6話
これから毎日、俺が家に居る時に使えるのなら室温を調整して維持する魔法で家の中を温めるのが仕事になりそうだ。
雪は降っていなくてもこの寒い時期に部屋暖房なんて知れば使って欲しくなるのは当たり前のことだと俺も思う。
今日は朝から記憶図書館で魔法の練習をしたから、午前中は訓練所で武器の訓練をしようと思う。
一応家を出る時に回復してきた魔力を消費して家全体を暖めて維持する魔法を掛けてから訓練所に向かった。
「武器の訓練をしに来ました。」
「ん?ああ、いいよ。今は誰も使ってないからね。それと備品を壊したら伝える様にね。」
「分かりました。」
訓練所で受付をしていた村の警備団の団員に伝えることを伝えると、俺は訓練所の武器庫に向かった。
そこでまだまだ練習の足りない木剣を待って訓練を開始する前に記憶図書館へ意識を向かわせる。
記憶図書館で1人で練習をする際に気を付けることや、1人で何を練習すればいいのかを検索した。
「おぉ、結構あるけど読んじゃお。」
今回は訓練所も1人で使えてゆっくりと記憶図書館で記憶の本を読んで覚えられる。
20冊を超える記憶の本を1冊ずつ読んで記憶していく。
読み終わるのに時間が掛かるがそれでも1冊ずつ確実に覚えようと読んでようやく最後の記憶の本を読み終わってからが訓練の本番だ。
意識を記憶図書館から訓練所に戻った俺は早速記憶図書館で読んだ記憶の本から知った内容通りに訓練を開始した。
木剣なしで出来る訓練はせずに木剣を使った訓練をするのだが、木剣なしでの訓練前提の訓練もあったりするので大変だ。
それでも木剣を振るい、身体を動かし、足から腰に、腰から背中に、背中から肩に、肩から腕に、腕から手に、手から木剣にと力を伝えていく。
10回に1回のペースで会心の一撃が振るえる中で、100%の確率でしっかりとした一撃を素振りで振るえる様にするのを目標にしよう。
やるべき目標を決めた俺は木剣の素振りをする。
1回1回しっかりと木剣を振るう。
木剣を振るうのは決して良い加減にせずにしっかりとだ。
しっかりと木剣を振るえば、全身から滝の様に汗が噴き出てくるほど。
この寒い冬空で汗が噴き出てくるのは汗が冷えて凍ってしまいそうになる。
「やばっ、これ冷えるどころじゃない。」
俺はこれは不味いと、急いで俺の周りだけ気温を暖かな状態に魔法を使って変化させた。
汗をかいてもこれなら汗が冷えることで風邪を引く様なことにはならないだろう。
それに水分補給も魔法で作り出した水を飲んで水分補給も済ませて訓練を再開した。
身体中が動かすのもやっとと言えるくらいになるまで虐め抜いた俺はこの日はもう家に帰ることにした。
訓練所初日の時よりも今の状態の方がヤバイくらいには消耗している。
あの時は剣の使い方に関しての情報ばかりで素振りしたが、今日の方が素振りの内容の密度が高かったからこそ、今の俺の状態なのだろう。
疲労したまま家に帰っている途中でアークスと教会の神父の娘が村を歩いているのが視界に入った。
そしてそんな俺に気が付いたのだろうアークスが神父の娘を引き連れて俺の方に向かってくる。
心の中で溜め息を吐いて面倒なことになりそうな予感を感じながら俺は家に帰ろうとしたが、やはりそんな俺の前にアークスが立ち塞がった。
「おいおい、レン。そんなところで何してるんだ?ああん?」
チンピラみたいにアークスに絡まれる。
こんなんでもアークスは村長の子供だ。面倒くさくても相手をしないといけないのは大変だ。
アークスは子供。それでも転生者である俺は相手は子供なのだからと相手をしてあげる。
「訓練所で練習をしていたよ。それより何か用事があるんですか?」
「ねぇよ、そんなもん!!あぁ、それよりよ!ジョブはどうだ?俺と同じジョブなんだしよ!」
正直に答えたらアークスに怒鳴り返されたのだが、なんでかアークスは突然にジョブの話をし始めた。
なんで急にジョブの話を始めたんだ?と疑問に思いながらも答えることにした。
「どうだ?と言ってもな。特に変わらないよ。」
「ほーん?それならよ!次に訓練所での訓練の時に勝負しようや!受けるよな?」
「?別にいいけど。」
次の訓練所の訓練にはアークスが出る様だ。模擬戦があるし、勝負とはそれのことだろう。
少し楽しみだ。同じジョブが相手なら良い勝負になるかもしれないし。
アークスとの模擬戦までにしっかりと歩法や呼吸法も含めてしっかりと家でも出来る練習はしておこう。
「逃げんなよ!分かったな!!」
「分かった。」
「ふん!行くぞ、サーヤ。」
「うん。」
俺の返事を聞いたアークスは鼻を鳴らして神父の娘を連れて何処かに向かった。
アークスとの模擬戦に勝つ為にも今は家に帰って昼食を食べないと。
いっぱい食べて身体を作るところから始めていかないと体格が良くならない。
母のジョブが料理人のお陰で栄養や身体に良い料理ばかりだから、これからの俺の成長にも食事で良くなるだろうな。
しかも母の料理は美味しい物ばかり。
不味い料理なんて健康の為に作られた味を度外視にして作った料理くらいしかないけども。
真っ直ぐに家に帰りながら記憶図書館で学んだ呼吸法や歩法を使って家に帰ることにした。
少しでも早く強くなる為に。
そうして家に帰った俺は帰ってすぐに家の中を暖かくして、魔法を使って汗臭い体や衣服を綺麗にしてから母が作ってくれた料理を家族全員で食べた。
昼食が終わった午後からは最初に記憶図書館に向かった。
記憶図書館で肉体の回復や成長に関わる魔法や聖法に関する記憶の本の調査をする。
もっと効率的に強くなる為には魔法や聖法すらも使って肉体を強くする必要があるからだ。
そうして検索して現れた記憶の本を調べていく内に、通常の魔法や聖法での肉体の回復では体を鍛えた後にするとせっかく鍛えた意味がなくなってしまうらしい。
筋トレも筋肉にダメージがあり、そのダメージが回復することで鍛えられる。
その回復を魔法や聖法ですると筋肉のダメージが回復しても強くはならないそうだ。
そこで筋肉のダメージを回復しても問題ない魔法や聖法があった。初心者でも出来るのは聖法の方にだけど。
それは肉体の回復を促す聖法だ。これから俺はその聖法を神力を増やし操作する練習も含めてやろうと思っている。




