表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/78

牛乳商人護衛任務

牛乳飲みたくなりました。

護衛任務大事!



牛乳商人。

この言葉を聞いて忍と瑠香は牛乳を運ぶ歩荷のような存在を想起する。

アルメリア皇国の全ての家庭に分配できるように、運ぶのが役割なのかとそう思ってしまった。

ひいては都市部ではその姿を少しずつ消しているであろう、牛乳屋さんの様な存在かと瑠香は思い込んでしまった。





「瑠香、忍さん

ここでは甘い考えを捨てた方がいいですよ」





アリシアのそんな一声で我に帰る2人。

組合長(ギルドマスター)が、遠くから牛と牛車を連れて歩く存在に気がつき、手を振って呼びつける。

日焼けを何度もしているせいか黒く、髪は銀髪で特徴的に耳が長い。

黒いマントと年季の入った笠を被った男が深々とお辞儀をする。




「ダークエルフ族のマスティ、牛乳商人をしている

今回はあんたらが護衛してくれるのか?」




マスティなるダークエルフが瑠香達を一通り見渡し、戦力に気がついて口をポカーンと開け硬直した。

それもそうだ。

聖龍族のレイラとココ、一級魔法士(いっきゅうマジリスタ)のティナ、一級詠唱士(いっきゅうアリアテスタ)のニコル。

それだけでも過剰と言われるが聖女アリシアに白騎士団のマリウスもいればよほどのことがない限り、敵は攻撃を仕掛ける前に逃げ出す。




「緑の服の方と鼠色の服の方

まさか、あんたらまさか!」




アルメリアでは目立ちすぎる迷彩服を着ている瑠香と、ネズミ色に濃緑のマダラ模様の服を着た忍をみて、マスティはさらに背筋を正し始める。

おそらく、魔神の城で暴れていたのを風の噂で聞き、暴れた本人が目の前にいることに驚愕しているのだ。




「ハルウェルさん、あんたなんでこんな人選を!」


「まぁみんな強そうじゃん?」


「適当すぎるぞ!

おいおいおいおい、ミルクソフト食ってる場合じゃねぇだろうがぁぁぁぁ!!」




マスティの発狂なぞ知らんとばかりに、ガンギマリの目でミルクソフトを舐めちぎるハルウェル。

そんな光景を目にして、瑠香達は思った。




(あっ、なんかこの人と関わるの辞めようかな。)




全員が呆れ返っているその時だった。




「ニコル帰ってきてたんかい?

あーらぁ、ティナちゃんまで帰ってきたの?

友達連れてきたんだわな」



声の方向を見ると、少し背の曲がった老人が杖をつきながら歩いてきた。

口元に髭を蓄え、ニコルと同じ様に頭には垂れているが耳が生えており、ゆらゆらと3本の尻尾を振って歩く。

見た目の年齢は70を超えている様にも見える老人にニコルは笑い走り出したかと思えば抱きしめて、これまた嬉しそうに尻尾を振る。

ぶちぎれんばかりに高速で振っていく。

大事なことなので言わせてくれ。

ぶちぎれんばかりに高速で振って行く。




「久しぶりお爺ちゃん!

友達連れてここまで帰ってきたよ!」


「そうなんだねぇ

おやぁマスティ、またハルウェルと喧嘩しているのかい?」


「「だって仕方がねぇんだよ

ヨーゼフ爺さん!」」


「はっはっはぁ!

2人は昔から何も変わらんなぁ

そうそう、緑の服のお姉さんが瑠香ちゃんで

そっちの…うん、軍人さんが忍さんだね

ニコルのおじいちゃんのヨーゼフ・ヴォルフガングです

隣町のプロキシマまで送ってくれるんだね」




ようやく気がついた。

牛乳商人と、軽く見ていた瑠香やしのぶの考えの甘さ。

牛乳商人は牛乳だけを運ぶ存在ではない。

商人になって最初の頃は牛乳を運ぶのだろう。

だがマスティの様な経験を積めば積むほど、運ぶものの種類や重要性は変わってくる。

アルメリア皇国中に行き渡る様に食糧を運び、ある時は危険な緩衝地帯を経由して人を運ぶこともある。




「なるほど、彼らは輸送屋(ポーター)

敵は誰からかまわず攻撃するから、商人さん達も護衛をつけざるを得なくなった

と言うことですね、ハルウェルさん」



「そういうことです

皆さんにはマスティ商人とプロキシマ街までヨーゼフさんを護衛してください

2人は…ルーシー皇女様の行方を知っています」




ハルウェルの言葉によって全員の顔つきが一気に変わったのを、マスティとヨーゼフはすぐに気がついた。

旅の道中で鍛えられた感覚と成長が、この先の危険を予知させている。

その細かな変化にレイラとココは、成長として見つめていた。




「ハルウェルさん、まずはこの先の地図を見せていただけませんか?」


「もちろんですよティナ

でもどうして地図がいるんだい?

ティナは精霊府(ニュンペリオン)の生まれだろ?」


「私達は瑠香達と旅をするまで、旅を軽く見ていました

でも今は違うの

どんな危険を予知するかこそが、大事だと気付かされた」


「ティナもニコルも成長したね

わかったよ、地図を持ってくるからみんな組合(ギルド)にきて」





数日後の早朝。

プロキシマ街に向けてエリヌダス街の一部が騒々しくなっていた。

ティナとニコルが現地をよく知るルイスを加え、行商用の牛車にヨーゼフを乗り込ませマスティは馬を2頭ほど、なだめさせて牛車に繋ぐ。

前衛をティナとニコル・アリシアとマリウスにルイスが乗った高機動車に乗り込み、後衛を瑠香と忍が高機動車に乗り込み第二関所に向けて走り始めた。




「皆さん、どうかお気をつけて!」



ハルウェルが手を振って送り出すが、気持ちは晴れないでいる。

瑠香達が出発する数時間前に隣のプロキシマ街の衛兵から急ぎの文が届き、その目を疑い頭を抱えてしまう。

ことの重大性を、瑠香達に伝え見送り肩を落とす。



「どうかお気をつけて

アルメリア最悪の盗賊集団が動き始めてしまったのです

どうか」




日の出が登り始めると同時に、瑠香達の小さく地平線へ消えて行く。

嫌なほどに紅く地面を照らされた世界に飲み込まれる様に。

瑠香達の次の目的地、プロキシマ街に向けて出発します。

牛乳商人は牛乳を運ぶだけではなく、精霊府(ニュンペリオン)を各国に向けて運ぶだけではなく、経験や知識が増えればその分運ぶものの性質も変わります。

ポーターとは良い例えですが、そう言う性質を持ち合わせてます。

マスティは人を運ぶ様です。


ティナとニコルは何かに気がついて地図を見せるようにハルウェルにいいました。

2人の生まれた場所に地図はいらないと言うのですが作戦があるみたいです。

成長を見たヨーゼフはちょっと嬉しかったと思います。

尻尾をちぎらんばかりに振っているのでしょう。


次回もお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ