盗賊襲来
もう盗賊なんて名ばかりです。
「街が…ひでぇことしやがる」
「プロキシマが…俺の故郷が」
「こんなことするの…あいつらしかいない
アルメリア最悪の盗賊集団」
「何がどうであれ、街の人を助けに行こう!」
街のあちこちからは黒煙が立ち上り、遠くから襲撃を知らせる半鐘が鳴り響いていた!
とてつもない不安が濁流のように押し寄せ、マリウスの心は恐怖に支配されていく。
市街地に到着した瞬間、アリシアは自分が見ている景色は間違った何かではないかと錯覚する。
建物は破壊され、辺りには大勢の人が倒れ.何かが焼かれるような匂いが立ち込める。
「何これ…何こ…うぅ!」
「大丈夫!?」
今目の前の現実を受け入れられず、たまらず胃の中のものが溢れ出してしまい、ウルムに介抱されながら落ち着かせようと必死になった。
「言いたくはないけど…みんな」
「こんなこと…許しちゃおけない!」
「司法省や皇軍が来るまでに時間がかかります!
私達でどうにかしなきゃいけない…」
「焦ってはダメよティナさん、ココちゃん
まずは怪我人を助けましょう!
瑠香さんもお願いね!」
「「はい!」」
「レンジャ」
「忍さんも瑠香さんと一緒に!
忍さん?」
「見せたくねぇ光景を未来に見せやがって
こんなものを見るのは俺だけで充分だ」
忍の殺意に似た怒りが頂点に達し、手がつけられない程に近寄りがたかった。
その相手が建物の屋根や裏から、勝ち誇ったかのように現れ始めた。
その数ざっと200人弱。
気がついた全員が互いの背中を預けるように円陣を作り始め、出来上がる頃には盗賊集団の頭領らしき女が短剣を片手に肩を数回ほど叩く。
今まで襲ってきた数多の冒険者立ちの甲冑や、防具を身につけ頭領らしい女の腰元には煌びやかな装飾の施された剣が帯かれていた、
「あっどーも!
街をボコボコにしたヒドュラ盗賊団のヒメネスでーす!
あれ…みなさん、結構怒ってます?」
「名前を名乗るほど、いい度胸をしているな
お前らなんでこんなことを?」
「…ふーん?
あっ、あんたらが賞金首ね!
いやー!
ここを襲った甲斐があったわ!」
話が通じないとその場にいる全員の考えがまとまる。
話す方が頭がおかしくなるのではと、嫌悪感のようなものすら込み上げてくる。
そうなればやることはたった一つ。
全員の捕縛またはそれ以上の報いを受けさせる他なし!
「盗賊に告ぐ…これは最終警告だ
即刻このプロキシマから出ろ
でなければ」
「緑の服のあんた、何言ってるかわかんないんだよね?
俺は首を取るか取られるかなんだけど?
あっそうそう、この人見てよ!
連れてこい!」
おうよと答えた獣人種らしい部下が、鎖を引っ張って何かを引きずるように連れ始めた。
全員がその光景を食い入るようにみて愕然とした。
頭や腕を蹴られ殴られを繰り返されたせいか、腕は青黒く変色し、頭は全体的に腫れエルフ特有のと言われる長い耳も、右耳の半分は切り取られていた。
「ジャーン!
すごいでしょ?
俺たちみんなでエルフとかあとなんだっけ?
いっぱい捕まえたんだぜ?
これで皇女様も捕まえたら…すごいんじゃねぇ?」
「もういい、黙れよお前」
「え?」
「聞こえなかったならもう一度言う
もうしゃべってくれるなよ」
ティナの静かな怒りが爆発し、淡いピンク色のストレートヘアがゆらゆらと揺れ始め、空気を弾くように魔法の質が重く痛苦しくのしかかっていく!
盗賊たちの非道な行動にこちらも怒りに身を任せ、半獣人化したニコルが唸り声を上げ全身の毛を逆立ち始め、今にも噛み殺す勢いで睨みつけた。
同様にレイラやココと口からチリチリと音を立てて炎を吹き出し始め、背中からは空気を切り裂く鋼の翼が伸び角もメキメキと音を立てて伸び始めた。
もうこうなったら誰にも止められない!
「みんな怒っちゃったんですか?
そんなに怒ることないのになぁ
へ?」
空気を切り裂く鋼鉄の鏃とともに、硝煙の匂いが立ち込める。
次にやってきた轟音とともに1人の盗賊が、ぐらりと体を揺らして地面に突っ伏した。
ガチャリと金属が擦り切れるような音が聞こえたと思えば、盗賊の目には殺意をこめて発砲した忍が獲物を狙い定めてきつく睨みつける。
白目の部分はそこの見えない真っ黒、黒目に当たる部分は濁り切った青い虹彩と濁り切った白い六芒星のような紋様が浮かぶ。
「お前…神様か何かなの?
…すげえ、すげぇ!!
俺って今日はついてる!!
神殺しができるのか!?!?」
「だったら良かったんだがな
今の俺はすこぶる機嫌が悪い
ここにいる未来がそれなりに手を緩めても、俺はお前達を殺す
皆殺しだ!!!!」
「いいぜ…お前らやっちゃえ!」
大地を震わせる轟音ととも位に、気色の悪い叫び声がこだまする!
負けじと瑠香達も武器を取り、叫び声を上げて走り始めた!
もう誰も彼も、赦すつもりなどなかった。
そうでもしないと自分たちの正気を保てない!
アリシアの目には大粒の涙が溜め込まれ、マリウスの唇は噛み切られ血が馴染む。
全面戦争が幕を開けたのだ。
全員が怒り狂ってます。
盗賊なんて優しいもので、テロリストも当然です。
おまけに女頭領は話が通じないどころか、暴行を加えてそれを自慢するくらいです。
この小説を書いていて史上最強のヴィランが登場します。
次回討伐なんて生ぬるい死闘が始まります
よろしくお願いします




