1章 人工召喚獣実践試験(暴)
まだ頑張りますよ?
パルフル-ビリージス魔導共和国マルニム軍港 -近海
帝国艦隊は予想より少し早く9日ほどでマルニム軍港に接近できたわけだがここに来てようやく共和国の海軍が出てきて本格的に海戦が始まったわけだ、などと考えてるうちに共和国の魔導砲による砲撃の被害が出始めたがどうした物かと考えるが接近して落とす以外には現実的な方法がない・・・まあ魔導砲と帝国の軍艦の主砲なら威力は同程度ではあるが連射数や砲撃可能数が違いすぎるからな・・・向こうは魔力しだいでいくらでも撃てるし連射もできる、それに対してコチラの軍艦の主砲は連射性が悪いし上陸作戦をある程度予定していたので弾が少ない、まあ撃ち合いができないわけでもないので撃たせながら子爵に前に出てもらって白兵戦で敵の数を減らしてもらうしかないだろう、人工召喚獣も海上では使えない陸用だったわけだし仕方がない。
そういう訳で今回は短距離の連絡が主体なので全艦通信用の装備を整えてあるので伝令が楽でいい・・・まあ盗聴の危険が多いがセツナの召喚獣を使ってそのへんはカバーすれば特に問題もないだろう、早速子爵の艦に通信を繋ぎ白兵戦で敵の戦力を削ってほしいい事を伝えると即座に子爵の隊に動きが見えた、子爵の隊には白兵戦力のほとんどを集中させいる訳だがなかなかに敵が脆い・・・子爵の戦闘力は知っているがほとんどを徴兵で集めた一般兵で構成されているのにあれほどの速さで敵を無力化できるはずは無いのだが、もしかして釣られているのだろうか、だとしても先に進む以外は無いのだがどうしたものかと悩んでいると伝令が入ってきた。
「伝令、敵艦隊が3つに割れたとの報告が入ってきました」
3つ?2つなら通り抜けるこちらの艦隊を挟撃することが狙いだとは思うが3つだと狙いが読めない、そもそもわざと通らせて挟撃するには間が狭すぎる、ここは様子見を兼ねてアリアの隊で砲撃でもしてみたほうがいいのだろうかと思いアリアの艦に通信をつなごうとした時にふとセツナから聞いたある召喚獣の話を思いだし全艦に敵の艦隊と同じく3つに割れるように指示を飛ばす、指示から少し遅れて艦が激しく揺れた・・・指示が遅れていたらもっと被害は大きかっただろう、とりあえず現状の被害の把握が先だ一応各艦からの報告待ちではあるが私個人としてセツナの召喚獣のうちの1つを使って上から現在の海域の状況を見る・・・やはり敵艦隊の動きが早い、まあ敗走させた訳でも無くただ艦隊を割っただけなのだから当たり前ではあるが、しかし表立ってセツナの召喚獣を使えない以上被害の大きさが痛い子爵の隊は敵艦隊に取り付いていたため艦に目立った被害はないがアリアの隊は砲撃による支援の最中で隊を割るのが遅れたようで1隻沈められて1隻が中破と言ったところだろう、私の隊はとりあえず1隻が小破した程度で済んでいるようだ、さて先ずはアリアの隊と合流してしまおうもともとアリアの隊は支援用で状況に合わせて子爵の隊とも私の隊とも連携が取れるようにもともとのアリアの直属のクルーを持ってきているので先ほどのように突発的な自体でもなければ普通にこの艦隊の主力なので問題なく合わせてくれるだろう。
目の前の帝国の艦隊を眺めながら次の手を考える・・・本来なら先ほどの一手でほとんど壊滅した敵に対しての殲滅戦になる予定だったのに予想外は2つだ1つめは我が艦隊に取り付いている敵の隊だ、おかしいすでに3隻程は無力化されている、しかし全体の残りはまだこちらが有利だ、エルロードの小娘の隊の砲撃での被害も召喚獣のおかげでそれほどのものでもない、しかし2つめの予想外はあまり知る人間のいない無名の召喚獣をわざわざ選んで使ったというのに直前ではあるが知っているかのような避け方をしたことだ、こちらが掴んだ情報通りならば敵の総司令官は皇太子だロードの小娘ならばセツナ名誉少将を通して話を聞いていてもおかしくはない、彼は若かったがチバ家以外の召喚獣についてもかなり詳しかったはずだから駆け落ち同然に共和国まで来て共に生活をしていたロードの小娘ならばとも思うがどうにもわからん。
あまり時間をかけるわけにもいかないのでアリアと子爵に私の隊で突撃して敵の軍港で人工召喚獣を使うことを伝え突撃を援護してもらうことにした、さて私はアリアと子爵の援護を受けながら敵の軍港へと向かいながら敵の旗艦を探している共和国には少しの間とは言え住んでいたのである程度大きな艦隊を動かせるような相手のマークは多少は見覚えがあるはずだからそれを探す・・・個人は特定は出来なかったが相手の艦隊の総大将はどうやら中将らしい、中将クラスとなればセツナには劣ってもそこそこの数の召喚獣を使えると見ていいだろう、それならば私も多少は召喚獣を使ったほうがいいのだろうがいつどのタイミングで何を使うのかが難しい・・・これが共和国側でなら特に考える必要もないのだけれど帝国側で下手に使えばまた追いかけられることになるからな、その片の匙加減が難しいさらに言えばこちらの旗艦の旗的に皇太子様と勘違いされている可能性もあるわけでわざわざ私がいることを教えてやる必要性はないのでとりあえずアリアに敵の旗艦らしき船の位置を伝え私の隊は軍港に取り付くための突撃の用意を進める。
「ルーシー様の突撃の援護だ、砲撃の間隔は50秒程度、対象は旗艦から左側の敵だ、右側は子爵の隊が担当するので気にしなくていい」
全くルーシー様はあいも変わらず無茶をしてくれる・・・まあ今回の表向きと裏の目的を同時に達成しようと思えば多少の無理はしなければならないのだがこれはもう戦闘にはならない。一度だけ見たことがあるがチバ家のあれを使うのならばもう終わりだ、ならば後はそれを確実にするのが私の役目というものだろう。
「全く、人使いの荒い司令官だ」
ぼやきながらも砲撃を指示しながら旗艦に近寄る敵艦のうち右側のものだけに狙いを定め白兵戦を仕掛ける、何よりも砲撃戦に付き合える装備ではないので仕方がないがこちらの兵士の消耗も激しい、あまり長くはこの戦いを続けるわけには行かなくなっている、さてロード卿はこの戦いをどのように運んで終わらせるのか中々に楽しみではあるがそれを確認するためにも目の前の敵を1人でも多く無力化しておかなければな。
とりあえず取り付けはしたが、次の問題点は軍港だけあって海兵の数が多い、子爵の隊なら楽だろうが生憎と突撃のために後ろを任せているのでここにはいない・・・まあ一応当初の予定通り人工召喚獣を使いどの程度までやれるのかを観察しながらタイミングを図るのに専念したほうがいいのだろう、そうこうしているうちに人工召喚獣を積んだ艦が軍港に取り付いたので上陸の援護に回らなければ起動前に落される事になりかねない・・・まあ私個人としてはそれもありといえばありなのだが下手をしないでも軽く全面戦争の引き金になるぐらいのことだから覚悟を決めてマルニムを陥落させることに全力を注ごう、そのために必要なことは先ずは人工召喚獣の上陸成功、次にあれ程度以上の能力の証明、最後に敵の高位の術者に人工召喚獣の存在がバレること・・・まあこのあたりが揃えられればココは落とせるだろうし帝国と共和国の全面戦争もそう遠くない話になるだろう、正直何百年も前からの戦争なんて私の知った話じゃない、でもその戦争のせいでセツナを失った・・・だからせめてこれから先を生きる人には同じような思いをさせたくはない、そのためには帝国と共和国の戦争は邪魔だし帝国と共和国そのものも邪魔でしかない、誰もが思うままに生きていける平和な世界、綺麗事ではあるが私はそんな世界を目指したい、まあ最もそんな世界を造り上げたとしてもセツナのいない世界に私の居場所は見つけられそうもないのだけれども。
帝国の軍艦から何かが上陸したのを確認して数秒後マルニム防衛用の部隊の3割程度が文字通り蒸発した。
「何が起きた!状況を報告しろ!」
理解が追いつかない、怒鳴りながらも指示を飛ばすも目の前で起きた現実が理解できない、共和国の上位のそれこそ条約上使用禁止になっているレベルの召喚獣のソレとあまり変わりのない惨状に帝国の勝機を疑う・・・あまりにも長すぎる戦争に終止符を打ちたいのはどちらの陣営も同じだとしてもこのような手段でもたらされる終戦に意味があるのかが疑問だ。
私はあたり一面の焼け野原で暴れる帝国製の人工召喚獣をただひとり見つめていた・・・私の予想以上の強さだ、だけどこれを使ってしまった以上最早どちらも後戻りは出来ないだろう、それならば今私がやるべきことは暴走している人工召喚獣を処分することだろう、もとより帝国側の不始末である人工召喚獣の処分を共和国に任せるのは筋が違うものだからな、そうと決まれば最早出し惜しみはしない、呼び出すのはセツナがかつて最も信頼し共に多くの戦場を駆け抜けてきた白き龍を呼び出す、告げるのはただ短く・・・目の前の理を乱すものに裁きを、ただのそれだけで白龍は全てを理解し咆哮をあげ人工召喚獣へと向かう。後は最早戦いとも呼べない一方的な展開だ、人工召喚獣は火力こそ凄まじいがその装甲のほとんどが鋼鉄製・・・正直なところ高位の召喚獣にしてみれば紙切れとそう大した差がない程度の防御力しか持たないわけだ。
そんな一方的な戦闘とも呼べぬ戦闘は終わり残された荒野に私は一人どこを見るでもなく立ち尽くしていた。
最早占領する場所もなく色々なものが焼けた匂いの充満するこの場所でもアリアは自分の役目を果たしているのに私は何をしているのだろうか、いつの間にかとなりに居たマリスさんの顔を見たら途端に安心して緊張の糸が切れたのか意識が落ちた。
目を覚ました私はある報告を受けて正直な話固まっている・・・まあ流れたはずの皇太子様との結婚の話が再浮上して帝都に戻り次第結婚することが確定していれば誰でも固まると思う、まあ私としても今回のことで思うところもあるので帝都で皇太子様の真意を確認してそれによってはこの結婚も仕方ないと思う。
多分おそらくね




