11話
あれから年は経ち、俺が10歳でジョブを得てから2年の年が経った。今の俺は2年前と比べて身長も伸びて筋肉も付いて来ている。
そんな2年の年が経っても俺の暮らしはほとんど変わっていない。
毎朝早起きして身体を鍛えてから記憶図書館でジョブの知識を学んで、朝食を家族で食べる。
午前中は鍛えるのに時間を使って記憶図書館で学ぶか、狩人の父親に付いて行って森でモンスターや動物の狩りをしたり、はたまた母親から薬師の知識を教えて貰いながら薬作り、または双子と遊んだり。
午後からは料理人のジョブも持つ母親から習いながら料理を作ったり、父親から弓などの狩人が森で使う道具の手入れの仕方や作り方を学んだり、身体を鍛えて記憶図書館で勉強をしたり、また双子と遊んだりして過ごしていた。
そんなほぼほぼ変わらない毎日を過ごして鍛えた肉体は同年代どころか4、5歳歳上でも負けないと言えるくらいにはなっていた。
ジョブの武聖、賢者、教皇としての知識もかなり学び終えて、闘気や魔法や聖法も多くの数を扱える様にはなっていた。
そこまで鍛えたのだけど未だにアークスとの再戦は叶っていないのが今の俺の心残りだ。
訓練の日で俺が負けたあの日からアークスは訓練の日に一度も出ることがなかったからこそリベンジは叶っていない。
なんでアークスが訓練の日に訓練に参加しないのかは分かってはいないが、噂話で聞いたところでは同じジョブの俺に勝てたんだから出なくてもいいだろうとのことだった。
それが理由だとしてなんで訓練に参加しないのか本当に理解出来ないことだ。
今のアークスなんて身長が伸びていても横にも太くなっていてデブになっており、そんな身体を鍛えることもしないアークスなら勝てると今ではよく思っている。
出来ればあと数日後までにアークスと再戦したいところだが、それも叶わないだろうな。
もしアークスと再戦するのなら、これから通うことになる王立学園での模擬戦か何かくらいでしかないだろう。
豪商や豪農などから貴族や王族までが12歳から最高で18歳まで通うことになるのが王立学園。
そこに俺もアークスもトリプルジョブで珍しいジョブである武聖、賢者、教皇のジョブだからこそ平民にも関わらず王立学園に通えることになった。
明日にはこの国のサルハルジ王国の王都にある王立学園に向かうことになる。
本当ならアークスも王立学園に通うからこそ一緒に向かう予定だったらしいのだが、俺と一緒に行きたくないと言うアークスの我儘のせいで俺は一足早く向かわなければならない。
冒険者による護衛を連れて馬車で王都に向かうアークスと、行商人にお願いして荷馬車で近くの街まで移動することに俺はなる。
しかも近くの街に着いたら、そこからは駅馬車で王都まで移動することになるそうだ。
ちなみに駅馬車と言うのはそれぞれの街を移動する馬車のことで、これを利用して街から街へと平民は移動している。
知らない人と行動を共にしないと行けなくなるのは不安だが、それでも新しいことを学べる王立学園に通うのは俺としては賛成だから少しだけ楽しみだ。
でも楽しみではあるけど、それ以上に不安もある。特に今年は王族のお姫様も入学するらしいので貴族や王族には注意が必要だろう。
他の平民もいるけど余程お金を持っているか、それとも良いジョブを持っているかのどちらかしかいない。
俺もその中に入るかもしれないが、大体お金持ちだったり良いジョブの者の性格は良くない場合がアークスを見る限りでは多そう。
王立学園でやって行けるのか不安になる。出来れば自由に色々と学びたいところだ。
そんな事を考えながら荷物をまとめていると、俺の元に双子たちがやって来た。
「ん?どうした。マール、マーレ。」
「にいちゃん、行っちゃうんでしょ?」
「明日から離れ離れになるから……。」
最低でも3年は王立学園から帰ることは出来ない。だから双子たちは3年も会えなくなるからしょんぼりしているのか。
「そうだね。でもまた会えるよ。それまで元気にやって行くんだぞ、2人とも。」
「「うぅぅ、わぁあああんん!!!」」
頭を撫でているの双子たちは寂しくなってしまって俺に抱き付いて泣いてしまう。
明日出発の準備をしている最中で困ってしまうが、このまま双子たちを慰める様に背中を撫でていく。
その内に泣き疲れた双子たちが眠ってしまった段階で父親が俺の様子を見に来た。
「どうしたんだ?」
「いや、マーレとマールが泣いちゃったんだよ。」
「そうなのか?聞こえなかったが?」
荷物整理の音が大きくなるから防音対策の結界を張っていたな。そのせいで父親や母親たちの元には双子たちの泣き声が聞こえなかったのだろう。
その事を父親に伝えれば納得した様だ。
「そうか。それなら2人は連れて行こう。まだ準備は終わっていないんだろ?」
「うん、お願い。まだ終わってないからさ。」
抱き付いて眠っている双子たちを父親に預けて、俺は荷物整理を行なう前に双子たちの涙や鼻水で濡れている服を綺麗にして乾かしていく。
清潔な服へと戻ったら、俺は明日の為の荷物整理を再開した。
これから王立学園の寮で暮らしていくことになるからこそ必要な物は多いし、俺がこれまで両親から貰った武器や防具などの村の外で使っていた道具に、料理や薬作りに必要な道具を収納魔法で収納して行った。
特にこれから王立学園で暮らしていくのに必要になる物が分からないからこそ、持っていく物はたくさんある。もちろん収納魔法で持っていくが。
そうして明日からの準備を終えてからリビングへと向かった。
「あらレン。荷物整理は終わったの?」
「うん、終わったよ、母さん。」
椅子に座ってテーブルの上に置かれたお菓子に手を付けていると、母親が薬草を茶葉にした薬草茶を用意してくれた。
母親と明日からのことや王立学園でやって行けるのかなど話していると、双子たちを寝かし付けたのだろう父親も話に参加して明日から王都にどうやって行くのかなどの話になる。
両親には王立学園での暮らしの不安もそうだが、それ以外にも楽しみだと言うことも伝えながら薬草茶を飲んでいく。
それからも他愛もない話を両親としながら過ごしていると、眠っていた双子たちが起きて来たりもして家族揃って過ごしていくのだった。




