1章 主人公(笑)登場
本編です、瞑想と言うか暴走というかとにかくひどいですがよろしくお願いします?
パルフル‐ビリージス魔導共和国領名も無き小島‐墓地
世界の約半分が汚染されて生物の住めない世界とは思えないほど緑にあふれた小さな森の中にある墓地に一人の女性が訪れていた、しかし女性には違和感がある、何故この様な名前もない忘れらたかのような小島にわざわざ訪れたのか、彼女が着ているコートはビリージス魔導共和国の佐官用の男物のコートである、では、前者の疑問から答えよう、ここに眠る人は彼女が愛し将来を誓った男性だからである、そしてコートは彼の形見だからである。まあ勿論のこと軍には無断で借用している訳なのではあるが彼女は気にしていないようだ。さて違和感に答えたら次は彼女の見た目をもう少し説明しよう、まずは何と言っても一番に目に付くのが腰のあたりまで伸ばしてある黄金に輝いていると錯覚するほど美しい金色の髪だろう、そして整った顔立ちに真紅のルビーのような瞳、女性としてはやや長身な部類に入りそうな身長でロングタイプのコートのせいではっきりとは分からないが、そこそこに鍛えられていると思う、何より重心の動かし方から言って鍛えていないという方が信じられないだろう、などと彼女の見た目について説明しているうちに何者かが彼女を包囲して銃を突きつけているではないか。
「ロード卿、もう1年は経ちました、そろそろ帝国にお戻りください」
包囲した集団の代表者らしき者の言葉からして彼女はロードという家名らしい、なるほど帝国のお嬢様だった訳かどうりで美しいわけだ更にはあの美しさでありながら卿と呼ばれるからには戦場にも出ているはず、天は二物を与えたわけだ。
「私は、もう名前も過去も全て捨てた、それに皇太子様には悪いけど・・・一度も戦場に出ていない以上爵位を継ぐことはできない」
どうやら先ほどの言葉に少し訂正が必要なようだどうやら彼女は皇太子殿下の覚えめでたいほどの人物らしい天は彼女に二物どころか三物も与えたようだ、そういえば思い出したのだが帝国で貴族のお嬢様が行方不明になっていた事が丁度1年ほど前にあったはずだ、そしてそのお嬢様の名前は”ルーシー・L・ロード”確か噂ではビリージス魔導共和国の名家の一つのチバ家の次期当主との駆け落ち等というものがあったが、もしかしたらそれが真実かもしれない、なにせチバ家の次期当主は1年程度前に戦争で死んだことになっているらしいからな。等と噂を思い出したりしている内に包囲していた集団が地に倒れていた、特に魔法を使った痕跡もないので彼女は体術だけで恐らく軍人であろう襲撃者を全て撃退したらしい、さて彼女も移動したようだ、この狭い島だ移動するということは島から出るということだろう急いで追いかけなくては。
島の海岸には1雙の小舟と少々小さめではあるが立派な帝国軍の軍艦が泊まっていた、しかし一応とは言え共和国領に堂々と軍艦を泊めても大丈夫なのだろうか、主に開戦の合図的に、折角の自然が豊かな島だ戦闘で焼かれるのは少々もったいない。まあそれはそれとして彼女が島を出る前にコチラの仕事を済ませてしまおう、海の上でバラすのは正直御免被りたいあの程度の小舟やこちらの用意した小舟程度で鮫になど出会いたくはない、人間相手に暗殺者の真似事や賞金稼ぎの真似事などをして生活しているが海の上でろくな準備もなく鮫の相手などできないからな。
何かが直前まで首があった場所を通り過ぎる・・・刃だ、しかも共和国製の魔法を使うものだ避けていなければ首と胴が別れていただろう、正直共和国の刺客も帝国の軍属も私のことは放置しておいて欲しい、正直なところ自分でも無理だとは思うのだけれども、理由を上げるとするなら色々とあるが共和国側からすれば名家の次期当主を誑かしたように見えているだろうし、帝国側からすれば皇太子様の婚姻の問題などがあるだろうし付け加えて私の生家の面子の問題も絡んでいるのだろうと予想できる、心の底から一つだけ言いたいのは恋愛は自由だと思う、うん正直最早世界も限界が近いし両国の貴族制度もイイ感じに腐っているんだし帝国の貴族と共和国の貴族の結婚くらい自由にさせて欲しいものだ、過程の違いから始まった何百年も前から続く戦争なんて今を生きている私には現実味が薄い、そろそろ平和になればいいと思う等と現実逃避気味に考えている間にも襲撃者からの攻撃を余裕を持って躱している、正直言って汚染エリア付近のチンピラの方が数段強い程度の相手なので直ぐに終わらせてもいい、だが無駄とわかっていても何か相手が情報を漏らすことを期待して戦闘を引き伸ばしているわけだ。
「とんだハズレくじだ、こんな恐ろしい相手に誑かされたチバの次期当主もその程度ということか」
私の中で何かが弾けた、正直私のことなら何を言われてもいいだけどあの人を侮辱する奴は許せない、正直暗殺者相手ならヤッチャッテいいんだっけ、まあダメでも汚染エリア付近までは追われることもないし、さっさと片付けようせっかく久しぶりの墓参りで久々にあの人と話せたような気分で気分が良かったのに今は2組の邪魔者のせいで気分最悪だ、軍人はヤっちゃうと本当に何処までも追いかけてきそうだから意識を刈り取る程度で済ませたけど暗殺者相手ならそんな心配はいらないか、そもそもの話暗殺者を雇うような相手なら無事に返してもその気があればいつまでも暗殺者を放ってくるので脅しも兼ねて始末しておいたほうが色々といいだろう・・・たぶん。そうと決めたら狙うは心臓と首と脳天まあどれか一つでも当たればそれで終わりだろうが気分が悪いので全て当てることにする。一閃、右足が暗殺者の心臓付近を捉える、直撃・・・ココからが私の攻撃だ、直撃した爪先から衝撃を相手の内側・・・つまり心臓に通す。さらに一閃、心臓を捉えた足を少し戻して首を狩るべく再び相手に撃ちだす、今度は衝撃を通す必要は無い、なので魔力で強化した足を思いっきりぶつけるだけ。一閃、首を折ったであろう足をさらにもう一度戻し軽く飛ぶ、丁度脳天を狙えそうな位置から踵落とし・・・もちろん魔力による強化をした上で放たれたそれは吸い込まれるように相手の脳天に直撃した。
若干やり過ぎた気もするが気のせいということにして自分の小舟に乗ろうとしたところで軍艦から声を掛けられてしまった、正直無視して行きたいが声の主の性格からして無視していこうとすれば即座に砲撃が飛んできそうだ・・・いや確実に来るだろう何せ5分程度もさっきのと戦ってたのに何も無かったんだ砲撃準備位は終わっているだろう、さてどうした物かと考えているうちに相手が軍艦から降りてきたようだ、目の前に現れたのは頭は白髪ながら未だに現役と言わんばかりの何かを感じる老人トリス・F・ルールハルト子爵・・・爵位は低いが何も爵位の高さ=強さではない、何せ元とは言え私のような小娘でさえ公爵の位を頂いていたくらいだ、どの程度の軍人を指揮する権限があるのか程度の目安にしかならない訳だ、目の前の老人の実力は正直なところ両手を使っても私じゃ出し抜けないだろう・・・踏んだ修羅場が違いすぎる。では、諦める?それは無い・・・ではどうする、考えても答えは出ない仕方がないのでやれるだけやろうと心を決めたそれと同時に地面を蹴る、子爵まで私の踏み込みであと1歩、子爵はまだ動かない、おかしい気が付いていないわけではないのに何故?そんな疑問に従い大きく子爵の右側にそれて踏み込んだ直後にそれが正解だと気づく。
おかしい、どう考えてもおかしい魔力による身体強化はほとんどの人間には使えないはずなのに目の前の老人は強化をしていない素手の一撃で私が踏み込むはずだった場所を軽く抉りとっている、正直私も大概だが目の前の老人もまた規格外だ。
子爵と公爵の戦いはおかしい初めに公爵が人間とは思えない勢いと歩幅で踏み込んだと思ったら突然子爵の右にそれた、なぜかわからなかったが子爵の前を見ればよく分かった、砂浜とは言え地面を抉りとる一撃だそれは避けに行くだろう・・・子爵は皇太子様からの命令を覚えているのだろうか、少々不安に駆られるが今も聞こえる人間の体どうしがぶつかった所で普通は出るはずのない音が聞こえるので大丈夫と思い込んで作戦の準備を進めることにする、勢い余ってやってしまいましたでは普通に首が飛ぶので急いで準備を済ませ公爵を捕獲しなくてはならない、しかしながら作戦と呼ぶには些か雑な気もするがまあ有効ではあるだろう、何せ子爵が消耗させて投網を用いて公爵を捕獲する、さて若干の現実逃避をしているうちにと網の準備は出来た後は公爵が消耗するのを待つだけだ。
ワシは今回の任務をロード家の小娘を連れ戻すだけの簡単なものと思っていたがソレがどうして骨が折れる、最初の一撃でダウンさせるつもりがもうすでに戦闘開始から10分が経過しようとしている戦場の経験はあまりなさそうだが彼女の体術は本物だ、最初は身体強化などという魔法が本当にあるのか半信半疑だったが現実に存在するのだろう、でなければ彼女の細脚からあれだけの重さの蹴りが放たれる理由が説明できない、更には受け止めたと思っても直後に衝撃が内側を襲ってくる、まったく若いくせに珍しい戦い方をする者だ、しかしこれ程の実力なら軍に来れば戦局も多少はましになるだろうに少々勿体無いとさえ思える。普通の貴族の子女なら皇太子様との婚約なら喜ぶところだろうに何を想い彼女は帝国を出たのだろうか少々気になるところである、どちらにせよこの老体で彼女の攻撃を受け続けるのは得策ではないので早めに捕獲してしまい、帰りの軍艦の上でゆっくりと話でもしてみるとしよう。
まるで鉄でも蹴っている感覚だ、正直訂正すると鉄の方が柔らかい・・・何せ鉄と違って砕けないんだから、すでに10分以上戦っている、これ以上戦いを引き延ばせば足がイカレそうだ一か八かで懐に飛び込んで衝撃を拡散せせて相手を飛ばして逃げることにしよう。そうと決まればタイミングを図る、一瞬でも早ければ飛ばしきれない、一瞬でも遅ければ防がれて飛ばしきれない・・・どうやらそうとうに分の悪い賭けらしい。わざとらしくため息を一つ、瞬間限界まで足を強化し目の前の老人に迫る、指輪をしていない右手だけを使い老人の顔に手を当てる、いつもとは違い内側に通すのではなく外に拡散させる、出来ると自分に言い聞かせ・・・放つ、自分のイメージ通り目の前の老人が飛ぶ・・・何故?そんな疑問を持った瞬間私は網で囚われた。
「すまんな、ロード卿老人には若者の相手は厳しいので少々小細工をさせてもらったよ」
そんな事を言われたところでこれ以上は私は抵抗ができないので大人しく軍艦で帝国の首都まで連行されるしか無いようだ。
どうやら家の爵位のせいか皇太子様のせいか軍艦の上では拘束されないらしい、まあ付け加えてあの老人には私じゃ勝てないというのも大きい気もするが気にしないことにしよう、気にすると色々と自信をなくしそうになるからね、そういう訳で帝都までの1週間程度の船旅を楽しむとしよう、逃げるにしても海の上より陸の上である帝都の方が逃げるのに向いている、などと考えながら私の捕虜生活1日目が終わるのだった。
次はもっとひどいです、と言うか1章は万事こんな調子な気もしますが……




