度地表に現れた大濁流の残骸に、ウルムが得意げに飛び回り大瓶に入った液体を振り掛けたかと思えば、4人の功労者の頭の上で腹踊りを始める。


途端に聞こえてきたのは強烈なまでの断末魔!





「へへへ

俺っちの薬の効果だぜぇ

下痢になるかならないかギリギリ腹痛薬だぜ!」



「「「「名前だっさ」」」」



「うるせぇっちぃ!」




やいやいと言い合う4人を、遠くに見ながら瑠香は4人の異常なまでの強さに何故か股を縮める。


ヒメネス以外の敵が後退りを始めるが、奇妙な違和感を拭えずに相対する。

ヒメネスを含めてさっきまでいた敵の数は20人。

そのうち5人の姿が消えていた。



「悪いなぁ兄ちゃん

ここで俺らと遊ぼうや」


「敵の数14人

対する、空挺隊員1人

部が悪いけど、CQB戦するしかないか」


「なんか言ったか?」


「あんたらの目の前にいる人間

日本って国の中に数%しかいないやばいやつだったらどうする」


「なんだ?」


「特殊作戦群もどきだって言ったら」





は?

と声を出した瞬間、男はぐらりと体を地面に突っ伏す。

あっけに取られる人間達が轟音が鳴りびくと同時に2人、3人と倒れる!


時に襟首を掴まれても、腕を視点にしてぐるりと体をひねり回し、相手の首を足で挟み体を地面に落とすように相手を吹き飛ばす!


ひっと敵が声を漏らした瞬間、ぎっときつく睨んだ。

まるで私の射程圏内だと言わんばかり、小銃を構え数発の雷鳴が鳴り響き5人の敵を一掃した!




「舐めんなよ

あと私以上に気が立ってる人間がいるって言うことを忘れるなよ」


「あっ…」



とてつもない殺気を纏った忍が経っていた。

右手に持つ軍刀と左手に持つ銃剣を付けた二式テラ銃から血が滴り落ちる。


あまりの迫力に怖気付くが、その怖気付く敵に対して容赦はしない。

1人また1人と敵を屠る様は、流石の瑠香でも顔面蒼白になる。



「ヒメネスがいない

その偉く強そうな取り巻きどももだ

妙だと思わないか?」


「ヒメネスがいない?

まさかなにかっ…!」


「は?」




目の前にある光景に忍は一瞬にして、消え去り全ての情報が理解ができない。

壁にめり込むかのように瑠香は、建物の壁にめり込みガラガラと音を立てながら崩れ落ちた。


マリウスの悲鳴が聞こえたと思えば、アリシアが殴られ地面にふされ、ティナは宙に舞い上げられたかと思えば何度も叩きつけられる。

ニコルは体を拘束され、檻に入れられ何度も鎖で縛られてていた。


いつも、攻撃をうまく交わすウルムですら妖精使いに捕獲され、刃物で滅多刺しにされていた。




「こいつらよわっちいんだよね

いつメンは強いんだけど…

じゃあ神、俺と戦おうぜ!

おーい聞いてんの?」


「…ろす」


「何かあったの?」


「お前を殺す

俺の娘や息子に何をやってくれた

もう、許す気もねぇよ

無理だわ」



この時、ヒメネスは初めて目の前にいる忍に対して初めて恐怖心を抱いた。

今まで殺して奪った相手にしては流石に異常だ。


忍から発せられる血の匂いや体から纏う修羅。

そして聞いたこともないような音のようなものを。

狂気を呑んでいたのではなく、今からやってくる死と狂気に飲まれる感情にヒメネスは逃げたくなったのだ。




「武器を抜け

お前がどんな武器を使ってもいい

俺はお前をなぶるだけだ」

忍がぶっちんしてる回です。

なんでやわな話ではないです。

プロキシマという街を壊したということに対してもブチギレてますが、迎えてくれた人々を蹂躙したことに対し、怒りでは済まなくなったのです。


ティナはプロキシマと関係がありますし、ニコルの生まれ故郷であります。

アリシアやマリウスもそうです。

マリウスも生まれ故郷でもあります。

そしてアリシアはマリウスと、結婚するにあたりこの地に暮らす可能性もあるです。


おまけに瑠香達をボコボコにしたことによって怒りでは済まされなくなってます。

次回忍が神様もどきになる回です


よろしくお願いします

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